バルーン空撮[技術解説] - 2008年版:空撮プロが使うデジカメ

2008年は、デジタル一眼レフの当たり年 '08/12/08 5DmkⅡ購入後に修正

ペンタックスK20D 空撮のプロ。
特に、バルーン空撮とラジコンヘリ空撮を中心に、最重要機材であるデジタル一眼レフとレンズについて考えてみます。
美しい写真を撮ろうとする0[Zero]の姿勢を感じて頂けると幸いです。

2008年は、既に3種類のデジカメ(ペンタックス1台・ニコン3台)を購入しテストを行っています。
2008年9月17日(このページを書いている日)に発表されたキヤノン5D Mark-Ⅱも購入することが決まっています。
このデジカメはメイン機となる可能性が高いため複数台を購入することになります。
最終的には、2008年に最低でも6台のデジカメを購入するという年になりそうです。 2006年は2台。2007年の購入台数は「無し」でしたので、2008年という年がどれだけ特殊な年であったのかをわかって頂けると思います。

原因は二つあります。

  • デジタル一眼レフの性能が飛躍的に上がった
  • 0[Zero]が夜景空撮に進出した

    本題である、デジタル一眼レフに注目機種が目白押しでした。

  • ニコンD40:軽量なため車載式バルーンには最適と思いテスト購入。
  • ペンタックスK20D:1500万画素に手ぶれ補正。夜景用にテスト購入。
  • ニコンD700:バルーンによる夜景空撮では、2008年8月の段階では最も優秀。
  • ソニーα900:低ISO時の画質は圧巻。昼間限定では最もコストパフォーマンスが高い。
  • キヤノン5D Mark-Ⅱ:名器5Dの後続機。既に発注済み。
    昨年はD3や1Ds Mark-Ⅲなどのプロスペックデジカメのラッシュでしたが、1gでも軽量な機材を必要とするバルーン空撮では採用出来ませんでした。
    5Dは、3年間もの長期にわたり0[Zero]の撮影のメインとなり活躍をすることになりました。
    バルーン空撮に限定すれば、2007年までは総合力で5Dを超えるデジカメはありませんでした。

    意外な事実。ニコンD700は、昼間限定なら5D以下のデジカメ

    ニコンD700 社内で評判を落としているのが、発売から2ヶ月しか経過してないニコンD700です。
    夜景時の写りについては、「凄い」の一言です。

    フルーツ公園 夜景テスト3-3

    上記は、シグマ8mmフィッシュアイにて撮影された4枚の画像をステッチしています。
    2008年8月現在では、ニコンD700のみに撮影が出来る画像です。

    夜景撮影の業務も開始しているのですが、メインは昼間の撮影です。
    パノラマ写真ナビ航空写真ナビの撮影はシグマ・フィッシュアイを使うので5Dと同等の画質で撮影可能です。(発売年が3年前のデジカメである5Dの画質が秀でていたことを再確認)
    問題は、普通の空撮です。
    フルサイズのレンズにすると、16~24mm程度の広角では、軽量で優秀なレンズが存在しないことがニコンの最大の欠点です。
    ニコンには、ナノクリスタル採用の14-24mmという超広角レンズが存在します。
    このレンズは1kg程度の重さがあることから、バルーン空撮には向きません。
    このレンズの採用の為には、バルーン空撮専用車両のサイズアップが必要です。
    コストアップは・・・数百万円となります。(ある意味20万円というレンズの価格は無視出来ます) 仮に、ナノクリスタル採用の重量の重いシステムでもOKとすると・・・
    総合的には、1DS MarkⅢが優れます。

    数本の500g前後の、単焦点とズームレンズを購入しました。
    様々な条件でテストした結果は・・・
    「キヤノン5D+17-40」よりも画質が良くなる物は存在しないという想定外の答えでした。
    ボディーは3年前。
    レンズは、5年前という組み合わせです。
    進歩がめざましいデジカメの世界ではあり得ないような事態です。
    4年前に、ニコンのレンズの性能の低さ(建築や空撮に用いる前提)に落胆しキヤノンに移りましたが・・・その傾向は現在も変わっていませんでした。

    ニコンがダメなのか、キヤノンが素晴らしいのか・・・
    速いシャッター速度を確保出来る=低ISO 昼の撮影では、ニコンではキヤノンに太刀打ちできるバルーン空撮に採用できるカメラとレンズはありません。

    手ぶれ補正は、バルーンの揺れには弱い=夜景はD700の方が良い

    ペンタックスK20D 2008年6月に購入しました。
    レンズマウントの改造まで行い、夜景CubicVRの撮影が出来るようにしましたが・・・
    予想よりも手ぶれ補正の効果が薄いことと、ISO800程度の画質が悪いこと。
    さらに、D700の夜景撮影性能を確認できたことから、実務導入には至りませんでした。
    5Dよりも軽量であることは魅力です。
    画質も、価格から考えれば十分です。
    しかし・・・空撮のプロとして仕事のできる広角レンズが存在しません。
    5Dと同じ重量で発表された、5D MarkⅡの後では、実務に入り込む余地がありません。

    ペンタックスのデジカメをはじめて購入しましたが、良いカメラであることはわかりました。
    一般の方が購入するデジカメとしては、良い選択かと思います。
    特に男性には、キヤノンの入門機種よりもこちらをおすすめします。

    画質の良さを再確認したキヤノン5D

    キヤノン5D ニコンD700と徹底的に比較検証を行いました。
    5Dに用いたのは、17-40のみです。
    最新のニコンD700には、メーカーを問わず、単焦点・ズームの中で実務に導入出来そうな物を徹底的に「購入し試写」しました。
    行き着いた答えは・・・
    ISO200以下に限定すると5D+17-40の組み合わせは、バルーン空撮ではベストという3年前と変わらない答えでした。
    0[Zero]では、5Dの購入前には、1D MarkⅡ。さらに、その前にはニコンD2Hを実務で使っていました。
    どちらも、5Dよりも高価なプロ用のデジカメでしたが、アマチュア向けの5Dに肝心の画質で負けていました。
    発売から3年を経過しても、他社の最新デジカメよりも画質が優れているとは・・・5Dは名器として記憶に留めるべきデジカメです。

    なお、この写真のボディは、テスト中に30m上空から落下した個体の実物です。
    よく見ると・・・グリップに落とし切れていない田んぼの土が付いています。
    D700との比較テストには、メーカーに点検にも出さなかった、このボディにて行いました。
    0[Zero]にとっては、神棚に祭るべきデジカメです。

    5D MarkⅡが、メイン機となるのか?

    キヤノン5D ←5Dの逆光テストのひとコマ。
    今日現在(9/17)では、5D MarkⅡのISO3200程度のサンプルがありません。
    もっとも欲しているのが、D700との夜景にての比較サンプルです。
    こちらを見てからになるのですが・・・
    同等の画質ならば、全面的にキヤノンに戻ります。
    圧倒的にD700が優れる場合には、夜景=D700 昼撮影=5D MarkⅡ の二つのメーカーの同時使用に踏み切ります。
    中程度の重量と仮定すると、キヤノンのレンズラインナップは魅力です。
    ニコンD700との比較テストを一般の方を招待し意見をもらったところ・・・
    全ての方がキヤノンの方が、画質がよいとコメントしています。
    ゲストには、一般の女性も含めましたので、その差が大きいと言うことがわかって頂けると思います。
    ワイヤレス画像転送装置が重い事が欠点ですが、0[Zero]は画質を選びます。

    バルーン空撮もラジコンヘリ空撮も、軽量・高画質であれば、これ以外の性能はある意味どうでも良いと言えます。
    視野率98%のファインダー・秒3.9のドライブ・貧弱なAF・・・
    ハイアマチュアなど、ユーザーの一部には「弱い」と感じる部分も、空撮のプロにとってはメリットを生むための必要な犠牲です。

    コラム:空撮のプロが使うデジカメとは?

    空撮業というのは、70年ほど前のカメラマンの世界に似ています。
    それは・・・
    「写真が撮れるだけで素晴らしい」
    写真を撮るという行為が写真術と呼べた時代に、似通っています。
    2008年現在、ネットで同業者の撮影する画像を拝見すると・・・
    まさに、玉石混淆と呼べる状態です。
    いづれは、0[Zero]の様に「美しい」「さすがにプロは違う」という写真を提供する空撮会社に淘汰されていきます。(写真の歴史を辿れば、この答えになります)
    「今」も、恐らく「これから」も、空撮というのは特別な写真です。
    社屋の完成・新築祝い・災害などの記録・・・
    どのような用途でも、節目として重要な写真となります。
    予算ありきと言っても、安価にするために撮影機材や人員を削っている空撮会社は・・・
    避けて頂きたいというのが本音です。
    その会社が、どのデジカメをつかっているかを聞けば、画質に対しての姿勢がわかります。
    特に、バルーンを用いる空撮会社は、「画質に対しては興味なし」という会社が多いので注意が必要です。
    本来は・・・
    バルーンはラジコンヘリと比べると、マイクロレベルの振動が無いことから画質が良くなることが魅力です。
    同じ条件では、バルーンの方が画質が良くなります。

    ◆バルーン・ラジコン空撮のプロが使うべきデジカメ

    メーカー/機種名 画質評価
    ボディ ※1
    画質評価
    広角 ※2
    重量評価 夜景対応 CubicVR対応 備考
    キヤノン/5D MarkⅡ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ 画質面での弱点無し。
    キヤノン/5D ★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ 2005年9月販売
    キヤノン/1DS MarkⅢ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ラジコン空撮では最強
    ソニー/α900 ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ ニコンフルサイズよりも空撮向き
    ニコン/D700 ★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ 広角に弱いことが大きな欠点

    ◆バルーン・ラジコン空撮のプロが使ってはいけないデジカメ

    メーカー/機種名 画質評価
    ボディ ※1
    画質評価
    広角 ※2
    重量評価 夜景対応 CubicVR対応 備考
    ニコン/D3X ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ 重いα900。購入する理由が無い
    ニコン/D3 ★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ 重いD700。購入する理由は無い
    キヤノン/1D MarkⅢ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ 高価だが空撮には不向き
    ペンタックス/K20D ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★★ バランスは取れている
    キヤノン/キス系 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★ 安く・軽いメリットのみ
    キヤノン/D50 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★★ 広角レンズに決めて無し
    ニコン/APS-C系 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★★ キス系よりは良い選択
    フォーサーズ系 ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ 安く・軽いメリットのみ
    コンパクト系 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ 論外です

    ※1:
    0[Zero]を含め、プロの空撮業が必要とするデジカメは一般用途よりも高画素であることが求められます。
    アマチュアでは、A4程度のホームプリントが無難にこなせれば問題になりません。
    プロに要求されるのは、「チラシ」「雑誌」などの印刷に耐えられる画質です。
    この段階で1000万画素以下のデジカメでは話になりません。
    さらに、0[Zero]の空撮の場合は、「マンションショールームに10mのパネルを制作」などという仕事も入ります。
    最終的には、複数枚を繋げることになるのですが、総画素数1億などということもあります。
    どちらにしても、画素数は多いに越したことがありません。

    ※2:
    バルーン空撮・ラジコン空撮の用途は、景観・CG合成素材などとなります。
    キチンと絞り込まれた、可能な限り画素数の多い素材をクライアントからは要求されます。
    以上から、開放F値は無視することが出来るのですが、広角特有の周囲の「甘さ」には非常に気を配る必要があります。
    また、逆光などについても同様に性能評価が必要です。
    弊社のテストでは、下を見下ろす事が多い撮影では、広角16mm以下は歪みが多すぎて業務には採用できません。
    空撮に用いるという前提では、17-35mmが画質評価のメインとなります。

    ※評価について
    上記の評価は、バルーン空撮・ラジコン空撮に限定した評価となります。
    「重量」と「絞り込んだ広角域の画質」が評価の中心となります。
    よって、一般的なデジカメの評価とは大きく異なります。
    全ての機種は、普通の用途ならば、素晴らしい写りです。(コンパクトは除く)

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    バルーン空撮技術解説 関連リンク

    1)バルーン空撮とヘリウムガス
    2)バルーン空撮専用車両
    3)空撮システム開発解説
    4)バルーン空撮テスト
    5)バルーン空撮と風について
    6)機材開発例:レンズマウント
    7)標高2100m:高地撮影テスト
    8)ヘリウムガス不足と値上状況
    9)2008年版:空撮プロはどのデジカメを使う?
    10)空撮の保険について考える
    11)空撮と送電線
    12)空撮スペシャリストの技
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    14)バルーン繋留角度解説
    15)新型の開発は一時停止
    16)バルーン素材としての塩ビとエバール
    17)特許出願までの道程
    18)バルーン小型化の研究
    19)開発失敗バルーンの例
    20)最大風速13m/Sの乱流下のテスト画像公開
    21)0[Zero]のバルーンが風に強い理由。その1「尾翼が大きい」
    22)2009年版:空撮プロが使うレンズ
    23)眺望撮影の「良い例」と「悪い例」

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