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ドローン空撮[技術解説] - 犯人は、コントローラー?受信機?

DJIと設定画面
DJI設定画面のハードコピー

機体に何らかの問題があることが判明しました。
判明後は、「トリムズレを感じても無視すれば大事に至らない」と言う事に気がつけた為、大きな問題になっていません。
しかし、機材に信頼が持てないままでの実務導入は、あり得ないことなので徹底的に原因究明を行います。

←問題点の切り分けの為に、電源投入時のトリムズレテストを撮影したサムネイル。
数十回のリセットを繰り返し、問題を抱えているパーツを特定していきます。

新規にセットアップしたマルチコプター

備えあれば憂い無し

今回のマルチコプターに用いるパーツは、全て新品にて用意しています。
送受信機は、全て新品のストックにて用意可能だったのですが敢えて最新世代の新品で用意しています。
マルチコプターも、海外通販よりも割高となる事を承知で国内のショップから購入しています。
外注からの購入は、「他社の機体がどの程度か知りたい」と過去のページに記しています。
それも目的の一つなのですが一番の目的は、有事の備えです。
ラジコン機器は、多かれ少なかれ問題が発生します。
どんなに有名なメーカーの高価な商品でも工業製品である以上は、初期不良が一定量含まれます。
また、セッティングやファームウェアなどに関して日本人クオリティで対応があるのも心強いところです。

一般の方では、気がつきにくい初期不良でも可能であれば対応して頂きたい。
この様に感じているからこそ、国内で割高でも購入していると経緯があります。

現象1:電源投入時にトリムズレを起こすことを確認

電源投入時にトリムズレ

・送信機の電源を落とさない
・アンプを通電させない
・設定ソフトは、常に開いたまま
・USBケーブルを切らない
・バッテリーの抜き差しのみでテスト

これは、設定途中の画面ではありません。
設定完了後に、何回か電源再投入。
その際に、トリムズレが再現出来たときの画像です。

トリムズレは、エレベーターとエルロンのみに発生。
ラダーは、問題有りません。
また、ズレの量と方向には再現性あり。
必ず、同じ方向に、同じ量が動きます。

この段階で、上空にてトリムを使い切った理由が判明。
トリムがズレた状態で、上空にてトリム合わせを行う。
その状態から、コントロールユニットがさらにズレていく。
これを何度か繰り返せば、調整範囲を使い切ってしまいます。

現象2:受信機が正常動作することを確認

受信機のテスト

トリムズレの発生タイミングが特定出来ました。
「電源投入時」です。
次は、発生源の特定に入ります。

受信機のエルロンに通常のサーボを装着。
何回か電源投入を繰り返し、トリムズレが発生するかを検証。
結果は、受信機に問題無し。

なお、電波と受信アンテナの干渉を考慮し、購入時からアンテナの取り回しを修正しています。

初期不良か相性か?

DJI WooKong Mの初期不良なら、何も心配もありません。
該当するパーツを正常品と交換すれば解決です。

今回の現象を元に、ショップ・代理店・メーカーと対応をお願いする事なるのですが・・・

「弊社商品は、問題有りません」という回答がもっとも怖いところです。
過去に使用した経験があるメーカーなら、対応の予測が出来ます。
DJIは、今回が初めての採用。
海外メーカーであることも心配です。

いい加減な会社でありがちな回答が「相性」
今回は、JRの最新受信機を用いている事から、これとの、「相性」という回答です。
仮に、こんな回答をしてくるなら、こちらも徹底的に対応するまで。
こちらもバルーン空撮のプロです。
受信機なら、様々なメーカーの各世代を用意出来ます。
JRが4種類。
フタバが一種類。
テレメトリーの調査を行い不採用となった、ハイテックも手元に新品2セットのストックがあります。
テストに1日を要しますがこれで犯人がハッキリとするでしょう。
もしも、相性なら・・・
人柱として、相性テストの結果を発表するまでです。

さて、今回のテストのみで、「初期不良」と決めつけると、代理店などで止まってしまう可能性があります。
DJIを本採用するなら、スペアがいくつあっても困りません。
そこで、新品のDJI WooKong Mを購入し、今回のトリムズレをさらに研究することにします。

公開日:2011/12/10
最終更新日:2014/12/05
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