Ver6_img

ドローン空撮[技術解説] - αゲルとジンバル

αゲルとジンバル
様々なタイプのαゲル

そろそろ、カメラジンバルの開発に入らなければなりません。
少ないと言っても、マルチコプターにも振動が入ります。
2軸のジンバル制御を入れても、最終的に細かな振動をカメラ付近にて切らなければなりません。
ここで活躍するのがαゲル。
小さくても画質を左右する需要パーツであるαゲルを考えます。

←6年ぶりに、機材倉庫から持ち出したαゲル。
購入履歴を調べたところ、2003~2004年に購入された様々なサイズのαゲルです。
本来は透明色ですが経年変化からからか劣化して黄変しています。
ガソリンもしくは、グロー燃料による劣化?
触ってみた限りは、本来の柔軟さを失っていないようです。
※耐薬品性が公式サイトにて公開されています。

現在もジンバルに搭載されているのが「本採用分」
このページに写っているのが「非採用分」
確か・・・数年前の機材整理の際に、半分程度は処分しています。
必要と思われる方に差し上げたり、損傷がある物を廃棄したり。
現在の様に開発状況をサイトで公開したりする前の話です。
その当時から、テストと選別がしっかりとされていることがこの古いαゲルからもわかって頂けると思います。

マルチコプターのジンバルにゲルブッシュ

インシュレーター・ゲルブッシュ・ゲルテープを使っていました。
インシュレーターは、ガソリンエンジン機のスキットなど大きな重量に。
ゲルブッシュは、カメラなど比較的軽量な機材を直接防振するのに最適。
ゲルテープは、「ちょっした用途」にといった使い方をしていました。

空撮用途として以下が使い分けのポイントになります。
・静バランスをしっかりと取り、均一に加重をかける事
・剪断方向の加重は禁止(容易く破断)

ポイントとして出していますが全て公式サイトに書かれている内容です。
空撮機材に用いる場合は、「剪断」を意識する必要があります。
ホバリング時など、垂直加重を受け持つときには問題無し。
機体が傾いた際に、目論見通りの動きをするかを見極めることが重要です。
使い方が大きく間違えている場合には最悪の事態も考えられます。
撮影機材などの場合は、上空から落下。
ジャイロなどに用いた場合は、操作不能による墜落。
特にインシュレータータイプに気を付けてください。

コラム:振動という見えない敵

話は、6~7年前に遡ります・・・

GSR260をホバリングさせながら、真下から震動の研究。

この様子を動画に留めなかったことが残念でなりません。
高さ1.8mのテスト用プラットフォームを事務所の裏に建築。
そのプラットフォームから数cm浮かせると、擬似的にホバリングが再現出来るというテストベンチをつくっていました。
実際にホバリングをしているGSR260の下で、私が研究を行っていました。
今のところ、同等レベルの、「お馬鹿さん」を見たことは、一度しかありません。(その一度を真似たとも)
この様な過激なテストに至ったのは・・・
「アイドリングと実際のホバリングの際の振動が異なる」
これをテスト撮影で確認しての暴挙でした。
ご存じの方は少ないと思いますが・・・
ホバリング中のGSR260の振動はかなりの物です。

様々な振動対策を研究しましたが満足の出来る画質が得られなかった。
その振動から逃げる意味で、ロータリーエンジン(グロー)の研究。
振動よりも排煙を取った。

普通のラジコン空撮業者は向かわない内容。
扱い易さではガソリンレシプロが二桁くらい優秀です。
用意されるフレームの能力は品祖。
燃料の相性や気圧変化への適応性。
信頼性が何よりも大事な現場では、レシプロエンジンが正解です。

その当時の0 [Zero]が向かっていたのは、航空写真ナビの基礎技術の研究。
ノーダルポイントを可能な限り一致させた全周フィッシュアイの撮影でした。
ただでも「甘く」「暗い」フィッシュアイの画質を上げる為に振動の低減が必須。
それ故にロータリーエンジンの採用でした・・・
その後ガソリンロータリーを経て、本格的にバルーン空撮に参入。
フルサイズデジタル一眼(当時は5D)が搭載可能な電動ラジコンヘリも出てきも、基本的に興味なし。
バルーンからの鮮明な空撮画像を手に入れたら、ラジコン空撮の興味が急激に薄れてしまいました。

今では、電動ヘリコプターを選択すれば大きな振動に関しての問題が無くなります。
マルチコプターなら、さらに低振動。
その道を通ってきた者には現在のマルチコプターは夢のような空撮プラットフォームです。

公開日:2011/12/27
最終更新日:2014/12/15
前へ一覧次へ

ドローン空撮[技術解説] 関連リンク

142) 【特願D】宅配ドローンヘリポート
141) 宅配ドローン着陸姿勢と特願A
140) 宅配ドローン理想重心機と特願A
139) ドローンのデザインとは?
138) バッテリー初期不良の原因特定
137) DJI純正バッテリーの自己放電確認テスト
136) 5機目のDJI PHANTOM2
135) DJIは信用出来るのか?
134) 2016年のDJIクオリティの確認
133) 宅配ドローン実証機制作 その3 特許と許可申請
132) 宅配ドローン実証機制作 その2
131) 宅配ドローン実証機制作 その1
130) 航空法改正
129) 【特願A】実フライトテストNo1
128) 「ドローンから落下させる」機構制作とテスト
127) ドローンの飛行時間について
126) ゲインとは?
125) 首相官邸屋上のドローン落下事故に関して
124) リポバッテリーの検査方法
123) GoProのNDフィルタに関して
122) ホワイトハウス無人機墜落に関する推測
121) 特許出願機の実体化
120) 墜落原因の報告義務について
119) 危険な業者の判断方法
118) 注文者責任のとらえ方の変化に関して
117) マルチコプターが旅客機を墜落させる
116) マルチコプター全面禁止というシナリオ
115) マルチコプター墜落原因の解析について
114) GPSハッキング
113) 管理責任者の表示
112) フライト総重量の明示
111) 湘南国際マラソン墜落事故を考える
110) 雨とリチウムポリマーバッテリー
109) DJI lightbridge テスト開始
108) DJI Phantomd純正プロペラの評価
107) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価 その2
106) SUNNYSKY Xシリーズの評価 その2
105) 大型機とFPVの解禁
104) 「螺旋下ろし」で安全な機体回収
103) 固定ピッチのメリットとデメリット おすすめ
102) 3Dプリンタ打ち出し部品を信じるな!
101) 3Dプリンタとマルチコプター
100) 技術解説100ページの区切
99) マルチコプターとPL法
98) スチール撮影用マルチコプター入門
97) リポバッテリー内部検査の理由
96) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価
95) SUNNYSKY Xシリーズの評価
94) フルスクラッチマルチコプターのススメ
93) SONY SEL1018は、マルチコプター空撮に使えるか?
92) Amazon Prime Air
91) α7とα7R
90) 動画撮影前提のマルチコプターフライトテクニック
89) 航空法第二条
88) リポバッテリー充電ステーション設計中
87) マルチコプタージャマーについて
86) 空撮屋必修の書籍 :「一般気象学」 おすすめ
85) 電波障害の再検証
84) 空撮会社のノートパソコン
83) マルチコプター空撮機材車
82) 選別落ちリチウムポリマーバッテリーの例
81) プロペラバランスを極める
80) 機材車増車
79) 受注制限に関して
78) ブラシレスジンバル【1.0kgクラス】 業務投入開始
77) ブラシレスジンバル・最初の2週間
76) 1.0kgクラスのジンバル交換
75) 「GoPro HERO3 + ブラシレスジンバル」初フライト
74) ブラシレスジンバル組み付け中
73) パソコンの高性能化により、機体を軽量化?
72) モーターを使い切るノウハウの公開 おすすめ
71) 黎明期から成長期に入ったマルチコプター空撮
70) 夏場の駐車車内の温度上昇対策
69) 「社員パイロット」の責任範囲
68) 「幽かな彼女」ワーク解説
67) マンション眺望撮影専用機体の開発開始
66) コンパクトデジカメの可能性
65) 「フライト重量」は重要な技術スペック
64) 1.0kgクラス・最初の1ヶ月
63) AR.Drone 【屋内ハル】の流用
62) 1.0kgクラス4モーター フレーム再設計
61) 1.0kgクラス4モーター開発経過
60) 屋内限定業務用クアッドコプター開発開始
59) ハンディーカムCX430V導入
58) DJI Wookong-MのGPSアンテナ
57) DJIの品質は大丈夫なのか?
56) フタバ14SGは空撮送信機の定番と成り得るか?
55) サイバーショットDSC-WX200発表
54) リチウムポリマーバッテリーの短絡テスト おすすめ
53) 「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例
52) 軽量マルチコプターにベストなカメラは?
51) GTOスペシャルのワーク解説
50) リチウムポリマーバッテリー考察
49) 変電所付近での電波障害
48) ノーファインダー撮影が基本
47) DJI Wookong-Mの暴走原因の特定完了
46) 墜落テスト[2.0kgクラス 6モーター 2012年12月編]
45) DJI Wookong-Mの最新ファームに関して
44) AR.Drone 2.0はブロの撮影に使えるか?
43) プロペラ接触危険率 おすすめ
42) 2.0kgクラス高機動タイプ [Ver2] 開発中
41) 2012年夏のマルチコプター墜落の解説 【このページにて原因の特定説明】
40) 「受注見合わせ」と、「フライト制限」に関して
39) 重量級テスト機体の処分
38) マルチコプターに関する特許出願の内容
37) オクトコプター初フライト
36) 「人物接写空撮」とは?
35) 「2.0kgクラス 6モーター」第一期大規模改修完了
34) 「引きのカット」のカメラ角度について
33) 軽量マルチコプターだから出来ること
32) 0 [Zero]の機体が軽く精度が高い理由
31) マグネシウム合金が理想的なマルチコプターフレーム材
30) 6モーターは危険?安全?
29) 8モーターが安全な理由
28) 4モーターが危険な理由
27) DSLR搭載機開発の一時凍結
26) 初のマルチコプター空撮業務の解説
25) マルチコプターの事故と注文者責任 おすすめ
24) 降雪時のマルチコプター空撮サンプルとは?
23) エクストリーム空撮
22) プロペラバランス
21) リチウムポリマーバッテリー
20) マルチコプターの防振対策
19) JR XG8 本採用
18) モーターテスト用ベンチ制作
17) GoPro HE HERO2 専用ジンバルの試作例
16) 機体設計の方向性
15) ラピド工房
14) DJI Wookong-Mは最新ファームによりトラブル解決
13) αゲルとジンバル
12) 空撮ムービー撮影にフルサイズ一眼は必要なのか?
11) バルーン空撮屋の都合
10) DJI WooKong MとJR・DMSS2.4GHzとの相性?
9) DJI WooKong Mの初期不良確定
8) 犯人はコントローラー?受信機?
7) DJI WooKong Mのトリムズレ
6) 上空フライトテスト
5) 離陸から撮影までの所要時間
4) 実務を想定した弱風条件の動画撮影
3) 1号機にカメラ搭載
2) 最初の一週間
1) マルチコプターの導入

Home | ドローン空撮 | バルーン空撮 | 社長ブログもどき | 会社概要