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ドローン空撮[技術解説] - GoPro HE HERO2 専用ジンバルの試作例

GoPro HD HERO2 専用ジンバル
GoPro HD HERO2

マルチコプター空撮の定番と言えるGoPro。
HERO2(新型)は、「Wi-Fi」に対応したことから0 [Zero]でもテスト購入をしています。(2012年1月の段階でWi-Fi対応機未発売)

旧型と比べれば画質が大きく進歩。
Wi-Fiが期待通りの性能なら、撮影フィールドを広げる大きな武器になる可能性を感じました。

GoPro HD HERO2の特徴の一つは・・・
170度の画角
これを普通の搭載位置(機体の中心の下側)に取り付けると、当然ですが機体が映り込みます。
それを演出の一つとする方もいると思いますが消せる物は消すという方向で0 [Zero]は考えます。

先日の買い出しでは、このテスト機体となるクアッドローターの部品が含まれていました。
安定装置はGPS内蔵のWookong-Mではなく、簡易版のNAZA。
管理画面からジンバル制御は、「同一のアルゴニズム」と取れましたのでこちらの採用となりました。

ステディカムの応用

ステディカムの応用

映り込みを無くすには、この位置しかないと当初から考えていました。
重心調整は、バッテリーをカウンターウエイトとすることにより解決。
ブレ対策は、カメラ付近で行えば簡単なのですが・・・

最初期の試作ですので、思い切った事を試します。

具体的には、ステディカムの応用の研究。
重心は、高さ方向も含めマルチコプターのベスト位置に設定。
ホバリングからの急激な後進時に高さ方向のズレを最小限にするがこの試作機の目的です。

チルト

検証結果

後進時のカメラ位置の水平を保ちつつZ軸方向の動きをキャンセル。
この点に関しては、目論見通り。
元々がステディカムの応用なので、電気的な制御を加えなくてもある程度の水平を保ちます。
NAZA(自律安定装置)と別のジャイロを必要としますが2012年現在の機材を用いれば、現実的な重量の範囲で実現が容易です。
必要とする電力も少量で済むことから、1,000g以下の小型機にも採用できるシステムです。

この試作機は、マルチコプターの欠点の一つである「機体の見にくさ」を著しく改善します。
横方向からは、通常のヘリコプターと同じ感覚でフライト出来ます。
ただし、前進などの際に「テールパイプ」が傾かないことから不思議な感覚を伴います。

このコンセプトは、様々な発展も可能。
水平尾翼を装着し、前進に特化した機体などのバリエーションも可能。
プロペラとの位置関係に起因するのですがロール制御も同様に加えるかが今後の研究課題です。

なお、この試作の開発は一時的に停止。
ある程度の画質で妥協する「信頼性の高いGoPro搭載機」を優先します。

コラム:独自開発をする意味
チルト

一般的なマルチコプターのカメラ搭載位置では、機体が映り込む可能性があります。
特に広角レンズを用いた後進では、確実に問題となります。
これを避ける為にカメラ位置などを下げたり、重量バランスを崩してもカメラ位置を前進させて対応するなども・・・
この様なバランスを崩した機体は、機動性が確実に損なわれ見えない制御に貴重な電力が割かれる・・・
優秀なジャイロでキャンセルできている場合は、意識することも少ないかも知れません。
しかし、バランスを崩している機体は、確実に安全マージンを減らす方向にしか働きません。
※特に前後方向のバランス無視は、特定の風により舵を使い切る事も。

完全なバランスを取りつつ、超広角レンズを用いて機体映り込みを無くす。
これに対する0 [Zero]の答えが今回の試作機です。(開発が進むと、別の答えに行き着くことも・・・)

高さ方向の重心位置に注目してください。
どのような姿勢になっても、もっとも機動性を保てる位置に重心が固定されます。
「機動性が高い」としていますが、「止まりが良い」と、「電力消費が少ない」という副次的なメリットも生み出します。
GoProを搭載するという前提なら、デメリットは何もありません。
※技術が無くてブレが止まらないなどは別の話として

ジンバル制御サーボ

今回の試作は、実務を想定していません。
故に、非常に簡易的な構造になっています。
「簡易」と言っても、基本フレームはドライカーボン。
M4などの大きなサイズのネジ類は、マグネシウムを用いて、ある程度軽量に製作されています。
今回の試作機が非常に特徴的な形状且つ合理的な設計であることがわかって頂けると思います。

「なぜ、独自に機体を開発するのか?」と問われると・・・

「誰も、0 [Zero]の欲する機体を製作してくれないから」と答えます。

市販品で望む結果が出せるなら、それを用います。
画質・安全性・信頼性など、現場で必要な性能が市販品では足りない。
故に、独自開発という選択肢を選ぶ事になります。

コラムですので、少し脱線すると・・・
市販品で、性能が足りない理由。
それは、「開発者が撮影の素人」であることに起因します。
例えば今回の、DJIのジンバル制御アルゴニズムでも、それが確認できます。
まともなシンバルを製作できるエンジニアなら、あの制御はありません。
「ピッチ制御時のスピードコントロール」などは不要。(送信機からも、追加装置でも可)
しかし、「ピッチサーボの制御範囲は、大幅に不足」(サーボの分解能を理解しているのか?)
ある意味、「プロは、専用品を用意するでしょう」と言っているのか・・・(それなら、ジンバル機能はレスという方向で)
ただし・・・DJIは、「作動範囲が狭くても精度が高い」のが最大の特徴。
それは、マイクロコプターの安定部分を流用してのジンバル制御だから。
姿勢制御部分を流用しているからこそ、少ない動作角しか確保でき無いと読めれば・・・
結構、活用の範囲はあります。

なお、DJIなら上記の問題点にも、「いづれは」対策する事でしょう。
現在の所は・・・本気のジンバル制御にDJIは使えません。
重量増+別chが必要でも、別体でジャイロを用意です。(画質最優先機体の場合)

GoProを用いるような簡易的な機体の場合はDJIの純正機能を使い倒すまでです。

公開日:2012/01/12
最終更新日:2014/12/16
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