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ドローン空撮[技術解説] - JR XG8 本採用

XG8の本格採用
ハイテック・オーロラ9は非採用

過去のページにて送信機に関して触れています。
送信機は、空撮器機の重要パーツであり長期にわたって使用することになります。
信頼性・操作性・入手性など多くの選定項目があり選定には非常に気を使います。
昨年の夏にも、ハイテック・オーロラ9をテスト購入。
3台を購入し慎重にテストを重ねた結果、「非採用」の答えに行き着いています。
この事からも、慎重に送信機の世代交代をすすめるのがわかって頂けると思います。

今回のマルチコプター開発にあたっては、テレメトリーの魅力から数年ぶりに送信機の一新を計画しています。
前の送信機は、JR・PCM9X2(DSX9)。
初代PCM9Xから使っていますがトラブルを起こした事は一回のみ。
多少の降雨でも問題無し。
砂埃の多い建築現場もトラブル知らず。
プログラムも当時のフタバと比べるとよりスマートに感じました。

XG8は、当初からDJI Wookong-Mとの相性など不安材料を抱えていました。
さらに、1台目は購入一週間でスイッチが故障。
そのスイッチを使わないようにプログラムを行い、バルーン空撮のジンバル制御のメイン機として業務に投入しました。
2台目は、マルチコプターメイン機としてテスト購入。
これがバルーン空撮のスペア機となります。

バルーン・マルチコプターともに、信頼性を中心に検証を重ねて問題が無ければ・・・
晴れて本採用となり、3台目・4台目と買い進めることになります。

2台目もスイッチ故障

XG8 2台目もスイッチ故障

昨日の事ですが・・・
またしても、スイッチが故障。
この様に「ポロッ」とスイッチレバーが落ちてしまいました。
もちろん、スイッチは機能しません。
1台目と同じスイッチが短期間で壊れています。
内部を除くと、スイッチケースのカシメ部分が共に壊れています。(製造工場のミスの可能性大)

XG8は、確かに安い送信機です。
業務として用いるのなら、半年に一回に交換でも良いくらいです。
「なぜ、そこまでして安価な送信機を使うのか?」と問われれば・・・

「軽量な気圧高度計を備えた送信機がこれしかない」と答える事になります。

マルチコプター空撮も業務としますがバルーン空撮も平行して行います。
業務ではバルーンとマルチコプターのどちらも必要というパターンもあります。
この時に、スペアも含めて二系統の送信機を現場に持ち込むのは・・・少々厳しい物があります。
可能であれば、バルーンとマルチコプターも同じ物を使いたい。
できれば、大型となるXG11ではなく、小型軽量のXG8にて業務を行いたい・・・

高度120mからの見下ろし

バルーン空撮業務には、XG8を導入済み

数日前に、都内にて夜景撮影をバルーンで実施しています。
この日がXG8の初業務。

とても良い結果が得られました。
9X系と比べると圧倒的に軽量。
テレメトリーの気圧高度計も効果的でした。
タワーマンションの建築現場の撮影などでは、風向きにより係留地点を移動する必要があります。
←上空140mから真下を撮影。
完成したタワーマンションの中心を目指して、夜の工事現場内を徒歩で移動しています。
この様な時に、荷物が減るのは、大きなメリットです。
マルチコプターの送信機としてはXG8の非採用の可能性は残ります。(主として信頼性の観点から)
しかし、バルーン空撮では欠かすことの出来ない機材になりました。

バルーン空撮に用いる送信機と考えると・・・
少しだけ問題有り。
プログラム全体が、「素人向け」に進化しています。
ヘリや飛行機などのモードを選択すると、「余計なチャンネルには触らせない」という意志を強く感じます。
初心者の、失敗を軽減するというコンセプトは理解出来ます。
しかし、正規の利用方法と異なるバルーン空撮では、「気遣いがジャマ」になります。
最新のジンバルは、「何とか」物に出来たというレベル。
ブログラムに限っては、PCM9系の方が「好ましい」物でした。

※バルーン空撮で、ここまで送信機を使い倒すのは、0 [Zero]のみ。
あまり、参考にならない情報でした。

マルチコプターでXG8を非採用と考えて・・・
マルチコプターでXG8を非採用

マルチコプター空撮は、β版として業務提供が始まっています。
数日前も仙台にて仕事を一本こなしています。(XG8にて)
つまり、DJI Wookong-Mの問題が解決した時から、マルチコプターもXG8が本採用となっていました。

しかし、今回のスイッチ故障は「致命的な故障」
条件が重なれば、重大な事故の切っ掛けとなりえるトラブルです。

特定のスイッチが故障。
機体は、自動時にGoHome。
「自動的に帰ってくる」と言えば聞こえが良いですが、その飛行はコントロール出来ません。
つまり、経路に障害物があっても「飛行」する・・・
※実務では、真上に障害物とうパターンも・・・(橋脚の撮影など)

短期間で2回のトラブル。
これで、XG8の信頼性は無くなりました。
丁度、XG11が販売開始(当初予定よりも遅れて)となったことから、マルチコプターはXG11に変更という前提でJRに今回の事を問い合わせて見ました。

新たに得た情報は・・・
・XG8とXG11のスイッチは同じ物
・XG8とDSX9のスイッチも同じ物
・特に同様なトラブルの報告は、入っていない
・保証が効くので送信機を送って欲しい

DSX9(PCM系)は、バルーン空撮にて長年つかっています。
一度のマイナートラブルも起こしていない優秀な送信機です。
「このDSX9のスイッチとXG8のスイッチは同じ」が公式なコメントです。

今回トラブルを起こした二台のXG8は、微妙なタイミングで購入を行っています。
2011年の12月の購入。
この時はタイの洪水の影響から、様々な電子部品の動きが滞っていたタイミング。
もしかすると、通常のルートとは違う物が使われているのかもしれません。
それとも、万が一の偶然が重なったのか・・・

どちらにしても、新規のXG11の購入という方向性がここで消えました。
ならば、フタバに行くかと言うと・・・長年JRで通して来たことから動きにくいところ。
「サポートのJR」は、今回も機能しています。

修理に送るにしてもスペア機が無い状態では業務にならない事から、3台目の送信機を取り急ぎ発注しました。
こちらは明日の便で事務所に到着。
主要なデータをSDカード経由で引き継いでから、1台目からJRに保証修理に発送。

長いこと、JRの送信機を使っていますが初めて修理に送信機を出します。
この点からも、JRは信頼しているのですが・・・

業務ですので冷徹になる必要があります。
スイッチトラブルが今後発生した場合は迷わずJRから撤退します。
その時までに、フタバのテレメトリーが安価な機種(軽量)で充実していることを機体しています。

公開日:2012/02/01
最終更新日:2014/12/16
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