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ドローン空撮[技術解説] - 0 [Zero]の機体が軽く精度が高い理由

マグネシウム角パイプ
軽量化済みマルチコプター マグネシウムフレーム

マルチコプターはフレームで決まる

オクトコプターのフレーム加工が進んでいます。
314gのフレーム材は軽め穴が空けられて249gまで軽量化作業が進んでいます。
初めてのフルスクラッチとなりますが「想定ベストフレーム重量よりも、多少落としています」

落としすぎれば振動が減衰しない。
落としきれなければ、マグネシウムフレームの意味が無い。

過去の経験から、「やり過ぎたかな~」程度のさじ加減から、最初のフレーム加工はスタートしています。

フレーム重量として、連結パーツと取り付けネジの重量が加わります。
それを加えても、650mm想定のオクトコプターとしては軽量なフレーム重量であることは違いありません。
この機体で攻め過ぎなら補強機体の制作へ。
十分な性能があるなら、これを実務に導入しつつ、次はさらに攻める方向へ。

マルチコプターの制御部分・モーター・バッテリーなどは市販品を使うことが一般的。
つまり、誰が組んでもある一定の範囲に機体スペックは入る事になります。
しかし、画質や機体重量は明確な差が出ている。

理由は簡単です。
マルチコプターの性能差はフレームにより生まれます。

そして、他社の多くはここに気を使わなすぎています。
フレーム設計で9割。
加工精度で1割。

初の実務機体である2.0kgクラス6モーターはラピド工房の機体をベースとしています。
つまり、フレーム設計は基本的に市販品。
違いを出しているのはジンバルと防振装置の設計のみと言う事になります。
ジンバル回りのみで、他社との明確な差を出せると言う事は・・・
フルスクラッチ機体なら、さらに差が出せることを意味します。

次期オクトコプターの機体コンセプト
・機体の端ほど、丁寧に軽量化
・重心は理想点に限りなく近づける
・墜落時に、衝撃軽減をイメージする
・脚部を無くしても視認性を確保

軽い機体でも不要な動きが発生しないことに注目した設計コンセプト。
モーターやプロペラの選択も、同様に考えています。

乱れた姿勢を、どれだけ早く回復させるか
ここに注目しています。

いつもの通り、ブロは結果と考えています。
初回で、目論見通りになるとは考えていませんが・・・
何らかの結果は報告できることでしょう。

端がね

元組子職人が開発責任者

←マグネシウムフレームにスミ付け作業中。
0 [Zero]の開発担当は10年前にWeb制作会社を起業するまでは職人でした。(以下のコラムで詳しく)
それも、かなり先鋭的な事を行っていました。
マイクロメーターを用いて木材加工を行うという・・・大工などの、「普通の職人」からは想定も出来ないような、精度を追求する木工細工を仕事としていました。

この様な穴開け位置のスミ付けはその頃の仕事の応用。
ビシッとフレーム精度が出せるのは0 [Zero]の強みです。

コラム:組子職人

その当時(20年前)に、こんなレベルの木材加工を日常的に行っていました。
木材加工の、「精度」に関しては国内トップの職人でも、その当時の私に追いついていません。
加工精度は1/100単位で加工されています。
加工精度も異常なのですが通常の職人との最大の違いは、「段取り能力」と、「途切れない集中力」
高価な材料で一点物を制作するのが仕事ですので、間違うことが許されない仕事です。
集中力を持続しないと、加工中に指を簡単に落とすことになります。(建具・組子の職人は指がないことが多い)
この物差しで、マルチコプターを考えると・・・

「工業製品としてはバラツキが大きすぎる」と感じています。
それも、かなり・・・いい加減と・・・

このサイトでは度々「選別」という言葉が出てきます。
21) リチウムポリマーバッテリーでも述べていますがベテランが組んだバッテリーとそれ以外は明確な差があります。
この様な工業製品のパラツキは全ての部品に当てはまります。
Wookong Mなども・・・結構いい加減に制作されています。

良く「想定外」という言葉を容易く使う人を見掛けますが・・・
それは、「想定出来る能力があなたにない」からです。
自身の能力が足りない事に触れずに、他人のせい にする都合の良い言葉です。
「マルチコプターの事故率を下げるには全てのトラブルを想定する必要がある」
この想定が多くのプロは足りていません。
全ての工業製品は、「突然壊れる」という想定で、機体設計やフライト計画を立てれば・・・
自ずと選択肢は少なくなる事になります。
何度か書いていますがフレームは、「オクトコプター一択」です。

従来のガソリンラジコンヘリを用いてる業者は経験的に空を飛ぶ物が危険と思っているので問題無いと思います。
一度や二度は肝を冷やしたことがあるでしょう。
ホビー・産業に限らずに、命を落としている方が相当数いることも承知しています。
この経験により、最悪の事態をさける選択を行っています。
結果としてマルチコプターでも重大事故は発生させないと思います。

問題はマルチコプターから空撮「業務」に参入した、新しい空撮会社・・・
彼らは、「肝を冷やす」経験が不足しています。
それ故に、十分な経験も積まずに、人前で、「仕事」をやってしまいます。
現在の器機はそれなりの信頼性はあることから、滅多にトラブルは起こしません。
運良くトラブルも無く「仕事」をこなせれば良いのですが・・・
「彼らは突然のトラブルに極めて貧弱な対応能力しかない」事が特徴です。
例えば・・・有視界で飛ばすべき条件にもかかわらず、機体からのモニターに頼っている。
さらに言うと・・・
モニターを用いているにもかかわらず、主の被写体への通りが悪い・・・
完全に、未熟なフライト技術のサポートにモニターを用いているとしか思えません。(あくまで、例)
また、落ちる想定がされていない事から、実際に事故になってみないと事故規模がわからない事も困ったところです。

想定(段取り)能力が売りの組子職人の目では・・・
「新規参入のマルチコプター空撮会社が第三者と接触事故が発生」
その後に、5年間程度業界が衰退・・・
これが容易に想定出来ました。
そこで幾つかの対抗策の中から、選択したのが・・・

自身が人物接写空撮の第一人者となる

どのような方法を取っても、技術と覚悟がない新規の空撮会社による危険なフライト(例えば重量級ヘキサコプター)は無くせません。
無くせないなら・・・
0 [Zero](元組子職人)が業界標準をつくるまでです。
重量機体の開発を止めて、軽量機体開発を重点的に行うのは安全を基軸とする人物接写空撮の第一人者となるため。
その後に、安全に関するノウハウを重量機体に応用し、高品質低高度空撮の分野を固める。

これが中期の事業計画としてプラン変更を実施した内容です。

公開日:2012/03/10
最終更新日:2012/12/06
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