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ドローン空撮[技術解説] - 「2.0kgクラス 6モーター」第一期大規模改修完了

大規模改修完了
YouTube画質:720p推奨 モーションスタビライザー:未使用

大規模改修の内容

・高画質化:磁気ダンパーVer2に進化
・軽量化:2,000g切り達成
・GoPro対応
・飛行性能改善:強風時に人物接写も可能

磁気ダンパー:Ver2に進化

キャプチャ画像

もっともわかりやすい、大規模改修の効果が「画質」です。
磁気ダンパーの根本的な見直しにより、全ての速度域で画質の改善。
フルHDの、「動画」から切り出しした「静止画」でも一定の解像度が確保出来ます。

災害現場などを動画にて撮影し、静止画から解析。
この様な用途の実用域に入りました。

なお、磁気ダンパーには特許性はありません。
しかし、ノウハウに該当する事から具体的な改善内容は非公開とさせて頂きます。

軽量化:2,000g切り達成

2.0kgクラス 初期機体

カーボン・マグネシウム部材の穴開け。
不要部品の撤去(オリジナル機体に装着)により軽量化実施。
フライト重量は1,978g (バッテリー・カメラ込み)
←稼働時は2,095g。

つまり、当初から100g以上の軽量化が進んだことになります。
元々が2.0kgの機体ですので、この100gは大きな改善効果を生み出しています。
軽量化は理想重心点から離れた場所を集中的に実施。
その結果、機体の運動性能が大幅に改善。
強風時にも、従来よりも安定した画像が得られるようになりました。

カーボンスキッド

脚の軽量化は運動性能と直結

軽いことも重要ですが「軽さの質」はさらに重要です。
理想重心点から遠い場所ほど、軽量化は攻め込む必要があります。
マルチコプターの飛性能を低下させる要因はスキッド(脚)。
これの省略は目に見えるほどの飛行性能の改善を約束します。

0 [Zero]でも、スキッドレスも研究をしたのですが・・・
レスという方向にはなりませんでした。
スキッドを省力すると、上空での機体の視認性が著しく落ちる事が判明。
「上空で向きがわからなくなる」という低レベルな事では無く、「上空で軸が通しにくい」という、プロの撮影の都合からの問題です。
「形」としてはスキッドが必要という答えになりました。
ならば、カーボンスキッドにすれば改良終了かというと・・・
それも違います。
スキッドの着陸性能はあえて省略。
スキッドの機能は離陸と上空の視認性のみと割り切り、薄物のカーボンパイプにより構成されています。
一般的なカーボンスキッドの重量は半分以下。
ハードランディングなら、一発でスキッドのヒューズが働きます。
このスキッドは万が一の墜落時に衝撃を吸収する機能も兼ねています。
スキッドは自身を壊しながら衝撃吸収。
対象物を可能な限り衝撃から守るという設計です。

着陸はハンドキャッチしか選択肢がありません。

DJI Wookong_M アンテナ

GPSアンテナ位置の改善

今まではDJI推奨の位置にGPSアンテナを取り付けていましたがこの位置に修正。
純正のアルミ+カーボンの取り付け部材も省略できることから、結果的に軽量化。

アンテナプレート(アースプレート)はマグネシウム合金=AZ31を用いています。
※興味がある方はGPSの電波特性とAZ31に関して調べて見て下さい。

GPS受信感度の改善と重量のバランス。
地磁気の影響と多少の、「ハレ切り効果」
マルチコプターのGPSアンテナはAZ31を用いて、この位置がベストと考えています。

なお、AZ91でも可(重量的にAZ31よりは多少不利)
M1・純マグは不可(体積抵抗率の関係から)
入手性の観点からアルミ合金という選択肢は可。
当然ですがFRPは不可。

GoPro対応

GoPro搭載マルチコプター

170度がGoProHERO2の広角端の画角。
機体の映り込みを避けるには機体の最前部にカメラを搭載するしか解決方法はありません。
さらに、広角端では水平線の歪みが大きいことから、カメラを水平に搭載することが基本。
カメラを前方に搭載すると、重量バランスが著しく悪化。
つまり、安全率が下がる事となる。

GoProの広角端性能を全て引き出すには、「専用機」しか解決方法はありません。
「専用機」の開発にはそれなりの開発期間も必要となる。
2012年4月現在ではCANON 5Dmk3 Nikon D800というバルーン空撮に必要な重要なカメラが発売されている。
こちらも、購入し眺望撮影などの機材も開発しなければならない。
空撮ハイシーズンを控えていることから、開発時間が足りない・・・

しかし・・・GoProにも一定の需要がある。

そこで、暫定的な解決方法として、既存のジンバルにGoPro専用のアタッチメントを作成。
ジンバル部分の重量バランスは悪化(制御サーボに負担)となりまずか、さらに前方の下部にカメラを搭載。
この位置ではジンバルの理想的な重心点から離れるので、画質面では不利。
しかし、機体の重心はカメラが軽量な為に結果として保つことが出来ます。
全速力の前進では機体が映り込みますがゆったりとした速度なら問題無し。
「引き」や「横移動」のドリーショットは全速でも問題無し。
わずかにカメラをピッチ方向に下げれば、全速前進も問題無し。
「専用機」と比較すると、「カメラを水平とした時の、全速前進に対応出来ない」
これが唯一のデメリット。(ここがGoProの最大の魅力とも・・・)
純正のハウジングを流用しアタッチメントを制作したことから、結果として「完全防水対応」
雨天の撮影では活躍が期待されます。

なお、GoPro専用機の理想的な形状はY型6モーター。
バッテリーなどのカウンターウエイトをキチンと設計すれば、理想重心を保ったままで、機体の映り込みを一切排除出来ます。
しかし、Y型は一系統トラブルにより墜落リスクが高い事から採用は慎重になる必要があります。
専用機開発の可能性は残しますが開発順位は最下位の機体となります。

飛行性能改善:強風時に人物接写も可能

強風テスト

軽量化の一環として、重量バランスの適正化が実施されています。
また、33) 軽量マルチコプターだから出来ることにて実施された、「プロペラの軽量化」は強風・突風時の安全性確保の観点から元に戻されています。
この結果、強風時のフライト性能と画質の改善が出来ました。
以下のサンプル撮影時には3フライトを実施していますが平均6m/s。最大9.7m/s(実測データ)のフライトですがパイロットの精神的な疲労は通常業務の範囲でした。
被写体である桜に、「ある程度」寄っていますが機体にもパイロットにも一切の不安は無し。
次回の強風テスト時にはさらに「攻め込む」予定です。

数値化は難しい部分なのですが今回の大規模改修でもっとも有効な改善が「強風でも不安無く飛ばせること」
しっかりとした舵が機体に入る事から、この様な強風時にも自信を持って業務を行う事が出来ます。
もちろん、10m/sでも流されるようなことはありません。

YouTube画質:720p推奨 モーションスタビライザー:未使用
公開日:2012/04/11
最終更新日:2012/12/06
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