Ver6_img

ドローン空撮[技術解説] - 夏場の駐車車内の温度上昇対策

夏場の駐車車内の温度上昇対策
マルチコプター空撮車両

炎天下の車内は気温60℃を超える事もあります。
この様な環境下で、リポバッテリーを放置すると・・・

2013年の夏は2回目の夏となります。
夏対策の十分なノウハウが蓄積されていることから、特に真新しい対策はありません。

ここでは0 [Zero]の夏対策の基本の一部をご紹介します。

高地でのバルーンテスト

バルーン空撮も出来るラジコン空撮屋

0 [Zero]と一般のラジコン(マルチコプター)空撮会社との大きな違い。
それはバルーン空撮も業務の一部としている事。
さらに、バルーンは業界唯一の車載式である事。です。
0 [Zero]のバルーン空撮最大の特徴はヘリウムガスを廃棄しないこと。
撮影に用いたヘリウムガスは専用車両の中で気体の状態で保管されています。
2012年秋からヘリウムガス危機が発生しています。
今現在(2013年6月)も、市場には十分と呼べる量の供給がありません。
この様な中でも全ての仕事が完遂出来ているのはヘリウムガスを廃棄しないという機材を唯一所有しているからです。
この保管のノウハウがマルチコプター空撮の業務にも応用されています。(自社開発・自社製造・特許出願済み)

ヘリウムガスの取り扱いに慣れている方は希かと思いますが・・・
・ガスバリア性
・比熱容量

この様なヘリウムガスの特性をしっかりと理解しないと車載運用は出来ません。
具体的には・・・
・標高が高いとバルーンは膨らむ
・温度が高いとバルーンは膨らむ

この様な特性があります。
車両に搭載したままで、夏期などに保管を行うと熱膨張により、バルーンは破裂してしまいます。
破裂させない為に、温度を下げる工夫。
同時に、何度まで上昇するから、ある程度のヘリウムガスを事前に抜くという車載式バルーン運用のノウハウが身につきました。
つまり・・・
夏場の駐車車両の温度変化に関するノウハウが事前に蓄積されています。

温度計の誤差計測中

用いるのは最大気温が記録できる温度計

←本格的な夏シーズンを前に、温度計を準備中。

用意するのはこの様な温度計です。
これらは最高気温と最低気温を保持することが出来ます。
※熱帯魚用品
これを、車内やバッテリーケースに入れておきます。

対策は基本的にはコレのみです。

バッテリーケースなどは常温での管理がベストなのですが・・・
実務では駐車車両に一時的に放置するしか無いと言うこともあります。
そして、その時間が想定以上に長くなることもあります。

炎天下の車内に長時間、バッテリーケースを放置。
その動力バッテリーは廃棄するべきなのか?
この判断に温度計を用います。

炎天下に放置したバッテリーケース

後はご自分で研究してください。

炎天下の車内での放置などあり得ないなら良いのですが・・・
プロの現場では様々な事が起こります。
バッテリー以外にも、機体なども炎天下の車内に放置なども良くある事です。
リポバッテリー以外にも、高温に耐性が無い用品は多く・・・

←これはツールボックスに入っていた両面テープ。
特定の両面テープは高温に対して極端に弱い物もあります。
その逆に、低温に弱い物も・・・
必要とされる能力によって、両面テープを使い分けるのも一つの例。

炎天下に放置したバッテリーケース

安全管理をする上で、高温耐性の把握は重要です。
用いる機材は想定される最高気温下で耐久テストが必要。
0 [Zero]が現在取り組んでいるのは・・・
機体の総合的な耐熱性の確認です。

←バッテリーケースの奥に見える機体は耐熱耐久テスト機体。
5月中頃から、既に2週間の放置です。
まだ本格的な炎天下シーズン出ではないことから、車内の最高基本は52℃に留まっています。
今のところは小さなトラブルも見つかっていません。

この様な日々のテストの積み重ねで信頼性は蓄積されています。
0 [Zero]では様々な器機を必要以上に購入しているというイメージが周囲にはあるようですが・・・
実際に、その通りです。
この様な高温耐久テストも・・・
壊すまで車内に放置します。
例えば特定の部品が長時間の高温に弱いと判明したなら・・・
それは重要なノウハウとなります。
この様な他社との差別化に必要なノウハウは当然ですが非公開となります。
0 [Zero]の中ではこの様な非公開のノウハウがゴロゴロと転がっています。
例えば、振動しないモーターの選別方法などが重要なノウハウの例です。
※機会があれば、入り口はご紹介します。

このページの本題に戻ります。
「炎天下の車内に放置したリポは使っても良いのか?」

この問いに関しては
「不安なら廃棄して下さい」となります。
どの程度の温度下に、どの時間放置するとマズイのか・・・
実のところ、私もわかりません。
ただ言える事は・・・
疑わしいと感じたバッテリーは必要に充放電を繰り返してデータを取る。
そのデータを元に、バッテリーの状態を判断しています。
炎天下のバッテリー放置に限りませんが実際にご自分で試すことが全てのスタートでしょう。
ネットに落ちている「常識」は・・・
情報のみが一人歩きしている事も多い物です。

公開日:2013/06/04
最終更新日:2013/06/04
前へ一覧次へ

ドローン空撮[技術解説] 関連リンク

142) 【特願D】宅配ドローンヘリポート
141) 宅配ドローン着陸姿勢と特願A
140) 宅配ドローン理想重心機と特願A
139) ドローンのデザインとは?
138) バッテリー初期不良の原因特定
137) DJI純正バッテリーの自己放電確認テスト
136) 5機目のDJI PHANTOM2
135) DJIは信用出来るのか?
134) 2016年のDJIクオリティの確認
133) 宅配ドローン実証機制作 その3 特許と許可申請
132) 宅配ドローン実証機制作 その2
131) 宅配ドローン実証機制作 その1
130) 航空法改正
129) 【特願A】実フライトテストNo1
128) 「ドローンから落下させる」機構制作とテスト
127) ドローンの飛行時間について
126) ゲインとは?
125) 首相官邸屋上のドローン落下事故に関して
124) リポバッテリーの検査方法
123) GoProのNDフィルタに関して
122) ホワイトハウス無人機墜落に関する推測
121) 特許出願機の実体化
120) 墜落原因の報告義務について
119) 危険な業者の判断方法
118) 注文者責任のとらえ方の変化に関して
117) マルチコプターが旅客機を墜落させる
116) マルチコプター全面禁止というシナリオ
115) マルチコプター墜落原因の解析について
114) GPSハッキング
113) 管理責任者の表示
112) フライト総重量の明示
111) 湘南国際マラソン墜落事故を考える
110) 雨とリチウムポリマーバッテリー
109) DJI lightbridge テスト開始
108) DJI Phantomd純正プロペラの評価
107) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価 その2
106) SUNNYSKY Xシリーズの評価 その2
105) 大型機とFPVの解禁
104) 「螺旋下ろし」で安全な機体回収
103) 固定ピッチのメリットとデメリット おすすめ
102) 3Dプリンタ打ち出し部品を信じるな!
101) 3Dプリンタとマルチコプター
100) 技術解説100ページの区切
99) マルチコプターとPL法
98) スチール撮影用マルチコプター入門
97) リポバッテリー内部検査の理由
96) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価
95) SUNNYSKY Xシリーズの評価
94) フルスクラッチマルチコプターのススメ
93) SONY SEL1018は、マルチコプター空撮に使えるか?
92) Amazon Prime Air
91) α7とα7R
90) 動画撮影前提のマルチコプターフライトテクニック
89) 航空法第二条
88) リポバッテリー充電ステーション設計中
87) マルチコプタージャマーについて
86) 空撮屋必修の書籍 :「一般気象学」 おすすめ
85) 電波障害の再検証
84) 空撮会社のノートパソコン
83) マルチコプター空撮機材車
82) 選別落ちリチウムポリマーバッテリーの例
81) プロペラバランスを極める
80) 機材車増車
79) 受注制限に関して
78) ブラシレスジンバル【1.0kgクラス】 業務投入開始
77) ブラシレスジンバル・最初の2週間
76) 1.0kgクラスのジンバル交換
75) 「GoPro HERO3 + ブラシレスジンバル」初フライト
74) ブラシレスジンバル組み付け中
73) パソコンの高性能化により、機体を軽量化?
72) モーターを使い切るノウハウの公開 おすすめ
71) 黎明期から成長期に入ったマルチコプター空撮
70) 夏場の駐車車内の温度上昇対策
69) 「社員パイロット」の責任範囲
68) 「幽かな彼女」ワーク解説
67) マンション眺望撮影専用機体の開発開始
66) コンパクトデジカメの可能性
65) 「フライト重量」は重要な技術スペック
64) 1.0kgクラス・最初の1ヶ月
63) AR.Drone 【屋内ハル】の流用
62) 1.0kgクラス4モーター フレーム再設計
61) 1.0kgクラス4モーター開発経過
60) 屋内限定業務用クアッドコプター開発開始
59) ハンディーカムCX430V導入
58) DJI Wookong-MのGPSアンテナ
57) DJIの品質は大丈夫なのか?
56) フタバ14SGは空撮送信機の定番と成り得るか?
55) サイバーショットDSC-WX200発表
54) リチウムポリマーバッテリーの短絡テスト おすすめ
53) 「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例
52) 軽量マルチコプターにベストなカメラは?
51) GTOスペシャルのワーク解説
50) リチウムポリマーバッテリー考察
49) 変電所付近での電波障害
48) ノーファインダー撮影が基本
47) DJI Wookong-Mの暴走原因の特定完了
46) 墜落テスト[2.0kgクラス 6モーター 2012年12月編]
45) DJI Wookong-Mの最新ファームに関して
44) AR.Drone 2.0はブロの撮影に使えるか?
43) プロペラ接触危険率 おすすめ
42) 2.0kgクラス高機動タイプ [Ver2] 開発中
41) 2012年夏のマルチコプター墜落の解説 【このページにて原因の特定説明】
40) 「受注見合わせ」と、「フライト制限」に関して
39) 重量級テスト機体の処分
38) マルチコプターに関する特許出願の内容
37) オクトコプター初フライト
36) 「人物接写空撮」とは?
35) 「2.0kgクラス 6モーター」第一期大規模改修完了
34) 「引きのカット」のカメラ角度について
33) 軽量マルチコプターだから出来ること
32) 0 [Zero]の機体が軽く精度が高い理由
31) マグネシウム合金が理想的なマルチコプターフレーム材
30) 6モーターは危険?安全?
29) 8モーターが安全な理由
28) 4モーターが危険な理由
27) DSLR搭載機開発の一時凍結
26) 初のマルチコプター空撮業務の解説
25) マルチコプターの事故と注文者責任 おすすめ
24) 降雪時のマルチコプター空撮サンプルとは?
23) エクストリーム空撮
22) プロペラバランス
21) リチウムポリマーバッテリー
20) マルチコプターの防振対策
19) JR XG8 本採用
18) モーターテスト用ベンチ制作
17) GoPro HE HERO2 専用ジンバルの試作例
16) 機体設計の方向性
15) ラピド工房
14) DJI Wookong-Mは最新ファームによりトラブル解決
13) αゲルとジンバル
12) 空撮ムービー撮影にフルサイズ一眼は必要なのか?
11) バルーン空撮屋の都合
10) DJI WooKong MとJR・DMSS2.4GHzとの相性?
9) DJI WooKong Mの初期不良確定
8) 犯人はコントローラー?受信機?
7) DJI WooKong Mのトリムズレ
6) 上空フライトテスト
5) 離陸から撮影までの所要時間
4) 実務を想定した弱風条件の動画撮影
3) 1号機にカメラ搭載
2) 最初の一週間
1) マルチコプターの導入

Home | ドローン空撮 | バルーン空撮 | 社長ブログもどき | 会社概要