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ドローン空撮[技術解説] - 機材車増車

マルチコプター空撮専用車両
ハイエース ワゴンGL荷室

マルチコプター空撮の専用車両として機材車を新規に導入。
最適化作業を進めています。

購入車両は機材車としては定番のハイエース。
これを、0 [Zero]の実務に特化させます。
・簡易的なロケバス機能
・長距離移動対応

0 [Zero]の撮影はコンデジ(RX100)を用いたスチール撮影から、1kgクラス・2kgクラスを投入するドラマ撮影などが現在の業務です。
今のところはワゴンで機材量は問題無し。
現場にて、ディレクターさんが1名同乗までは対応出来ていました。
しかし・・・
0 [Zero]も、2kgクラス以上の機体を視野に入れるべき段階に入っています。
十分な安全面のノウハウが蓄積された段階から、REDなどを搭載するCM撮影機なども導入する事となるでしょう。
ここまで、もう数年と言ったところです。
もちろん、実務開始前には必要なテストも必要です。
数年先を考えつつの、機材車増車です。

0 [Zero]の業務特化とは?

◆2013年8月までの想定
案件A:スチール撮影【人員=2名】【機体=2機】
案件B:ドラマ撮影(小規模)【人員=2名】【機体=4機】

◆専用車両導入後の想定
案件C:ドラマ撮影(大規模)【人員=3名】【機体=6機】
案件D:ドラマ撮影(長期間)【人員=2名】【機体=4機】【メンテスペース】
案件E:CM撮影【人員=3名】【機体=大型3機】
案件F:ロケ対応【人員=6名】【機体=2機】【ゲスト機材】

案件C以降の業務はワゴンでは不可能です。
これに対応するための、機材車の投入です。

同業者が想定していないのは 案件Fのロケ対応。
これはロケ先で車両を一台にまとめるという簡易的なところから、フル乗車で泊まりがけと言う本格的なところまでを想定しています。
マルチコプター空撮に関する業務を可能な限り一台で叶える。
この様な目的の為に、車両は改良を加えられていきます。

マルチコプター空撮車両:長距離移動への特化
遮音工事

・遮音工事
・高速走行の改善

元々が商用車ですので、この様な長距離対策は必須の改良となります。
天候と相談しながら現場に入るのが空撮屋です。
0 [Zero]の標準は撮影前日の夕方に判断して現場に入るかどうかを判断する。
つまり、片道1,000km程度は徹夜で走った後に仕事を行います。
空撮屋は0 [Zero]に限らずに長距離を走る事が常の仕事です。
その移動の疲労度を下げる観点から、乗用車並みの快適性を得る改良を施します。

マルチコプター空撮車両:電源
電源

小型機ならば、この量の親電源を確保すれば、問題になることはありません。
動力バッテリーを10セットほど満充電で望めば、一日中という単位でフライトが可能です。
しかし・・・大型機では大変です。
それほど、使用頻度が無い大型機用の動力バッテリーを豊富に用意するのは非効率。
動力バッテリー(リチウムポリマー)は寿命があることから合理的とは言えません。
ほどほどの量を用意して、都度充電が大型機のバッテリー管理では合理的と思えます。
最終的には運用テスト後の判断となるのですがこのクラスの親バッテリーを10本程度は車載する必要があると思われます。
現段階では親バッテリーの多搭載を想定して、シート位置などを設計しています。

当分は車両の改修は機体の開発と平行して進められます。

コラム:自動車一つでも、考え方は見えてくる

コラムですので、空撮とは違った方向に脱線した話をさせて頂きます。
それはマルチコプター空撮の業者が採用している車両に関してです。

空撮に携わると、「位置エネルギー」を意識する機会が多くなります。
スピードは位置エネルギーとして蓄えることが出来る。
また、位置エネルギーはスピードに変換することも出来る。
飛行機をイメージすると、このエネルギー変換は理解しやすくなります。
従来型ラジコンは飛行機ほどでは無いですが、位置エネルギーをローターにため込むことが出来る。
自動操縦に頼らない従来型のラジコンで基礎が出来ている方には釈迦に説教ですね?
ではなぜこの様な事を引き合いに出したかというと・・・
マルチコプターから参入した技術の低い方は、エネルギー変換がイメージ出来て無い。
面白い事に、この様な方の多くがハイブリッド車で業務をしていると思われます。(もちろん、例外もあるかと思います。)
この様に感じたからです。
「回生ブレーキ」と言えば聞こえは良いですがその実体はデシタル操作しているアクセルの無駄の回収です。
一般のドライバーが市街地メインで走るなら、それもアリでしょう。
しかし・・・濃密なアクセルワークをこなせる(と期待する)、プロの空撮屋が用いる高速主体の車両にハイブリッドという選択は無いでしょう。
空力主体の車選びは理解出来ます。
積載容量主体も、同様に理解出来ます。
しかし・・・
ハイブリッド車の採用は・・・理解に苦しみます。
「回生エネルギーをため込むバッテリーの寿命をイメージ出来ますか?」
「時速○○○kmで、巡航しているときの瞬間燃費をイメージ出来ますか?」
「時速100kmなら、何Rのコーナーまで、アクセル一定でクリア出来ますか?」
これらは濃密なフライトが出来る方なら、即答出来て当然の事。
フライト技術は自動車の操縦技術と多くのところで繋がっています。
とっ言うよりも・・・一定水準以上のフライト技術を持っているなら、ハイブリッドは非効率という答えに容易に行き着くはずです。
回生する機会が少なければ、ハイブリッドの機構はデッドウエイトになってしまいます。
ここを、ハイブリッド車採用の新規の空撮屋さんは読めていません。
メーカーサイドのコメントを鵜呑みにするとこも、一緒とも・・・
仮に、「イメージ戦略でハイブリッド車なんだよ・・・」と反論するかも知れません。
???
空撮の客先の多くは技術系のご担当者が多い事かと思います。
この様な方に対しては無策のハイブリッド採用の方が遙かにマイナスになるかと思うのですが・・・

空撮屋の車両としてはAWDの採用も譲れない所でしょう。
スチール・動画の業務にかかわらず、空撮は自然の多いところで撮影される機会が多い。
そして、ベースとして最前線に進む必要がある。
ベストはクロカン車と同等の走破性能となるのですが・・・総合的に考えると、この性能のみに特化するのは厳しいところ。
もちろん、ネイチャー系の空撮を主業務とされる方にはもっとも必要な性能でしょう。
0 [Zero]も含めて、「まんべんなく」という空撮会社は生活四駆も含めて常識的なAWDの採用で十分でしょう。
しかし・・・AWDを選ばないという選択肢は無いと思われます。

業務に用いる車両を拝見すると、その方の考え方や技術レベルを推測する手がかりとなります。

公開日:2013/08/25
最終更新日:2013/09/03
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