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ドローン空撮[技術解説] - リポバッテリー充電ステーション設計中

マルチコプターの落とし方
リポ管理とアイスボックス

冬期長時間のロケには、バッテリーの温度低下対策が重要なポイント。
機材車が大きくなったことから、「完璧」と呼べる充電ステーションを搭載することが可能になりました。

注意:
このページでは、発泡ウレタンなどを用いたクーラーボックスを転用した充電ステーションに関して記されています。
万が一の発火の際には、被害を広げる方向に働く充電ステーションです。
リチウムポリマーバッテリーの内部検査などを必要に実施。
実際に用いるバッテリー(規格により短絡時の動きが異なる事から)は、短絡による燃焼テストもされています。
十分な運用期間と、必要なテストを行った上で、より高い信頼性を得る為に自己責任で制作されます。
これを参考に同等機材を制作する場合は、純正パッケージを剥がしハンダ付けと保護テープに問題が無いことを確認してから取り組んでください。

イグルー クーラーボックス
大型機運用の前準備

0 [Zero]も、いずれは大型機を導入することになります。
その際には、小型機と違ったバッテリー運用のポリシーが必要になります。
最終的には実務運用後に判断となりますが、現在のところは・・・
充電済みバッテリーは少なめで逐次充電
この様なスタイルから試そうと思っています。
この方法の場合は、現場での充電の質が問われることになります。
いつも、車両の中で充電が出来るなら、一定水準の充電環境が供給出来ます。
しかし、実務の環境は様々。
車両から5分以上離れた場所にベースを構築して、朝から晩まで撮影を行うなどと言う事も普通にあります。
この様な業務では、車両とベースを行き来するロスも気になるところ。
春や秋の恵まれた環境なら、問題はありませんが・・・
マルチコプター空撮の現場は過酷なことの方が多い。
故に、保管中の温度管理にも気を配りたい。
充電から保管までを現場で完璧と呼べるレベルで実施することを目的に、充電ステーションを設計しています。

なお、2013年秋の段階では、0 [Zero]の稼働機は2.0kg以下の小型機のみ。
この充電ステーションは、オーバークオリティと言えます。
目的は大型機採用前に、充電ステーション運用ノウハウを蓄積する観点から。
大型機の採用は、慎重に進めます。

MARINE BREEZE MAXCOLD ULTRA  50 ROLLER<
大型キャスター付きで、荷室にピッタリ

←充電ステーションの設計は、このクーラーボックスの発見で半分は完了したような物です。

igloo(イグルー) クーラーボックス MARINE BREEZE MAXCOLD ULTRA 50 ROLLER

ご覧の様に、機材車の荷室にジャストサイズ。
※車両シート取付位置も改修しています
特大のキャスターも付いているので、現場で、「ガンガン」使い倒すことが出来る。
見た目は綺麗ではありませんが、容易く壊れそうもありません。
色が「白」なのは、クーラーボックスなので妥協すべきところ。
なお、釣り具メーカーの高性能なクーラーボックスにもキャスター付きがありましたが、そちらは非採用。
キャスターは小さめ。持ち手は、長時間の使用に耐えられない「仮」と呼べる程度の物。
日々の業務で使うには信頼性に不安がありました。

仮に、車両のみで完了できる業務が主体なら・・・
スタイロエース(高性能断熱材)などを用いて、車両に据え付けのシステムを制作した方が合理的と思えます。
車両据え付けなら、耐熱合板なども用いて、保冷と防火の両面から対策したシステムも制作可能でしょう。
0 [Zero]の場合は、「車両から移動する」という業務が多い事から、このスタイルの採用です。

MARINE BREEZE MAXCOLD ULTRA  50 ROLLER<

中に入れた親バッテリーは、20kgオーバーのドライバッテリー。
残念ですが、この向きでしか入りませんでした。
親バッテリーは、トローリーで運び、屋外保管でも良いかもしれません。
このドライバッテリーは、リポと比較すると低温特性に優れることが特徴。
小型のクーラーボックスにして、外部のドライバッテリーから電源供給というのもアリでしょう。
もちろん、発電機などによる外部供給も、業務によっては考えられるのでしょうが、ドラマ撮影などが多い0 [Zero]の場合は困難です。
あくまで、親バッテリー持ち込みを主軸に考えます。

今後は、容量を1ランク落としても、2~3個搭載で親バッテリーを選定。
夏期のクーラーと、冬期のヒーターを設置。
その後に庫内を、充電スペースと保管スペースに区分。
ここまでで、充電ステーションの初号機は完成となります。

シマノ FIXCEL PREMIUM300
高性能クーラーも必要

今回の、「システム一式」には、釣り具メーカーの高性能クーラーも含まれています。
参考購入価格:¥40,000 (釣具店にて現物を確認し購入)

これは、夏場の過疎地での長期間ロケ対策の為。
充電ステーションに用いる「保冷剤の保管庫」です。
上記のキャスター付きのクーラーボックスは、「普通」のウレタン断熱材。
30度以下に保てば、本来の目的は達成出来ます。
しかし・・・内部から熱を出すと考慮すると、夏期ならば保冷剤が1日持ちません。
※充電後の保管のみにクーラーボックスを用いるのが合理的か?
複数日のロケで、保冷剤の供給もままならないとすると・・・このシステムは成り立ちません。
そこで、3日程度のロケを無補給で乗り切るという観点から、保冷剤保管用のクーラーボックスを用意しました。
この購入は、2013年10月。
当然ですが、夏場は終わっているのですが・・・
車両の荷物配置を考える必要があることから、早めの購入です。

今後の作業

まずは、親バッテリーの選択を行います。
ドライバッテリーから、庫内が最も合理的に使えるサイズを選択。
現場運用では、親バッテリーの交換などの必要性もあることから、慎重に設計は詰めることになります。
その後に、複数系統の充電器を購入。
夏期運用を考慮すると、ファンからの廃熱対策なども必要。(吸排気は外気を用いるか?)
廃熱の観点からも高効率な充電器を用意したいところ。
可能であれば、簡易的な防火対策も施工。
外部電源対策やら、各種計測装置の装着。
それらの廃熱対策と、ヒーター・クーラーの設計。
最低でも、「夏仕様」「冬仕様」の二台スタンバイは必要と思えます。
完成後に、実務での耐久テストと・・・
完成には、数ヶ月を必要とします。
その後に、冬期と夏期の実務テストも必要。
大型機運用の安定性を上げる為には、この充電ステーションの信頼性向上も必須性能のひとつです。

公開日:2013/11/04
最終更新日:2013/11/04
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