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ドローン空撮[技術解説] - 【特願A】実フライトテストNo1

【特願A】実フライトテストNo1

ヒモ付きドローン。
この最適解を0 [Zero]が示します。

注意:
特許出願済 【国際出願番号:PCT/JP2015/64381】
このページの機体は、国際特許出願済みとなっています。

初フライト完了
初フライト完了 [2015年9月1日]

秋雨前線の影響から雨が続きます。
バルーン・ドローン共に業務空撮は天候待ちへ
溜まっていた画像加工も一段落したことから機体開発を再開しました。

溜まっていた開発案件から手を付けたのは、【特願A】搭載機。
数ヶ月前に95%程度の完成度のまま放置されていました。
この機体を半日ほどの調整作業後に初テストフライトを実施。
このアングルからは、「少し形状が独特のラダーフレーム機」と見えるかと思いますが・・・
数年後に振り返ると、特定ジャンル(このページの下部にて)のドローンの始祖となる機体です。

重心は、揚力点に合わせることがベスト
【特願A】のおさらい

「揚力と重心を一致させる」
これが、【特願A】の基本的な構造です。
信頼性が大幅に高まる他に、最高速引き上げや積載物の荷重変化対応などの付加機能も発生します。
この【特願A】を、ヒモ付きドローンに用います。

まずは、普通のドローンにヒモを付ける事によるデメリットを示します。
・ヒモの絡まり
・高度変化によりゲイン変化発生
・余剰浮力の減少

【特願A】は、上記のデメリットを低減するのに効果的です。
ヒモの取付点は物理的に下げられる事から絡まりのリスクが少なくなります。
高度があがるとヒモの自重が増えます。この様な時にも物理的にゲイン変化が発生しません。
また、モーターの最大負荷が低減されることから余剰浮力も一般機体よりも余裕があります。
一言で言うと、「ヒモが絡まりにくくゲイン変化が発生しない」
これが、【特願A】を用いたヒモ付きドローンの特徴です。

ドローンの理想モデル
ドローンの理想モデル

←これが、強風下でホバリングしている際の姿勢です。
GPSアンテナ(白い部分)に注目してください。
この様な姿勢になっても、GPSアンテナは水平に保たれることから安定した受信感度が期待出来ます。
傾きが発生しないことから、輻射波やジャマー対処方法の引き出しも増やせます。

ジャイロ(GPSアンテナから数cm下の位置)は、重心点と完全な一致が可能。
この様なジンバル構造により、コントロールユニットにオフセットが発生しません。
これらが、「ドローンの理想モデル」とする根拠です。

全速後退姿勢
最大負荷を想定したフライトテストが必要

←全速後退姿勢。
平均風速10m/sを保証すると仮定すると、この程度の傾きまで想定する必要があります。
10m/sは強すぎると言う方もいるかと思いますが・・・
地上が風速5m/sで上空10m/s超は都内などでも普通にある条件です。
この機体の場合は、強風時のヒモの扱いを含めた運用ノウハウの蓄積が大切であると考えています。

フライトテストの結果

フライトテストの結果

今の段階では、大きな問題も新たな発見もありません。
フライト回数を重ねて運用ノウハウを積み重ねるという段階です。
本日の所はジンバル部分に用いている3D打ち出し部品の一部に強度不足が判明。
設計を改めて明日以降もテストを実施します。

なお、今回は、「ヒモ付き」として設計されていますが、【特願A】が本領を発揮するのは地上給電タイプの機体です。
ヒモよりも電線の方がゲイン変化は自ずと大きくなります。
機体側からバッテリー重量が軽減されることになるために、このゲイン変化は無視出来ないレベルに達します。
運用する高度により限界は決まるのですが、数時間というレベルで同じ場所に留まる必要のある業務では、モーター間の負荷が均一化されるという【特願A】の特徴も生きてきます。
0 [Zero]は、バルーンを用いたマンション眺望撮影のスペシャリスト。(都内の主要な高層タワーマンションに多く納入)
数年後に実現される、マンション眺望撮影専用ドローンの最初の試作機がこれとなります。
15階以下のマンション眺望撮影のボリュームゾーンでは、地上給電+【特願A】がもっとも合理的な機体であると考えています。
20階以上のタワーマンションは、給電電圧の昇圧も必要となることから開発には時間が掛かることでしょう。

公開日:2015/09/01
最終更新日:2015/09/01
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