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バイオエタノール燃料。旧車とアウディには入れません

←私の屋外事務所。
昨日から空撮機材の開発の為に、屋外事務所で設計をしています。(タダの駐車場ですが・・・)
その作業場を撮ってきました。
※ボンネットに子供が登った跡がついてる・・・

さて、今回はバイオエタノール燃料を取り上げます。
このページの内容は自動車ライターさんや、経済エコノミストでは切れない切り口から入ります。
「私はアルコール燃料に精通しています」
インディーの経験が在るわけではないです。
メタノールを主成分とするラジコン用のアルコール燃料を研究していた頃のノウハウがあります。
(ラジコン屋の店員よりも燃料の事は詳しい)

ラジコン視点からも、私の経験は独特です

これは3年ほど前に業務に用いていた空撮用のラジコンヘリコプターです。
現在は退役したために、普通のレシプロガソリンエンジンを積んで事務所の下駄箱の上に置いてあります。
2年ほど、空を飛んでいません。

その当時はラジコンのヘリコプターを用い高画質の空撮CubicVRを撮影することに燃えていました。
空撮は一般的にはレシプロのガソリンエンジンで行われます。レシプロ故に・・・振動が画質に影響を与えます。
この振動を切るために、アルコール燃料(グロー)のロータリーエンジンを採用しました。
振動が少なくなることから、一般的なレシプロガソリンエンジンのラジコンヘリコプターよりも、「切れ」のある画像が得られました。
しかし・・・模型用のロータリーエンジンはオイル混合燃料であることから、白煙を出します。(2stジムニーよりも煙を出します)
この、「白い排煙」により、排気側の画像は使い物になりませんでした。
そこで、この排煙を少なくするためにラジコン燃料メーカーの協力を得て、メタノール・オイル・ニトロメタンの混合比を研究する・・・などという事をやっていました。
燃料まで自作するのはマニアが多いラジコンの世界でも希です。
仕事用の空撮ヘリから、ホビー用?の3D(曲芸ですね)専用機まで燃料は自分で配合していました。
このヘリコプターには結果として以下のエンジンが搭載されました。
ガソリン 2st 23cc(購入時)
グロー(アルコール・メタノール) ロータリー
ガソリン ロータリー
ガソリン 2st 26cc(現在)

ここでのポイントは「ガソリン」「アルコール」「ガソリン」と燃料が変わったことです。
詳しくはこのページの下記にて。

燃料の比較

自動車のエンジンにも影響を与えそうなことを中心に比較表をつくりました。
この表をつくるために、色々と調べましたが・・・
ネットではいい加減な情報が多すぎます。以下をまとめましたが確信が持てません。
大体の傾向は変わらないのですが細かい数字については参考程度にご覧下さい。

ラジコン(メタノール) エタノール ガソリン 軽油
空燃比 6.4 9.0 14.7 可変
低位発熱量(kcal/kg)
4500 6400 10500 10200
比重 0.79 0.79 0.75
0.73(レギュラー)~
0.76(プレミアム)
0.85
発熱量(kcal/L)
※1
3555 5056 レギュラー 8232
ハイオク 8386
9117

※1:ガソリン・軽油は資源エネルギー庁資料から抜粋

確信を持てる以下の事を記しておきます。

◆「エタノールを混ぜると燃費は悪くなる」
エタノールの1L発熱量=約5000kcal/L
ガソリンの1L発熱量=約8300kcal/L
エタノールは、エネルギーがガソリンよりも少ない=燃費は悪くなる。

結論1: バイオ燃料は燃費が悪い

エタノール(メタノール燃料)はガソリンチューブに悪影響があった

ガソリンラジコンヘリコプター

現在はガソリンエンジンに換装されているラジコンヘリコプターです。
ピンク色のチューブはガソリン用の燃料ラインです。(草刈り機などといっしょ)
このラインは燃料タンク(四角の白いタンク)中にまで入っています。
つまり、燃料であるガソリンに浸っています。

ラジコンの世界では「元々はアルコール燃料であった機体をガソリンに換装する」 ここがポイント!
ということが希にあります。(自動車趣味の世界なら、80年代以前のラテン車を購入するレベル=普通の人は足を踏み入れません)
その際には燃料タンクは流用するが燃料ラインはガソリン対応に交換することが常識です。
これは、「アルコール用」としての燃料ラインがガソリンにより犯されるからです。

「アルコール」 → 「ガソリン」

ガソリンに犯されるため、ガソリン用の燃料ラインで対策を施すのです。

「ガソリン」 → 「アルコール」
このパターンは普通はありません。
しかし・・・ガソリンのレシプロエンジンからアルコールのロータリーエンジンに行く際に、このパターンを経験することになりました。
自動車趣味に例えると・・・段付アルファのエンジンを自宅で組んでいる・・・レベルでしょうか?

試しにガソリン専用の燃料チューブのままで、アルコール燃料エンジンに換装しました。
すると・・・自動車ライターが経験できない、貴重なイベントが発生しました!
ガソリン用の燃料ラインはアルコール燃料により速攻で劣化しました。

模型用のアルコール燃料は以下の様な成分構成でした。(私によるスペシャル調合燃料=ロータリー用)
メタノール:90%
オイル:5%(クロッツ系)
ニトロメタン:5%

メタノールとエタノールは違います。
アルコール燃料内の、オイルの影響はあるかもしれません。
ニトロメタンは・・・疑わしいです。
エタノールで比較したのでは内のですがアルコール系燃料でガソリン用のチューブは劣化しました。

結論2: バイオ燃料は旧車の燃料系になんらかの影響を与える可能性がある

まとめ

・燃費は悪くなる。
・旧車はゴム系に影響がある。

以上の二つは確定と思われます。
これ以外にも・・・何が隠れているか分かりません。
燃料の粘度に起因する空燃比のバラツキ。想定外のオイルの油脂類の劣化。燃料ポンブに影響は無いのかなど・・・
上げればキリがありません。

石油元売りと政府は・・・
「バイオ燃料はエコ。今までの車で問題なく使える」と言ってくるでしょう。
石油連盟のサイト内でも、「バイオガソリン(バイオETBE配合)はJIS及び品質確保法に定められた規格・・・」などと、問題なしの姿勢を通しています。

だけど・・・「燃費については殆ど変わらない」などと書いて良い物でしょうか?
この一点については燃費は悪い方向に変わるという根拠を具体的に示せします。確かに、僅かではありますが確実に悪い方向に・・・
こんな姿勢ですので、旧車などで問題が起こっても・・・取り合ってもくれなそうです。

結局は・・・
私のような旧車乗りは自衛しかありません。
スタンドで、「バイオエタノール入っていますか?」と聞いて・・・
「入ってます」「わかりません」「なんですかソレ」という答えが返ってきたなら他のスタンドに行くまでです。

←ボルボP1800 '72年式
エキマニの直上にインマニ!
ついでに・・・エンジンルーム内の体積は最小部類(なんと言っても、プアマンズフェラーリー)
燃料ラインの故障が車両火災に直結しています。
旧車の炎上は頭の良い方々も、想定できないハズです。
頭が良いから・・・裁判されても勝てる確信はあるハズです。

◆アウディのガソリン相性問題を考える
アウディがガソリンで安定しないのは過去のページにも書いてきました。
そのレポートでも触れていますが「同じスタンドでも、良いときと悪いときがある」ことに対して説明が出来ませんでした。
このページを書いて、一つの仮説が頭に浮かびました。
空燃比や圧縮比は固定。
ガソリンは原油によって発熱量が変わる。
もしかすると・・・同じメーカーのガソリンでも、原油の産地がかわれば・・・

原油の産地が原因で、アウディの振動が発生

この仮説なら、
いつも良いスタンドがある=良い産地の物が常に入る
いつも悪いスタンドがある=悪い産地の物が常に入る
良いときと悪いときがある=原油の産地が変わっている。

この仮説は私では調べようが無いですね・・・
原油の産地かもしれません。その産地のバラツキを押さえるための添加剤かもしれません。
同じ産地の同じ井戸でも、汲み出すタイミングで成分は変わるでしょう。

同じガソリンを買うなら・・・発熱量が多い=燃費の良い ガソリンを買いたいですよね?
卸値が安いなら・・・発熱量が低い=燃費が悪い=法的にはOK こんなガソリンになっている可能性はありますね。
原油の価格は産地(クオリティ)により差は在るハズ(生成手間を考えれば)。
生成後のガソリンもクオリティ(発熱量)で、納入先をコントロールしている・・・なんて事があるのでしょうか?
あっても、なくても、メーカーはキチンと答えてくれないか、「ありません」と回答するでしょう。
アウディと振動問題は解決の糸口が見えません。

ラジコンマニア向けのコラム

メタノール:90%
オイル:5%(クロッツ系)
ニトロメタン:5%
空物のラジコンに詳しい方が上記の配合をみると・・・
「異常なほどアルコール分が多い=オイル・ニトロが少ない」ことに驚くはずです。
既に、業務からは引退しているので上記の配合を公開できるのですが開発を行っているときは・・・この配合は社外秘でした。
排煙はほとんど無く。(通常を100とすると、10程度) パワーはガソリン23ccを凌ぎ。振動も少ない。
空撮用としては究極と呼べるエンジンに仕上がっていました。(ただし、40フライトでOHの必要あり)

この燃料とロータリーエンジンにより、電動空撮ヘリコプターが出現するまではもっとも画質に優れるラジコンヘリコプターでした。

ご存じの通り、空撮分野では電動が主流となります。
業務ではバルーン空撮の方向に行ってしまったので、こちらを研究する必要も無くなりました。
今後は超低空でのムービー分野に進もうと計画しています。この場合は・・・ガソリンでトレーニングをすれば良いかな・・・と考えています。

ただ・・・
燃料とセッティングがあったロータリーエンジンによるボイジャーGSR260は、「素晴らしい」の一言でした。
90クラスとも、最新の600クラス電動とも違う世界の気持ちよさです。
「OHが頻繁に必要」「キャブ調整が頻繁に必要」という現実さえ受け入れれば・・・面白い選択であると思います。 ラジコンヘリ空撮ページ

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