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新型レガシー試乗:CVTの出来は最上のクラス。実燃費も良好と好印象

レガシー ベースグレード

お急ぎの方は結論から。

実用第一主義の傑作車。

・一般道の長距離移動が多い方に強く推奨。
・現実的なコストで、安全な車を求めている方に強く推奨。
・アウディのCVTよりも総合性能で優れる。
・やわらかいく精度の高い足回りはライバルなし。
・山岳高速道路の雨天走行はCVTのデメリットを感じる。
・試乗車は強い降雨時に視界に問題あり。
・ベースグレードはとてもお買い得。

走行距離1,000km未満の極上レンタカーにての試乗記です。
グレードはベースグレード(225万円・税別)
延べ走行距離は200km。
郊外130km+市街地20km+高速50km

ナンバーは、「わ」の八戸・・・

まずはCVTを褒める!

60km/h巡航

過去に試乗経験がある車両で、ベストのCVT!
加速時・減速時・巡航時ともに水準以上。
特に、50km/h以上の速度での巡航はすべてのミッションにて最上級との評価をします。(MTよりも上)

←ブレブレ・・・
言いたいことは伝わりますね?
郊外を巡航していると、常にこんな感じになっています。
CVTに目が行きがちですがこんな低回転でボクサーエンジンが息継ぎしないことが凄い。
2.5Lにエンジンを拡大したのはCVTとの相性を考えてでしょう。
(2.0L+CVTは低速トルクに不満が出るのでは?)
回してなんぼの水平対向エンジンを、ドロドロ(低回転)中心で扱うという逆転の発想。
小排気量+ターボという、世間の流れに逆らう提案をしてくるのがスバルらしい・・・
燃費面では排気量の大きさから市街地では不利。
エンジンの大きさも含めて都心などの用途は無視というのが今回のレガシーです。(都心が苦痛という意味では無い)
なお、静かさは欧州車のEセグ並み。

新型レガシー >>> アウディA4(CVT搭載) > 日産のCVT >> スズキ・マツダのCVT

上記がCVTに関する、私の脳内評価。(あくまで、私の主観)
如何にレガシーの評価が高いかがわかっていただけるかと思います。

評価が高いのはCVT起因の、「モワモワ~」が最小であること。
過去に乗っているCVT車で、もっともモワモワ度の低い車です。
モワモワが発生するのは極低速時のみ。
巡航に入ってしまえば、加速・減速ともに、モワモワは一切発生しません。
この様な車は初めての経験でした。

「MTを凌ぐ」という最大級の評価をするのが巡航時。
1,200回転くらいで、ヒタヒタと走り抜けます。
機械的にギア比が固定されてしまうMTでは不可能な低燃費巡航を実現しています。
右足をバタつかせない、運転が上手な方ならば、アクセルを踏んでいるだけで喜んでもらえる車です。
ちなみに、トヨタ車オーナーにありがちな、デジタルアクセル(アクセル1か0にしか出来ない)は試していないのでわかりません。

◆私のMT運転法
遠くの信号が赤の場合や、緩やかな下りなどでは積極的に動力を切ってしまいます。
コロコロと転がすイメージです。
一般的にはダメな運転と評価されるのかもしれませんが・・・

現在の車は優秀ですので、トルクを駆動輪に伝えていなくてもキレイに走ります。
実際の交通の流れの中では頻繁にクラッチを踏むことになるのですが・・・
レガシーのCVTではその必要性がありません。
アクセルを離すと、MT車の様に転がります。
レガシー買うならMT!と思っていましたが・・・
この最新型なら、CVTでも許せます。(高速道路以外)

後記しますが高速で、「ガンバル」と、やはりトルコンATやMTに大きく劣ります。
このページで、CVTを強く推奨するのは一般の方向けの記事だから。
本気で、超高速GTを探しているなら、CVT搭載以外の車を推奨します。

やわらかく正確。この頃の車としては貴重なタイプ

後ろ脚

ハンドリングの印象はとにかく正確。
柔らかいのに正確。

個人的には100km以下走行限定の街乗り車の足回りの最適解。

←アルミのアームなど高価な部品は見当たりませんが・・・
設計で、この足回りは良いものに仕上がっています。
十分な車格に、無理のないパーツの配置。
この写真からも、長いアームと、細いスタビが確認できます。
今回のレガシーは随所にコストダウンの強い意志が感じられます。
わざとらしいと思えるほど、低コストであることを車からアピールしてきます。
しかし・・・
価格も十分に抑えているので、文句なし。
値付けが2割高ければ・・・並の評価になります。

多くのBMW > 新型レガシー >> 出来のよいアウディ >> トヨタのミニバン(最近) >> トヨタのミニバン(5年前)

評価はハンドリングの精度のみ。
鼻が軽いとか、ロールしないとかは別の話です。
60km/hでクリアする郊外の高速コーナーを一切減速せずにこなしたときの評価です。

高評価を残したCVTとの組み合わせが絶妙。
60km/h郊外という条件では所有車であるボルボC30(ボルボとしては堅め)と同評価。
古いBMWが好きな人には乗ってほしい車です。

◆パニックブレーキテスト
根本的には柔らかい足なので、ハンドル操作を伴う急制動は得意な分野ではありません。
この項目では加点も減点もなし。
感心するのはブレーキの味付け。
市街地ではピッチングを出さない繊細なタッチ。
初めて乗って、1回目のブレーキからキレイに止まります。
一般道であり得る範囲の急制動を行うと、車からブレーキに介入。
普通の方が最短距離で止まれるようなブレーキタッチに切り替わります。
この車なら、事故率が明確に下がるのがわかります。
多くのミニバンが止まれない条件で、余裕で止まりきります。

事故そのものを発生させない。

事故の時に安全よりも、大切な性能です。

不完全な高速試乗

雨天高速にて

レガシーと言えば、高速安定性。
国産車随一の高速ツーリング性能が最大の魅力です。
今回の試乗も、大いに期待していたのですが・・・
満足できるテストが出来ませんでした。

レンタカーの返却時間が迫っていた事。
入った高速道路は山岳高速。(関東圏では中央道タイプ)
しかも、強い雨・・・

100km/h巡航を軽く試したのですが良くは感じませんでした。
アクセルを離したときの減速感に統一感がないため、前の車に近づいたときなどにキレイにコントロール出来ませんでした。
ただし、路面条件が悪いので、あくまで仮の評価としてご覧ください。

◆クルーズコントロール
レガシーには最廉価版にもクルーズコントロールが装着されています。
ここからも、コンセプトが明確にわかります。

今回の不完全な試乗で試した限りは・・・
出来はイマイチです。
現在の欧州車ほどは出来が良くない。
たぶん・・・クラウンよりも劣ります。

きっちりと試していないので、高速道路の定速の評価は仮とします。

注目点は悪条件下の高速道路

雨天高速にて

高速巡航テストは出来ない条件なので、気を取り直して別のテストを行います。

山岳区間の強い降雨。(路面にうっすら)
ここを頑張って走ります。

結論としてはここは期待以下。
CVT起因のネガが目立ち過ぎます。
今回のレガシーはベースグレードに注目しますが従来のレガシーにて「頑張って」いた方はCVT以外の選択肢が本道と思われます。

A6オールロードクワトロ >> FFのよいアウディ > 新型レガシー(CVT)==FRの欧州車 >> 普通の国産車

ここはアウディ族の圧勝です。
古い記憶なのですが初代レガシー(トルコンAT)の方がいいかもしれません。

評価を落としたのは巡航から僅かな減速を行った際の挙動。
・前の車に近づいたので、5km/h程度の減速。
・トラックが追い越し車線に出てきたので15km/hの減速。
・コーナーが思ったよりもキツイので減速。

この様な、高速道路では多いパターンの、僅かな減速の際のエンジンブレーキの効き方がリニアではありません。
「エンジンブレーキの効き方」ではありません。
「エンジンブレーキの効き方」が条件によって変わってしまうのです。
アクセルを離してもどの程度減速できるのかが計算できないことから疲れます。

・アクセルを離しても期待ほど、減速しない。
・アクセルを離すと、期待以上に減速する。

このような具体的な形で弊害が出てきます。

原因は燃費重視の為、高速で僅かにアクセルを離したときに、回転を落とす傾向にあるからと睨みました。
それではと・・・SIドライブ(省燃費系デバイス)を、スポーツモードなどに変えると・・・
いやな感じは少し弱まります。
弱まりますが基本的な傾向は変わらず。(エンジンブレーキの効き具合が安定しない)

GTグレードを含め、高速域で、「ガンバル」車にはCVTが根本的に不向きであることは違いありません。

注意!:
高速道路を、「普通」に走る限りはこのネガは出てきません。
あくまで、「ガンバッテ」時の評価です。

ローコストでも良い車をつくろうという姿勢が好感

コストダウンの内装

先々代のレガシー(GT)の第一印象は「コストをかけてるな~」でした。
5代目の第一印象は「コストを落としているな~」
ただし・・・
「考えて、落としているな~」です。

最初に、誰でも気がつくのは内装の質感。
狙って落としているのか?と思うほど、手触りを含む質感を落としています。
チリに代表される組み付け品質は標準にあります。
材料の、仕上・厚み・デザインが意図的に低級にされています。
「これしか、出来なかった」ではありません。
「狙って落として」います。

先代にて、スバルでも頑張ればここまで出来るというのは見せています。
今回の内装は狙っているとしか思えません。

レガシー:アンダーフロア ◆制震材の適正化
写真でもわかると思いますが吹きつけの制震材は運転席に向かう方向のみ吹かれています。
この位置の場合は損傷する可能性が高い場所。
つまり、進行方向のみ吹かれているともとれます。

メリットは・・・
・作業工数の低減
・材料の低減
・車重の低減
・オーバーハング部の軽量化=ハンドリング向上

デメリットは特に思いつきません。
飛び石などで、錆びやすくなることは事実ですが現在の国産車の平均寿命に至るまでは問題ないことでしょう。

レガシー:ハザードスイッチ ◆個人的な内装の評価
結果として、内装の質素な感じは車のキャラクターと一致しています。
普段使いの車としては好ましい印象を受けました。
文句を言いたいのは二点。
・ハザードスイッチの位置
・SIドライブの位置

ナビ画面の視認性を重視・・・
他社の様に、完全純正のナビが用意できないからなのか、ナビの画面重視のインパネになっています。
結果として、ハザードスイッチがこの位置に来ています。
ここは大きな減点ポイント。
一頃のアウディ(現行A6・2代目TT・R8)も、同じミスを犯しました。
偉いのは新型A4などで在るべき位置に戻したこと。

SIドライブは評判が良いから採用しているのでしょうが・・・
私は必要なしと感じました。
ノーマルモード以外は必要ありません。
なので、一等地にデカデカとスイッチを置くメリットも無し。

シートに関してはとりあえず合格点。
今回は200km程度の試乗なので、腰痛は出てきませんでした。
過去の出来の悪いレガシーなら・・・
激しい腰痛に見舞われているところなので、合格とします。

レガシー:エンジンマウント ◆エンジンマウントの位置で合理化
ボンネットを開けると、目に付くのがラジエター直後に鎮座するエンジンマウント。
私の知る限り、この位置にマウントがあるのはこの車のみと記憶します。
※水平対向以外は無理な方法。

エンジンの振動は室内に一切入りません。
その功労者の一つがコレ。
支点が長く取れることから、より小さい容量のエンジンマウントでも効果が高いハズ。
ローコストで、結果が伴うであろう良い設計です。

普通なら衝突時の事が心配となりますが・・・
この点に関しては第三者にて確認されているので、間違いなしと。

レガシー:エンジンマウント ◆組み立て工数の低減
エンジンルームはスカスカです。
この写真の位置からもスターターに容易にアクセス出来ます。
メンテ性の高さは大歓迎・・・

ここはコストダウンの話なので戻します。
スカスカなので、工場組み立て時も、工数が減らせます。
クラッシャブルゾーンが広いのは衝突にも有利。
無駄にボデイサイズが大きな訳ではありません。

レガシー:エンジンマウント ◆低コスト化のアプローチ
5代目レガシーの社内的なポリシーは、「低コスト化」
トヨタの影響もあることから当然の流れ。

スバルの本心は先代と同じ路線。
つまり、アウディと同じハイテク・高級路線に行きたかったはず。
それを、「180度別の方向のモデルチェンジを行え」というお題を頂いた答えがコレ。

凝縮させると、開発コストも組み付けコストも上がってしまう。
ならばと・・・アメ車路線に大きく変更。
大きな箱の中にパーツをザックリと配置。
元々が緻密な車を作れるエンジニアの設計です。
そのエンジニアが余裕を持って設計すれば、良い車になってある意味当然。
こんな国産離れした考えを持っている国産車は久しぶりです。

スバルとボルボは最近の横方向のボディ拡大の流行は大歓迎。
水平対向(横にエンジンが長い)と横置き6気筒(ボルボ:同じく)は足回りなどの自由度が上がります。
この二つのメーカーの15年くらい前の車と、現在の車を比べるとよくわかります。
5ナンバーに縛られたレガシー・・・小回りが効きませんね。
アーム類も当然ですが短め。
ゆったりとした車が作れるわけがありません。

本題に戻ります。
見えない場所の低コスト化のアプローチは見事!
国内のマーケティング無視のボディ拡大は大成功です。
内装の質感に関しては・・・
恐らくですがトヨタへのアピールじゃないのかと思っています。
トヨタ的にはクラウンよりも安価な車がクラウンよりも質感の高い内装はよろしくない。(先代レガシーが該当)
トヨタの同車格程度の内装レベルに落としなさいと・・・
繰り返しになりますが内装は狙って落としていると思えるところが多々あります。

ここは偶然かと思いますが・・・
質素(実用的)な内装が車の味と良くあっています。
(褒めています)

数少ない、無視できない駄目なところ:ドアミラー

レガシー:ドアミラー

今回のレガシーではドアミラーが大幅に大きくなりました。
ほとんど、SUVのサイズです。
この大型化はほとんどの方に良い印象で迎えられるはず。
「視界が広がったように感じる」のは事実です。
しかし・・・
←激しい雨が降ると、ご覧の通りです。

このときは時速100km/h程度。
雨は路面にうっすら(アスファルトは通常品)
雨の規制はかかっていませんでした。
つまり、高速道路を普通に走っていれば遭遇する条件で、ミラーは仕事をするのを止めてしまいました。
自分の車なら、レインXなどで対策して、OKですが・・・
これはレンタカーです。

レガシー:Aピラー

この車両にはドアバイザーが装着されていました。(写真で押さえていません)
この不具合の原因は2点考えられます。

・Aピラーとドアミラーの形状
・ドアバイザーの形状

どちらが原因かは不明ですが「スバルに起因」することは事実です。
昔から、ヘマをやらかすのがスバルですが・・・
その伝統は変わっていないようです。
この手のヘマをなかなか改善しないのもスバルの伝統。
ここが変わっていることを祈ります。

◆総評:実は買ってしまいそうでした

レガシー研究中

レンタカーを借りて、60km程度走ったところで目的地に到着しました。
仕事まで、時間があったことからコンビニで昼食を取りながら考えていたことは・・・
← ※イー・モバイルの電波が無かったのでソフトバンクにてサイト確認中。

「どの、グレードを買おうかな・・・」でした。
この頃は仕事の傾向が変わってきたことから、外車では都合の悪い事が増えてきました。
今回レンタカーを借りたのも、この理由からです。(客先が固め)
カメラマンとして出向くことから、クラウンなどの選択肢も無し。
時として、「IT企業の社長」となることからリッタカークラスでは役不足。
このレガシーがちょうど良い落としどころだったのです。

山岳高速にて「頑張った」試乗結果と、雨が降ったときにドアミラーが使い物にならないことがわかったので、とりあえず購買意欲は消えました。
レガシーを購入検討する際は、「ドアバイザーが無ければ、雨の高速も問題ないのか?」を調べてからにします。

レガシー研究中 ミッションは大いに悩むところ。
・一般道で文句なしのCVT
・安心感のMT

いつもなら、GTを基軸としてレガシーは購入検討をする物ですが・・・
5代目は廉価版を軸とすることをおすすめします。
このボディーサイズでは、「スポーツ」に振るのは無理がある。
何より、廉価版の出来が良い。

悩ましいのは最廉価版にアイサイトの設定が無いこと。
アイサイトそのものはバーゲン価格(10万円)。
しかし、アイサイトはベースグレードには装着不可能。(ついでに、カーテンエアバックも不可)
いつもなら、「安全を蔑ろにして!」と怒るところですが・・・
ベースグレード(アイサイト無し・カーテンエアバック無し)でも、他社の300万円オーバークラスの車よりも遙かに安全。
こちら(廉価版)は220万ですので・・・
文句は言いません。

CVTの出来がここまで良くなっているとエクシーガの存在が気になります。
あちらは2.0Lと2.5LにCVT設定。
さらに価格表を眺めると、レガシーよりも安価な設定。
7シートなのに安価?
やはり・・・レガシーほどの感動はエクシーガには装備されていないのか・・・

まとめます。
巡航性能を多用し、実用車を求めている方には最適。
基本骨格はしっかりとしているため、長寿命・高耐久性と推測。
一台を長く乗ろうという方にも推奨。
GTの試乗はしていませんが今回のストライクはベースグレード(CVT搭載車)と予想。

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