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小型ディーゼル車が普通に購入出来ない理由

ブログもどきはマスメディアが取り上げない小さな事を拾い上げる事が特徴。
今回はネットで探しても出てこない「小型ディーゼル車が普通に購入出来ない理由」がお題目。

以下の疑問に、ブログもどき的観点で述べていきます。
・マツダと日産は小型ディーゼル車を出すのか?
・メルセデスとBMWはなぜ低価格帯にディーゼル設定が無いのか?
・プジョー・ルノーなどが正規でディーゼルを何故入れないのか?

いつもの通り結論から。
◆答えるタイミングが2000年当時なら
「トヨタの都合です」

◆答えるタイミングが2012年の現代なら
「トヨタの都合と原発の関係から」

車好きなら、誰でも知っている「常識」から

「欧州ではディーゼル比率が高い」
これはこのページをご覧頂いてる方には常識と言える基本的な事。
時間はかかっていますが国内で販売されている車両にもディーゼルが増えてきました。

CX-5などは路上で見掛けることも多くなりました。
高速道路中心の用途なら・・・
CX-5はプリウスよりも「燃料代なら良い勝負」
ボティサイズをプリウスと同等とするなら・・・
ディーゼルの方が燃料代・車両購入費も下げられることは明白。

普通の国産ディーラーで、小型ディーゼル車が購入出来る日を待っている方もいるかと思いますが・・・
残念ながら、その様な日は10年以内に来ることはありません。
恐らく、永遠にその日は来ません。

以下で詳しく解説します。

トヨタの都合とは?

トヨタはハイブリッドの世界でNO1

この言葉は裏を返すと・・・
ハイブリッド以外の投資は滞っている。
この様に取れます。
事実として、ヨーロッパで販売する小型ディーゼルのエンジンはOEM供給を受けています。
少なくとも、初代プリウスの登場時点からこちらは開発資源の多くをハイブリッドに回していたはずです。
中途半端にディーゼルに回さずにハイブリッド集中とした判断はトヨタらしいと言えます。(決して褒めていません)
欧州メーカーが一頃とったような、「全ての可能性を探る」ではなく「戦略で他の道を潰す」
終わってしまえば、経営的観点からはトヨタの勝利。
しかし・・・
エンジニア観点からは気に入りません。

トヨタの、「ハイブリッド押し」はエンジニアリング以外にも実施されています。
・イメージづくり
・法規
・インフラ

誰でもわかるのがディーゼルのネガティブなイメージの植え付け。
本当にディーゼルが悪なら・・・
トラック・バスも含めて全廃が当然のハズ。
しかし・・・トラック・バスは今日も軽油で動いている。
何よりも、日本人よりも環境に敏感な欧州でディーゼル主体である説明が出来ない。
これだけで、一ネタつくれそうなのですね。
原発の安全神話もそうですが・・・
「日本人は他人に判断を委ねすぎです」

乱文になりましたがまとめます。

トヨタにとってはディーゼルが売れると都合が悪い。

灯油の存在

ネットでディーゼル車の事を調べると・・・
「日本の軽油は欧州と比較すると汚い」などと述べられています。
この理由まで踏み込んでいるのは少ないので、簡単に解説すると・・・

日本では灯油(室内で燃焼)が必要であることから、結果として軽油が汚くなった。
興味がある場合はご自身で調べて見て下さい。
なお、昔と比べるとディーゼル車が黒い煙を出さなくなったのは、「車が良くなった」のではなく「燃料が良くなったから」
硫黄分が少なくなったから、ススがでない。
メルセデス・ベンツT1N(仕事で用いる商用バン)にガソリンエンジン用オイルを入れているのはこの点も考えてのこと。

ここで、原発が関係していきます。
冬期のピーク電力を落とす観点から、電気に頼る暖房は控えたいところ。
時代に逆行しているのですが・・・灯油への依存度は上がります。
ディーゼルが流行ると、暖房用の灯油の確保が難しくなる。
日本では軽油の需要を高くしたくないという背景が数年はあります。

なお、個人的には「原発依存度を上げる」が長期的視点からの推奨です。
事故当時に書いているページにも述べていますが「緊急停止が出来ている=原発は安全に管理できる」が私の意見です。
311以前は震災時の炉心停止などに疑問があったことから原発反対寄りでした。
最初の大震災でバグ取りが出来るまでは、「日本の原発は慎重に」が持論でした。
震災後は・・・
世間の温度と、まったく違う事を承知で、「原発大賛成」です。
繰り返します。
炉心の緊急停止があの揺れの中で出来るなら・・・
これからの日本の原発は安全に運用出来ます。
想定は万年単位の、揺れと津波。(テロ・戦争系も)
化石燃料という外貨に流れるよりは国内の調整費用に用いる方がマシです。

原発反対の方へ・・・
化石燃料依存の社会では戦争に引き込まれる想定を消すことが出来ません。
そして、化石燃料起因の戦争では・・・日本は勝ち目が無いのも歴史が証明します。

日産エクストレイルとマツダCX-5

トヨタ以外の国産メーカーも・・・

売れるならディーゼルも販売したいと考えています。
しかし・・・
トヨタを怒らせるほど、売ってはマズイとも思っています。
トヨタがディーゼルに弱いのは周知の事実。
過去のRVブームのような状態になってしまうと・・・
当然ですがトヨタが不利。
折角のハイブリッドへの投資も効果が下がってしまいます。
こんな事をトヨタは許しません。
トヨタが本気になれば・・・
現実的なコスト(実用車として)では達成不可能な、新たなディーゼル規制が出てくることとなります。

ここで、国産車でディーゼル設定がある車に注目。
・日産エクストレイル
・マツダCX-5

この二台ですがトヨタのラインナップで競合する車種がない車です。
トヨタのSUVラインナップは・・・
ヴァンガード・FJクルーザー・ハリアー・RAV4・Rush・ランドクルーザー・プラド。
見事に、ガチの競合車は無いのです。
仮に、競合するとしても・・・元々のパイがとても小さいのが国内SUV市場です。

メルセデスはEクラス BMWはX5

輸入車に目を向けます。
コモンディーゼルというと、メルセデスのEクラスが先代から正規に入っています。
2006年の秋頃と記憶しています。(A6オールロードクワトロ導入のタイミング)
他社と比べると先行していましたが・・・「Eクラスのみ」というのがポイントとなります。

BMWの正規導入はつい最近。
X5からの導入になります。
こちらの実車は路上では見掛けたことが未だにありません。

両者に共通するのは販売価格が安価なAや1などにはディーゼルの設定が無いこと。
そう簡単には売れずに、「トヨタに睨まれることの無い」車種のみのディーゼル設定です。

パンドラの箱を開ける事になる、BMW・320d

ここまでの流れで、国産・輸入車の各社は「トヨタを気にしながら、ディーゼルの導入を進めて良い」と、このページでは決めつけます。
「トヨタと競合しない」「数が出ない」が合い言葉です。

ここで、BMWが一石を投じます。
まもなく路上に出現するBMW・320d。
一般ユーザーの購入が可能な価格帯。
そして、実燃料費でプリウスを下回る初めての正規輸入車です。(高速主体の使用方法)
明らかに、今までの流れとは違う動きに入っています。
仮に、320dが好意をもって市場に迎えられたとすると・・・
トヨタ的は気に入りません。

この320d導入のタイミングのみを考えても非常におもしろい物があります。
CX-5は路上で見掛けることも多くなりました。
ユーザーの評価も上々かと思います。
これからも確実に売り上げを伸ばしてくることでしょう。
仮に、このタイミンクで新たなディーゼル縛りを出してきても・・・
市場のユーザーから、「ノー」を突きつけられることもあるでしょう。
Eクラス程度のユーザーなら数が少なすぎてもみ消されます。
CX-5のユーザーの合流なら・・・勝ち目はあるかもしれません。
※私は20年前にNOX法で翻弄されたユーザーです。

BMW的にはもう一つの箱を空ける理由があります。
それが「アウディの存在」です。
すでに、BMWとアウディのシュア逆転は現実として見えてきました。
早すぎると感じる320dの導入はトヨタよりもアウディを見てというのが正しいところ。
320dは私も購入対象として考えます。(数年前はディーゼルという理由からアルピナ検討)

なお・・・
2008年頃にはVWとアウディがディーゼルの正規導入を検討していました。
アウディではQ7から。
実は・・・
A6オールロードクアトロ入れ替えとして、ディーゼルQ7を内定させていました。
その後、ディーゼル導入は棚上げという経緯です。
国内のVWグループは小排気量ガソリンエンジンが好調であることから、アンチディーゼルと解釈しています。

ディーゼルはアウディの金看板のハズなのですが・・・
ディーゼルの力を使わずに、いまのシュアですので満足でしょう。
現在の客層から考えると、ディーゼルを切望するユーザーは少ないブランドとも・・・
320dに無視できないシュアを奪われない限りは正規の導入は無し。
つまり・・・
正規導入に入るとしても、2015年までは無しと予測します。

また、320dがハンドラの箱を開ける事になるため、他の輸入車も正規でディーゼルが入りやすくなります。
(個人的にはこちらの期待)
フランス車は小排気量ディーゼル正規導入の切っ掛けとなる可能性大。
プジョーなどはデザインの迷走から抜け出た感もあることから、206当時の盛況すら予想出来ます。

私が狙うのは・・・
次期XC90のディーゼル。
現行ボルボの安全デバイスと、XC60以降の、「まとも」に走るボルボのボディ。
そしてディーゼルエンジン。
これを国内のディーラーで扱って欲しい。
これが私の求めている次期社用車です。
登場には数年の期間が必要。
その間はA6オールロードクワトロ(オールロード2代目)で繋ぐことになりそうです。

関連リンク:
2007年当時のディーゼルに関する、私の考え
2008年当時のアウディの普及具合に関して

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