Ver6_img

アウディQ5試乗 これはアウディでは無い!

出来れば、以下のページに目を通してから、以下を読み進めてください。 '08/08/25 新型A4初試乗 前編 A6の欠点を丹念に潰している

私が最近のアウディの内装を、「褒めている」記事です。
現行のA6とTTにて、下降線を辿ったアウディが現行A4から復活して来たのを喜んでいるページです。
右ハンドルを蔑ろにしているのは問題ですが作り込みを掛けてくるのはアウディの本分。
左ハンドルのディーゼルなら欲しい一台です。
これからのアウディが楽しみになってきました。

しかし・・・です。
数年後に思い返すとターニングポイントとなっている可能性がある車両が国内に入ってきました。
それがQ5です。

既に、購入してしまった方・・・
「ごめんなさい」
見たくないであろう言葉が以下に並ぶ事になるので、この辺で離脱してください。

新型A4初試乗 後編では「止まっている状態ではこの5年でベストなアウディ」と結んでいます。

Q5は「止まっている状態ではこの5年でワーストなアウディ」と結論から入ります。

なぜ、走り出す前から答えを出したのか?
それは・・・
・内装仕上の品質
・シートポジション

どちらもアウディの標準装備とされる、この二点がアウディとしては不合格の範囲に入っていたからです。
もろちん、300万円程度の車として評価すれば、問題なしレベルです。
メルセデスやBMWでも許します。(そっちは他の楽しみがありますから)
しかし・・・600万クラスのアウディと考えると、「今、もっともコストパフォーマンスが悪い輸入車」としかコメントを出せません。

これほど、無責任な言葉を発して逃げる訳にはいかないので、しっかりと書いていきます。

内装仕上:ダッシュボードの成形不良

アウディQ5の内装のレベル低さ

これが今回撮影を行った、唯一の写真です。
仕上げの荒さが随所に目立ったため、この瞬間に撮る気が失せてしまいました。
私の手の届く範囲で数カ所はいつもと違うアウディを指摘出来ます。
(ダッシュボードのちり・エアコン吹き出し口・ナビ画面回りのデザイン・ハンドルノブの位置など)

2年ほど前に、Eクラスの内装仕上げに関するページを書いています。
そこで触れていますが旧世代のメルセデスの内装仕上げはアウディの足もとに及ばないレベルでした。
これが新型EクラスではようやくA6と比較できるレベルにまで、なってきました。
その、先代Eクラスほどでは無いですが・・・酷い仕上げです。
ここまで、ハッキリとした仕上がりミスはこの5年間に発売されたアウディでは一台もありません。(Fiatなら日常ですが・・・)

エアコン噴きだし口の樹脂。BMWと同等レベル

撮影していません。
助手席のエアコン吹き出し口を覗いたところ・・・
羽ねの樹脂パーツの中に、仕上げが悪い部品が混ざっていました。
ここはBMWがダメなところです。(BMWは選んでいる素材の関係からか、いつもダメ)
尽く、アウディは潰してくるハズなのですが・・・Q5はダメでした。

MMI画面がしっくりとしない

A6・A5・A4・Q7のどれも気にならないのですがQ5はMMIの画面周辺の造形が「キタナイ」のです。
写真を撮っていないので、言葉だけで伝える事になるのですがいつものアウディとは違います。
一般的にはA4をベースにしているハズなのですが・・・
違うメーカーの車に感じます。
「縦と斜めの線の処理が気持ちよくない」とでも言いましょうか・・・
無理矢理、SUVのインパネとA4をくっつけたように見えます。
ちなみに、Q7では問題なしと付け加えておきます。

最大の問題:シートが合わない

アウディの最大の特徴はシートと考えています。
例外なく、一発で決まります。
信号で止まるたびに、チマチマと動かす必要が無いのがアウディのシートです。

ところが今回の主役のQ5はシートを合わせることが出来ずに発進出来ないという不思議な経験を体験しました。
営業さんが誘導に入ったために、やむを得ず動き出しましたが・・・
路上に出る前に失格となった、初めてのアウディという記録を残しました。

シートの悪さは同乗した別の人間も同じ動きをしています。
スタートでシートが合わない。
信号待ちの間に、チマチマとシート調整をする・・・

私は短い試乗時間ではシートを合わせることが出来ませんでした。
しかし、同乗した社員によると・・・「この車はシートを上げると良いかもしれない」との事です。
「シートが下げられることはアウディのメリット」と考える私は出来ない発想でした。
既にオーナーの方・・・お試し下さい。

走ってどうなのか?

不思議です・・・
低速での乗り味はVWなんです。
不必要と感じるくらい締め上げる、この感じは・・・
締め上げても、ロールセンターが合っていないように感じます・・・私は結構苦痛な車に感じました。

あくまで、持論です。
「重い車はそれなりに動くべき」
地球上に存在する以上は全ての車に平等に物理法則が働きます。
重い車がキビキビと走ると言うことはどこ彼処にムリな力が入っていると感じます。
また、ユーザーに「重い車に乗っている」と意識付けることは必要と思います。
この様な重量級で、市街地などをキビキビ走られては困ります。

試乗を続けます。
ワーゲンならば・・・
速度を上げれば、「ご機嫌になる」と推測し、いつもと違う試乗コースに向かいました。
速度を上げられるコースですね。
その結果は・・・予想通りでした。
80km/hくらいがこの車のストライクです。
それより下の速度域では、「苦痛」
それより、上では、「他にも、良い車はありますよ・・・」というレベル。
つまり・・・乗り味でも、推奨出来る車では無いのです。

乗りだし600万オーバーと考えると・・・
誰が何のために購入する車かわからなくなってしまいました。
これなら、もう少しがんばってオールロード(17インチタイヤ装着)をおすすめしたいです。
これは18インチを前提として試乗記が書かれているオールロードクワトロとは比較にならない「良い物」です。

「何としても、新型車のSUV」と言うならば、X1とXC60を待ってはどうでしょう?
XC60については目に触れる機会がありました。(試乗は助手席・後席にて数分程度)
こちらはQ5の様なことにはなっていません。
SUVのボルボと考えると、十分な仕上がりでした。
ちなみに・・・
XC60のプロの試乗記では触れられないネタを一つ。
「ボルボの後ろ脚に注目」
ここは良い意味でサプライズでした。
もしも、XC60の購入検討に入った場合は旧世代(XC90)などとXC60の後ろ脚を比べてみてください。(マフラーの下からのぞき込む)
車格とAWDのシステムを考えると・・・「おっ?」という嬉しい発見があります。

輸入車で、ここ数年のワーストと感じたのが206とスマートフォーフォー。
どちらも、ビックリどっきりメカでした。
Q5はここまで酷くはないと記しておきます。
車のデキだけで考えると、「良い」棚に置くかもしれません。
でも・・・
価格ほどの価値はありません。
だって・・・半値のA3 1.4Tの方が遙かに良い車ですから・・・

問題と感じる別の事柄

Q5の評判をネットで調べると・・・
悪いことはどこにも書かれていません。
何故でしょう。
あのシートの不出来をどう感じているのでしょう。
もしや、「背の高い車のシートは妥協する」などと言うのでしょうか?
私のファーストカーであるムルティプラのシートは一発で決まります。
また、多少ずれていても、走行中に直そうという気になりません。
もちろん、他のアウディも同様です。
私以外の複数の人間がシートをチマチマ動かしているのですがこのシートが間違っていると考えるのが普通でしょう。
A4では見事なシート調整をしてきました。
私が「脚」「腕」と合わせると、シフトレバーなどが多少ずれるのは欧州車の常と思っていました。
この常識を、覆してくれたのがA4です。

Q5はいつものアウディと別の車になってしまったことが心配です。
この点に関しては次のアウディの新型車で10年後のアウディがわかるはずです。
A5カプリオの様な、今の車を触る物ではなく、明らかなフルチェンジ。
次のタイミングとすると・・・
次期A3と言うことになるのでしょうか?
現行のA3は飛び道具とも言える車でした。
アウディの本道から外れているからこそ、好き勝手に創った。
そして、結果が伴ったという車です。
立ち位置としてはQ5と似ています。

本題に戻ります。
ここで取り上げるべき、別の問題点。
それは・・・
なぜ、不出来なシートに関する、ネガな試乗記が無いのでしょう?
気が付かない?
気が付いても書かない?
センサーが鈍くても、都合で書けないのも問題です。
「書けなくても」「含ませてくる」様なライターさんなら、当然OKなのです。
しかし、Q5の試乗記を一通り見た限りはそのレベルの記事は一つしか見つからなかったと記しておきます。

現在のアウディのファンであるからこそ、書かさせて頂きます。

「これはアウディでは無い! 」

Home | ドローン空撮 | バルーン空撮 | 社長ブログもどき | 会社概要