小型(車載式7立米クラス)バルーンでの動画撮影という発想はバルーン空撮業界には無い発想です。
			機材開発の為に、世界中のWebサイトを参考としましたが決め手となるようなヒントは全く見つかりませんでした。
			今回も、全て自社開発という流れから離れられそうにありません。
			
			開発開始から1ヶ月。
			ここまでの研究で以下の4つの、「ブレ対策」が考えられることがわかってきました。
			
			
			1):バルーン自身の安定性
			2):カメラ附属の手ぶれ補正
			3):ラジコンヘリコプタの自律安定装置の流用
			4):ステディカムの流用
			
		
 
			
			新たに検討に入ったのが4つ目の、「ステディカムの流用」です。
			ステディカムには様々な亜種がありますが基本的な考えは全て同じです。
			それは・・・「やじろべい」の応用です。
			もう少し厳密な表現をすると・・・
			「微妙にバランスが崩壊している、やじろべい」です。
			
			百聞は一見にしかずです。
			早速、ステディカムをテスト購入して効果を確認します。
			
			結果は・・・
			価格なりの効果有り。
			確かに、通常の動画撮影では有効であることが確認できました。
			それには但し・・・が付きます。
			カメラを操作する人間のテクニックで結果は大きく異なります。
			仕組みやクセを理解していない方が操作すると、ブレの増幅装置にもなりかねません。
			撮影部にステディカムの仕組みを採用すると結果はわからない・・・というのが今のところの感想です。
			
			一方で・・・
			バルーン空撮はグラム単位での軽量化が重要なポイントです。
			自重が重いステディカムを、そのままでは採用は困難です。
			他のフレ取り技術を併用して採用し、ある程度の重量増で効果的なバルーン用ステディカムを開発することになります。
		
 
			
			今回購入した、ステディカムが到着する前から、バルーン空撮用のステディカムテストベンチを稼働させていました。
			(画像の左手前のカーボン棒がその一部)
			完璧ではないが効果があることを確認していました。
			
			既製品を購入することにより、新たな発見があると期待したのですが・・・
			期待ハズレと言うのが本音です。
			全備重量・調整のしやすさ・構成部品など、特に新たな発見はありませんでした。
			と、言うよりも・・・
			社内で制作したテストベンチの方が高性能であったと記しておきます。
		
カメラマン(以下C):「軽量化と調整の余地はありますね)」(ステディカムを前に)
			私:「ロール方向の調整と総重量は改善の余地が・・・」
			「支持点付近は軽くて当然。ここのダブルナットはナイロンナットにして軽量化するのが正解」
			
			C:「そうですね。ピッチ調整のこの方法はネジの緩みが出ることを想定していない・・・」
			「開発中の商品を販売しているようですね」
			
			私:「○○という製品の、構造はロール方向の調整に着目していることもわかる」
			「今回購入したステディカムは重さで誤魔化していると思われます」
			
C:「○○が高いのも納得です」
私:「けれど、これも改良すれば業務に導入出来そうですね」
			C:「筋トレは必要ですが・・・」
			「これは重すぎです」
			
私:「結局、ウチがつくれば、さらに良くなると・・・」
C:「試しにつくりましょうか?」
私:「どうせつくるなら、赤外線安定装置かGPSを絡めてつくりましょう」
C:「こっち(業務用の動画)でも仕事になるかな・・・」
 
			
			弊社がステディカムを知ったのはつい最近です。
			しかし、「やじろべいによる自律安定」については5年以上の付き合いがあります。(ラジコンヘリコプタ空撮の自律安定装置開発の経験)
			0[Zero]のバルーンは、「水平尾翼を持たない」という、従来のバルーンには無い特徴があります。
			水平尾翼を持たずにロール・ピッチ方向の安定性を実現しているのが「やじろべい」の仕組みです。
			バルーンは構造上カウンターウエイトというパーツを実装できません。(サイズ度外視なら可能)
			撮影システムはバルーン本体と比較すると小型であることから、ある程度のカウンターウエイトの搭載は可能です。
			実際は総重量を増やすことになるカウンターウエイトの搭載は考えていません。
			カメラとは別の制御系の部品を移動することにより、カウンターウエイトと同様の効果を発生させる予定です。
			
			「目指すのは200g以下の重量増でステディカム効果」を狙います。
			テストベンチではこの目標の達成は容易であると確認出来ています。
			場合によっては従来機よりも軽量にした上でステディカム効果も出せそうな雰囲気です。