夜景空撮[技術解説] - 軽量化 -65g 撮影システムの軽量化

夜景空撮撮影システム

目標230g - 27g = 目標軽量化203g

本格的な軽量化作業を続けています。
部品(チタンスペーサーなど)が届いたことから、夜景空撮用の撮影システムの軽量化を開始しました。
今でも十分軽量ですが、「設計変更」「肉抜き」「材料置き換え」などを駆使し、信頼性は向上させつつ軽量化を狙います。

夜景撮影用の撮影システムは、チルト(カメラの上下首振り)は必要が無いのでシンプルな構成です。
現状でも、業界では最軽量(デジタル一眼レフ搭載として)と言えるレベルですが、今回は「本気」で軽量化に挑みます。

設計変更 その1:[-31.3g]

カメラ搭載部のカーボン棒

この撮影システムは、半年ほど前にニコンD40(APS-Cサイズ)を使うことに前提に設計されています。
夜景撮影では、このシステムに手プレ補正付のペンタックスK20D(APS-Cサイズ)が取り付けられていました。
今回は、ニコンD700(フルサイズ)を搭載することから、カメラの積載方法を変える必要がありました。
常識的な方法では重量が増える方向の設計変更が必要なりますが・・・
ベストなカメラ搭載方法を思いつきました。
軽量化が可能で、ブレも圧倒的に有利な方法を・・・(本当に価値があることは非公開になります)

←今までのカメラ搭載部の一部
カーボン棒の先に搭載部分があります(旧タイプですが非公開)

アルミの肉抜き加工

上の写真と、同じ機能をするパーツとなります。
形も材質も全く異なりますが、「同じ機能」を担うパーツです。
36.2g→4.9g=-31.3g

バルーン空撮機材の開発というのは、「発想」→「制作」→「検証」を繰り返し、信頼性と軽量化の両立が図られて来ました。
この改善は検証が必要のない内容でした。
経験上、「重量」「画質」「運用性」の全てが好転すると思える改良でした。
少し、カメラの積み方を最適化した・・・という程度なのですが、重要な改良です。

設計変更 その2:[-73.6g]

カメラ回転部のベアリング

この部品(ベアリングと保持部品)を全て撤去しました。
今までは、二つのベアリングにて回転軸を保持していたのですが、これを一つに変更しました。
徹底的な軽量化と、静バランスの最適化からベアリングの負担が減っているとの判断から設計変更に踏み込みました。

同時に、この周辺の肉抜きによる軽量化もこの項目としてカウントします。
223.6g-155.3g-5.8(クイックシュー)=-73.6g

アルミの肉抜き加工

肉抜きの例

NC旋盤によるアルミ削りだしのパーツです。(外注にての特注品)
アルミの固まりですので、肉抜き加工により容易に軽量化が可能です。
動バランスなどを気にする必要がないゆっくりと回転するパーツなので、強度に問題がない限りは徹底的に肉抜を行います。
この加工のみで、1時間ほどの時間が必要です。

このパーツのみで14.2gの軽量化が行われています。

受信機電源の軽量化:[-70.0g]

フタバ受信機バッテリー

空撮に用いられる無線機材には、必ず受信機用のバッテリーが搭載されます。
一般的にはホビーラジコン用のニッカド電池が用いられます。
ニッケル水素電池を採用しダウンサイズ(容量)にて軽量化を図ります。

旧:1000mAh(ニカド)=118g
新:700mAh=48g

70gの軽量化となります。 夜景撮影は昼間の撮影と比較すると短時間であることと、チルト軸が無いことからサーボモーターの数がないこと。
さらに今回の設計変更で静バランスが最適化されたことからパン用のサーボモーターの負荷が減ったとの判断からの受信機バッテリー軽量化に着手しました。
また、従来は複数の銘柄のバッテリー(全て115g前後)を使っていましたが、静バランスの安定化を狙い同一のバッテリーに統一されます。 受信機バッテリーは、リチウムポリマー(7.4V)をスイッチングレギュレーターで電圧を落として用いるという方法もあります。
この場合は容量を確保しつつ、さらに10g以上の軽量化が可能です。(レギュレーターの増加分も考慮)
しかし、この方法は運用性と信頼性が落ちるとの判断から今回の採用を見送っています。
容量ダウンとニッケル水素化のメリットはデメリットを上回りますが、リチウムポリマー化はデメリットが多いため今のところ採用の予定はありません。

気圧高度計の材質変更:[-13.8g]

タッパー

今まで金属のケースに入っていた気圧高度計をタッパーに置き構えました。
この容器の中には無線レリーズも入れるために、多少大きめの容器を選んでいます。

91.4g-77.6=-13.8g

無線レリーズの軽量化:[-24.4g]

ニコン無線レリーズ

無線により地上からシャッターを切るための装置です。
今までは、メーカー純正品にサーボモーターを組み合わせるという一般的な無線レリーズを自作していまた。
ニコンD700では、この方法を取ると大幅な重量増(詳しくは下記)になると見積もられたので、純正レリーズケーブルの軽量化に着手しました。
気圧高度計のケースを大型化したのは、むき出しとなるレリーズ保護の為です。

48.2g-23.8=-24.4g

設計時想定重量

設計時の重量想定

これは、非改造の純正レリーズと、サーボモーターと取付想定部材です。
一般的な空撮会社よりも軽量な素材を集めていますが、この程度(100g以上)の重さが想定されました。
これを見ると、ペンタックスのレリーズは重くないことがわかります。
純正レリーズが軽いため、サーボモーターも軽量にしています。

このニコン純正レリーズを、線一本になるまで分解しピアノ線とカーボンプレートに置き換えたのが、今回改造(ほとんど、新造)されたのが
0[Zero]特製・ニコンD700用無線レリーズです。

エンジニアプラスチックとチタン

チタンネジ・エンプラスペーサー

今回の改良の為に取り寄せたネジ類です。
エンジニアプラスチックとチタンのスペーサー。
チタンと、薄物のステンキャップ
チタンワッシャーなどを購入しました。

エンジニアプラスチックは軽量化のため。
チタンは強度アップ(信頼性向上)に用います。
意外ですが・・・エンジニアプラスチックは、相当な強度があります。
チタンは、それほど軽量な材料ではありません。チタンは「強度」に着目すべき材料です。

ネジの最適化

薄型ステンキャップボルト

意外とネジ類は重いのです。
本数を使うことから、このネジの軽量化も有効です。
長さを最低限の物にする。
強度が許されるなら薄物にする。

この1本の交換で0.2g程度の軽量化が可能です。
8)墜落撮影機材の修理でも紹介をしていますが、ネジは「長さ」「太さ」「材質」でストックすると・・・
あっという間に、数十種類のネジが揃うことになります。
これらのネジの中にはホームセンターで入手可能なものもありますが、ほとんどは「特殊」とされる長さと材質です。
ほとんどは、ネット通販にて購入されています。
なお、今回の購入量で約¥5,000です。(今回はチタンが多いため)

まとめ

軽量化の結果

今回の軽量化の目標は達成出来ました。

目標230g - 前回27g -今回213.1g = -10.1g

今のところ、目標値以上の軽量化が果たせました。
12)夜景撮影テスト4回目の時のセッティングよりも遙かに強度のある尾翼と、100g以内の重量増に留めました。
これで、高地からある程度の低温時にも、このD700にで挑むことが可能になりました。

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12)夜景撮影テスト4回目
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14)ニコンD700導入
15)軽量化 -27g
16)軽量化 -213.1g
17)夜景撮影テスト5回目
18)ニコンWT-4導入
19)WT-4の落とし穴
20)空撮専用車両の改造
21)開発中間報告
22)キヤノン5D MarkⅡ導入
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