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バルーン夜景空撮[技術解説] - 夜景バルーン空撮開発 その1

バルーン空撮による夜景撮影について

バルーンによる美しい夜景空撮は非常に困難です。
夜景はスローシャッターを用います。
一般的な夜景撮影では数秒から数十秒という長い時間の撮影となります。

夜景空撮ブレ画像小型~中型のバルーンでは最新のデジタル一眼レフを用いて「何とか撮影できる」という画像しか撮れません。
もちろん、「美しい」と呼べるレベルでは無いのです。

バルーンはその性質上、「フラフラ」と上空を動きます。
誰もが思い浮かべる風船の動きです。
夜景の撮影時に、「フラフラ」と動いてしまうと・・・
撮影される画像はブレる事になります。(失敗写真の出来上がり)

しかし・・・
大型のバルーンを使うと、「フラフラ」が無くなるので、「美しい」画像が撮れる可能性が上がってきます。
現在撮影されている「美しいバルーンによる夜景空撮」は非常に大きなバルーンにて撮影されています。
小さいバルーンでも撮影出来ることはありますが・・・
それは、「狙って」撮った物ではなく「偶然」撮れた画像です。
プロの仕事は結果が全てです。「偶然」に任せる様な撮影ではプロとは呼べません。

0[Zero]でも、大型バルーンの採用により夜景業務を開始という選択肢もありました。
しかし・・・
大幅なコスト増が予測されることと、ヘリウムガス不足と値上状況を考えると夜景空撮の安定供給にも不安があります。
何よりも、大量のヘリウムガスを廃棄はクライアントに迷惑をかけることになりかねないと決断ができませんでした。

そこで・・・
小型のバルーン。
しかも、車載型の“エコ”バルーンで夜景撮影に挑戦することにしました。
しかも!
普通の空撮では無く、上空での精度の高い撮影が要求されるCubicVR(弊社商品:航空写真ナビ ぐるんパ9)に挑みます。

0[Zero]が始めるからには普通の夜景空撮ではありません

「誰もが驚くバルーン夜景空撮にチャレンジします」

ポイント1:空撮バルーンの改良

バルーン車載

2008年7月2日撮影
夜景撮影対応として開発を開始し、初飛行となった4号バルーン(Ver4.00)です。

初の車載式バルーンである3号で良好であった空力面の機体コンセプトを、そのまま引き継いでいます。
特徴的なのがビル風に対応することに主眼を置かれた水平尾翼を持たない構造です。
3号と比較すると、ヘリウムガスの容量が増えたことから余剰浮力が増えました。
これにより「より大型のレンズ・カメラの搭載可能」「従来よりも垂直にバルーンが上がる」「高地での撮影に対応」「冬季の撮影に対応」などのメリットが生まれます。
デメリットとしては、「空力特性の悪化」「ランニングコストの軽微な上昇」などが予測されました。

なお、初飛行時のテスト目的である、高地でのテストは大成功と呼べる結果が出てきました。
富士山4合目となる標高2100mにて、余裕持ってのパノラマ撮影が行えました。

撮影されたパノラマ画像
標高2100m:高地撮影テスト

ポイント2:撮影機材の見直し

シグマフィッシュアイ3本

このレンズはCubicVRの撮影には欠かせない全周フィッシュアイと呼ばれるレンズです。
キヤノンマウント2本。ニコンマウントを1本用いています。
今回はボディ内蔵の手ぶれ補正機能を期待し、ペンタックスのK20Dを採用しました。
ペンタックスマウントの全周フィッシュアイは販売をされていないため、手持ちのニコンマウントを改造してペンタックスボディに取り付けています。
機材開発例:レンズマウント

夜景の撮影には、「暗部ノイズの少なさ」「高感度対応」「ボディ内手ぶれ補正」「明るいレンズ」など、撮影機材の総合的な性能で最終的な画質が決まってきます。
2008年7月現在はキヤノン・ニコン・ペンタックスの3社のデジタル一眼レフカメラをテストに購入し、夜景撮影の可能性を調べている状態です。
各社共々、メリットとデメリットが存在し、これが良いという物が決まっていません。
普通のカメラマンも、空撮会社も一般的にはカメラメーカーを統一しています。
0[Zero]では2003年の空撮業務開始以来「常にもっとも優れたカメラを用いる」事とし、カメラメーカーの一本化を敢えて行っていません。

なお・・・
昼間のCubicVR(パノラマ)撮影はキヤノン5Dが一線級の性能を持っています。
重量・画質・実績と考えると、このカメラは抜けません。
夜景撮影専用として、どのカメラを入れるのかの研究は続きます。

公開日:2008/06/23
最終更新日:2013/06/27
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