夜景空撮[技術解説] - ニコンWT-4の落とし穴=魅力半減

WT-4による、リモートコントロールは事実上困難

ニコンWT-4

WT-4を導入した最大の理由は、上空での撮影設定(ISO・絞り)のコントロールをワイヤレスで実現していたからです。
夕景から夜景に切り替わる、微妙なトーンを要求される時間帯では、1分毎に撮影設定が動きます。
一般的には露出優先モードにて撮影されるので、問題にならないのですが、航空写真ナビ・ぐるんパ9・空撮CubicVRの撮影ではマニュアル撮影しか選択肢が無いために大きな問題になります。

この普通の空撮会社では、「難しい」とされる夕景・夜景(日没直後)撮影も、カメラマンがしっかりとしている空撮会社では問題になりません。
経験上、どの設定で撮れる時間帯がベストという基準が確立されているからです。(0[Zero]の基準では、ベストな夜景撮影が可能な時間は1日に10分以下)
この限られた時間に必要なシャッターを切ること・・・

ここまでは簡単なのです。(このスタートラインに立つには、相当なテストが必要)

夜景空撮の露出変化もっとも、問題となるのがタワーマンションなどの撮影要望にある、「最上階から5階刻みで夜景パノラマを・・・」などへのご要望への対応です。
簡単な解決方法は、日没後30分後から撮影開始です。
これなら、均一な明るさで夜景パノラマ画像を揃えることができます。
困難なのが・・・1日に5分しか存在しない、ベストな時間帯での夜景撮影です。
1カットの夜景バノラマなら、簡単です。(撮影は1分で完了)
しかし・・・1つのマンションで10枚のパノラマ夜景撮影を揃えるとなると・・・ もの凄い大変な事になります。
高さを変えている間にも、露出の設定は秒ごとに変わります。
複数の階層を撮影している間に、画像の明るさに統一感が出せなくなってしまいます。
←左上 19:05 右下 19:12
7分間でこれほど明るさは変わります。

これがWT-4の採用で解決できると思えました。

  • ISO・絞り・シャッター速度など主要な操作がワイヤレス
  • 撮影画像をモバイルパソコンに転送出来る
  • ライブビュー対応

    上空で撮影された画像(jpg)を地上に転送し、ヒストグラムを比較しながらシャッター速度をコントロール・・・
    露出コントロールが可能になれば、5分しか存在しないベスト時間は10分以上に延ばせます。
    10枚の夜景パノラマ画像を、日没直後に明るさのバラツキ無く列べる・・・
    この様な夢のような夜景撮影が可能になるハズでした。

    夜景が綺麗に撮れるのは日没直後の10分間。
    この間に、タワーマンションの複数の指定フロアにて完璧な夜景パノラマ画像を揃えるにはWT-4無しでは不可能だと思われました。
    絶大な信頼を寄せていたキヤノン5Dから、ニコンD700に移行したのは、WT-4による無線コントロールがキヤノンには用意されていないことがポイントでした。

  • カメラコントロールプロ2は、注意が必要

    WT-4と取付ネジの重量

    上空では、WT-4とモバイルパソコン。さらに「カメラコントロールプロ2」というニコンのソフトを用いて運用されます。
    このソフトに致命的な設計ミスが含まれています。

    実務では、カメラコントロールプロ2を用いると数秒に一度しかシャッターが切れない

    WT-4を必要とするプロは、機材運用の知識なども豊富なカメラマンと思われます。
    ネットで調べてもWT-4の情報は皆無なので、このページにたどり着くかもしれません。
    もしも、カメラコントロールプロ2の存在に魅力を感じ、WT-4の購入。もしくは、カメラメーカーの乗り換えを考えているなら、購入前にメーカーに問い合わせることをおすすめします。
    恐らく、やりたいことが出来ません。(私たちは、そうでした)

    PCモードを用いると、撮影された画像はRAWファイルも含めてPCに転送されます。
    ワイヤレスで用いると、この転送により次のシャッターは数秒間切れなくなります。
    有線モードなら問題にならないのでしょうが、無線では使えません。

  • 撮影画像はカメラに残す
  • PCにはjpgを無線転送(当然Sサイズ。サイズ優先)
  • カメラコントロール機能を全て使用

    これが出来ないのです。
    ソフトの設計時に、ユーザーの使い方を想定すれば・・・この様な駄作のソフトは制作しないハズです。
    今回のニコン導入で純正のRAW現像ソフトの検証も行ってみました・・・
    初版の頃から大きな進歩はありません。
    こちらも、エンジニア(その昔はアセンブラにてNC制御)から言わせてもらえれば・・・
    駄作です。
    昔からニコンのソフトは二流と考えていましたが・・・その流れは今も同じです。
    操作性の部分は、他言語化対応が必要でしょうから触れません。
    問題なのは、共通となる現像エンジンのアルゴニズムです。

    今回の検証までは、北京オリンピックでのニコンの使用率の低さが気になっていました。
    これだけの、暗部特性なら室内競技は尽くニコンになっても良いのにと・・・
    今後に控えているキヤノンの新型5D(将来の1D)は室内競技でニコンと同等以上の性能が出てくる可能性があるのを暗示しているのでは感じました。

  • まとめ:キヤノンの魅力が戻ってきた

    キャノン5D レンズ無し この前の一週間は、キヤノン5DからニコンD700に移行が出来ないかを研究していました。
    ニコンがキヤノンと比較して不利な部分はレンズです。
    夜景CubicVR撮影に用いるレンズは、シグマのマウント違いなので問題になりません。
    困るのが、昼間に撮影される普通の空撮です。
    別にページを制作しますが、14~20mmで空撮に使えるニコンマウントのレンズが見つかりません。
    一世代前のLレンズである、17-40f4と比較すると使えると思えるレンズがありません。(現行のDX流用まで研究)

    ここにきて、WT-4の魅力も半減です。キヤノンにも画像転送のハードウェアは存在します。
    2008年8月現在は、決め手は無いのですが、まもなく答えはでるでしょう。
    一度はシステム全体をニコンにと思ったのですが、次期5Dの暗部対応次第では、キヤノンにて再構築という可能性も生まれてきました。

    話を、本題である夜景に戻します。
    現在販売されているニコン・キヤノンのシステムと0[Zero]の車載式バルーンでは、複数の夜景パノラマ撮影は完璧にはこなせません。
    ペイロードが20kgというクラスを導入すれば・・・
    撮影可能です。
    0.5段毎に設定を変えた、3セットの撮影システムを用いれば10セットのパノラマ撮影はこなせます。
    ただし、この方法は現実的ではありません。(コストと非エコなバルーンが必要)

    しばらくは、複数の夜景パノラマ撮影は、日没後30分以上経過との前提で業務を行うことになります。

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