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「プラットフォーム」とはなんですか?

「某自動車サイトのQ&Aと同じ質問にブログもどきが答えます」の第二十四弾。

ユーザーはプラットフォームなど一切意識する必要は無いと思います。
トヨタなどをみても、「小さい」「大きい」「背が高い」「その他」など物理的なサイズでライン設計をしているだけですから・・・

「プラットフォーム」とはなんですか?

Q:クルマの「プラットフォーム」とは、そもそもなんでしょうか? その概念やシステムは、昔からあったのでしょうか? トヨタでは、かつての「セリカ」「カリーナ」「コロナ」のように販売チャンネルの異なる“兄弟車”が存在しましたが、例えば今の「GA-B」プラットフォームを共用している「ヤリス」「アクア」「シエンタ」は兄弟車と呼んでいいのでしょうか?
引用元 : 「「プラットフォーム」とはなんですか? - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48438

回答例(webCG)
A:「意匠に関係のない部分はとにかく共通化しよう」というクルマづくりが、世界的に主流になってきました。そのほうが、開発期間が短縮できてコストがかからないからです。
引用元 : 「「プラットフォーム」とはなんですか? - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48438

以下、私の回答。
A:既に死語?
一頃は自動車メディアで取り上げることもあったが、2024年現在では・・・死語になりつつある。
大昔のラダーフレームの車両などは、土台(ラダーフレーム)の上に機能を建て増しするという設計をしています。
その当時は、これを「プラットフォーム」と呼んでいなかっただけ。

その昔から「使い回し」は普通の事です。
古い競技車両などの多くは次世代機の部品取りとして残っていない。
聡明期の飛行機の世界なども同じです。
まず、「使い回す」という事は、新しい考えではありません。
いつの時代も開発資源は貴重な物。
「使い回し」は至って普通のことです。
特定の時期の自動車産業が、この概念から大きく外れていたとすると・・・
確かに異質なのですが、そんなことは無いでしょう。

webCGでは以下に関しても語られています。
・スポーツカーとプラットフォーム

「プラットフォーム」とはなんですか?

まずは、各社の「プラットフォーム」を検索してみてください。
コレ、「車のサイズ」を基準として決まっている事がわかります。
ラインを流せる最大サイズを根拠として「プラットフォーム」は分けられています。
例外はオープンカーやスポーツカーなどの少量生産車です。
ロードスターやBMW Z4(スープラ)が該当します。
なお、定期的にプラットフォームにブラッシュアップが入るのは新たなデバイスへの対応や合理化(低コスト)の為。
例えばACCが無かったころの車両と現在の車両との違いになります。
車両側のサービスホールの位置意外にも、工場ラインの長さなどにも影響が出てきます。
国内には、この関係のエンジニアなども多いことから探すと現場の声が聞ける機会はあると思います。

どちらにしてもユーザーはそんなに気にする必要は無くなってきている思います。
フルモデルチェンジのタイミングを読むときなどは、ここを理解していると楽しいのですが・・・

なお、兄弟車に関してはバブルの頃に認識と現代は異なります。
同一プラットフォームは兄弟車の範囲を大きく逸脱しています。

スポーツカーとプラットフォーム

A:商品企画の人間からすれば、製品間で同じものを使いまわすのはイヤなわけで、「少しでも変えたい」「できれば全部、新規でつくりたい」というのが本音です。これはどのクルマにもいえることですが、特にスポーツカーはプラットフォームで性能が決まるという面がありますから、それを他のモデルと共有するなんて、開発者に言わせれば「あり得ない話」なのです。

これ、86やスープラの事を言っていると思います。
結果としてこの2台は普通のトヨタのプラットフォームを使っていません。
86はスバル。
スープラはBMWですね。
この専用プラットフォームは、「スポーツカーだから」というよりも、「少量生産だから」と解釈しています。
根拠はBMW M4の存在とします。

ここでは、現行販売されているFR+MT車を比較します。
リストの中に86とスペックが近い、手持ちのMini R55(第1世代クラブマン) JCWのMTも加えます。

GR86 RZ 6MT スープラ RZ 6MT BMW Z4 M40i AT BMW M4 MT R55 JCW MT
乗車定員 4名 2名 2名 4名 4名
全長/全幅/全高 4,265/1,775/1,310 4,380/1,865/1,295 4,335/1,865/1,305 4,805/1,885/1,395 3,980/1,685/1,440
最低地上高 130 117 114 120 120
ホイールベース 2,575 2,470 2,470 2,855 2,545
車両重量 1,290 1,520 1,580 1,710 1,260
エンジン 235ps/250Nm 387ps/500Nm 387ps/500Nm 480ps/550Nm 211ps/260Nm
価格 3,476,000 7,313,000 8,290,909 13,580,000 4,290,000

まず、このリストで専用プラットフォームを持っているのは86とスープラ=Z4になります。
M4は、3シリーズと供用。
つまり、ワゴンとプラットフォームを共有しています。
R55 JCWは、その他のMini一族と供用です。
この段階でスポーツーカー専用のプラットフォームは、そこまで意味が無いと言って良いでしょう。
要は、取付点の約束事を決めているのがプラットフォームの規格です。
一般公道を走り、人が乗り込むという段階で取付点に大きな差違はないんです。
さらに、BMW的には、「Z4はM4よりもラグジュアリー寄り」とされています。
それをスープラと供用しています。

・M4 = 3シリーズ 実用車とスポーツカーの兼用
・Z4 = スープラ BMW的にはラグジュアリーカーとトヨタのスポーツカーの供用

でも、初代86に事実上の専用プラットフォームを用意したことを大きく評価します。
その時点でスバル既存のプラットフォームを用いた場合は、あのフォルムは完成していません。
具体的には、フロントオーバーハングを詰める事が出来ませんでした。
スバルのお家芸であるAWDを潔く捨てている。
これは、とても評価出来る決断でした。

スポーツカーがプラットフォームで決まると言うよりも、「86のフォルムはプラットフォームで決まった」と言って欲しかったですね。

コラム:実用グレードとスポーツグレード

手持ちの以下の3台はプラットフォームを考える上で面白い車です。
現行型 BMW M4['21]
第2世代 MINI JCW クラブマン ['12]
第2世代 MINI Coper クラブマン ボンドストリート['14]

共通するのは、BMWとMTという部分。
CoperとJCWで、同じ車の実用グレードとスポーツグレードの比較が可能になります。
そして、JCWとM4で世代と駆動方式が異なるBMWのスポーツグレードの比較が出来ます。

R55 coper

480psのFR+MT のBMW M4(ベースグレード)
1速と2速は丁寧扱う必要があったり、一般道で100km程度走ると体が痛んでくる固めのシートの関係から連れ出す機会は少ないです。
ただし、快適性という観点からは、過去に試乗経験がある3シーリーズ・ツーリングよりは良好です。
高速道路主体の1,000km移動なら、M4の方が疲れはありません。
全てコンフォートモードで乗ると普通の車です。
普通の3シリーズよりも乗り心地は良いのでびっくりされる方が多いです。
スポーツモードにして横スベリを好みで調整。
その後に踏み込めば・・・一線級のスポーツカーになります。

R55 coper

第2世代 MINI Coper クラブマン。
4つあるグレードの下から2番目になります。
NAの1.6Lですので、MTと言っても流石にパワーは控えめ。
でも、使い切るという観点からは十分スポーツ出来ます。
特に純正の17インチから15インチにホイールと外径を落とした組み合わせは好感が持てました。
JCWよりも柔らかい足回りで、普段使いならこちらは更に好みです。
若者が車を覚えるという観点からも最適な車。
でも、スポーツカー枠にはカウントしないと思います。
良く出来た実用車にスポーツ要素を足したという感じです。

MINI R55 JCW 横から

上記の表で比較して欲しいのですが、86と第2世代 MINI JCW クラブマンは同じ方向を向いています。
FRなら不足と感じるエンジン出力もFFなら十分と感じます。
この初代クラブマンのJCWは、FFの失敗作と呼んで良いクセがあります。
具体的にはFF車としていの前後重量バランスが崩壊しています。
そのクセが面白いと感じる方には名車となる。
そして、私は名車の棚に置きました。
ただし、BMWは次世代で明確に、このクセに対策をしています。
つまり・・・彼ら的には失敗作なんでしょうね。

なお、この車は走行時の車の挙動がM4とそっくりです。
BMWのニュルブルクリンクの車載カメラの映像と同じ動きをします。
年代も違う。駆動方式も違う。
でも、同じ動きをする・・・
過去モデルを一通り経験していれば、「これが、Mの味」とコメントを出せるのですが、私では経験不足ですね。

M4を所有したままで、以下のコメントを出します。

実用車とスポーツの同プラットフォームの同居は十分に可能。
ナンバー付きスポーツカーならばプラットフォームによる大きな不利は無し。

某自動車サイトのQ&Aと同じ質問に答えてみる

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