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バルーン空撮[技術解説] - α7RⅡ狂想曲:その2 現場で必要なパソコンとは?

データバックアップとピントチェック。撮影現場にて求められるパソコンとは?

注意:
このページを含む、「α7RⅡ狂想曲」と題される全てのページは、0 [Zero]の業務に特化して述べられています。
それは、「幅20mのパノラマ画像を近距離で鑑賞」という用途・・・
具体的には、「高層タワーマンションのモデルルーム」や「コンコース」に用いられるパノラマ画像です。
同業者には大変参考になる内容かと思います。
それ以外の方には、「こんな世界もあるんだ・・・」程度の軽い気持ちでご覧下さい。
真剣に読むと疲れると思いますので・・・

現場で必要なパソコンとは?
現場で必要なパソコンとは?

・撮影データのバックアップ
・ピントチェック

現場にて必要なパソコンの目的は上記の二つです。
「何だ、それだの事か~」と思うのは早計です。
求めるのは2015年現在で考えられる限りのトップエンド。
具体的には・・・

◆撮影データのバックアップ
1セット50MB想定の1000枚超えの画像データを速やかに取り込む。
それを複数回繰り返すことから、1現場で500GB超えの想定が必要。
ベースに戻らずに複数の現場を回るという時などでは、1TB超えのデータ保管の想定が必要。

◆ピントチェック
α7RⅡ・Sサイズ書き出しのJpg画像を等倍表示にてピントチェック。
ピントの芯が、150m先なのか500m先なのかを見極める必要アリ。
最新世代の超高解像度パノラマでは、ここまで厳密なピントコントロールで素材撮影がされています。
ここを外す(安易な無限遠)と、後工程で大きな問題となります。

サムスン 850 PRO MZ-7KE2T0B/IT

SSD

← サムスン 850 PRO MZ-7KE2T0B/IT
容量は2TB。
読み込み速度は、500MB/s超え。
参考価格は13万円。
2015年10月の段階で、容量と速度のバランスを考えるとコレになります。
どのようなパソコンを選択しても、このSSDが搭載出来る事が条件となります。
なお、サイズは一般的な2.5インチ。
プロカメラマンが現場で用いるPCと言えば、MacBook Proが定番ですが、SSDの搭載容量の壁により採用する事が出来ません。
速度面では、PCI接続となるMacBook Proの圧勝ですが、2015年10月の段階では最大容量は1TB。
また、SDカードの読み込み速度がボトルネックとなる事から、300MB/s以上の速度は当面は必要とされません。
最高品質が求められる3列撮影版の超高解像度パノラマの素材撮影は、既にこのコントロールが必要なレベルに達しています。
ピントが150m先にあるのか500mなのかの違いがわかってしまうのが短鑑賞距離の超高解像度パノラマの恐ろしいところです。

レタッチャーのデスクトップ

画面

←2015年10月現在のレタッチャーのパソコン環境
メインとなる中央の画面は、EIZOの31.1インチ4K=FlexScan EV3237
ステッチャー・レタッチャーの違いはありますが、この画面がメインです。
理想的には、この画面を現場に持ち込みたいところです。
なお、使い古した24インチWUXGA(1920x1200)でテストしたところ・・・
画像ピッチが荒すぎて論外。
4K採用前に用いていた27インチWQHD(2560x1440)なら大夫改善します。
どうやら、ピントチック用画面では、画面サイズや画素数よりもドットピッチが重要な性能と思われます。
そうです・・・この様に検証しながら機材は、購入・テストされています。

この段階でのまとめ

一般的なMacBook Proの導入で全てが片付くと楽なのですが・・・
この可能性は今の時点ではありません。
現段階では、2TBクラスのSSDが搭載出来ない。
ピントチェックのソフトは、古いWindows(Vix)版になります。
このタイミングで、Windows・Mac共に確認を取りましたが、これに置き換えられるソフトが見当たりません。
つまり、ブートキャンプ必須。
MacにVixに匹敵するソフトが存在していたなら採用は大いに悩みました。
やはりフットワークの軽い高精細ディスプレイは魅力です。
この高精細ディスプレイと繋がりから、5K・iMacも調べて見たところ・・・
少し良い感じの兆候がありました。
3.5インチHD搭載。つまり、2TBのSSDが搭載可能。
5KのディスプレイのWinドライバが存在するのかが大きな鍵となります。
消費電力も現実的な197W。
メモリも32MB搭載可能。
そして安い=23.8万~
新品購入と同時に総バラシで、内部拡幅+Win化。
2TBの内蔵SSDに納めた数千枚単位の素材を5K画面で現場にて確認。
SSDも含めて現場PCにベストな一点物を制作しても50万円でおつりが来そうです。
これは魅力的です。
もしもWindows環境で5K出力が出来ない場合は、4Kモデルの採用の可能性も残します。
こちらでも、既存のデスクトップ4K環境よりも高いPPI確保が可能です。

もう一つの線は、4K外部出力が可能なWindowsノート。
2015年10月の段階では、Thinkpad以外にもダイナブック、Dell、各種BTOなど複数の選択肢があります。
選択肢の全てをしっかりと調べて見たのですが・・・
決め手となる様なドンピシャなノートが見つかりません。
Thinkpadは、内蔵3K・外部4Kをクリアするモデルが存在します。
しかしスリムドライブが廃止されていたことから従来ほどの魅力が無くなりました。
恐らく、SSDの速度が向上為たことからRAID0(ストライピング=高速化)が必要無いとの判断かも知れませんが・・・
一定数RAID1(ミラーリング=高障害性)の需要もあるはずです。
今回の本題から外れるのですが、ドローンによるハイエンド4K撮影という現場ではSSD納品という方向性も出てきています。
さらに、15.6インチモデルではテンキーが付いてしまいます。
特定分野なら歓迎されるのかも知れませんが、少なくとも私は拒否します。
確かに、その様な要望もあったのでしょう。
しかし・・・ThinkPad 600(1998年)からのユーザーを切り捨てるというのは賢明な判断だったのでしょうか?
ThinkPadが、そのキーボードによりユーザーに選ばれ続けているという自覚はあることでしょう。
この最重要パーツの安易な仕様変更は新たなユーザーを導く事よりも、私の様な確実なユーザーが離れる切っ掛けとなる様な気がしてなりません。
そう言ってもトラックポイントの魅力は捨てがたい物があります。
納得した訳では無いのですが、ThinkPad の可能性は残します。

そして、ThinkPad以外のWindowsノートの可能性も探します。
ここに関しては、どれを選んでも未知の世界。
今の段階で言えるのは、4Kの画面は積んでいてもグラフィックボードが手薄なメーカーが気になります。
ここが手薄と言うことは、画質面でも期待出来ないと推測します。
取りあえず、幾つかの機種を実店舗で確認してきます。
遅くとも年内中には、新たな現場パソコンの導入を行い所です。

なお、現場パソコンにまで手を付けるのは、一連の機材入替の仕上げ段階になります。
取りあえずは、既存のノートパソコンに2TB・SSDは導入済み。

公開日:2015/10/08
最終更新日:2015/10/08
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