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バルーン空撮[技術解説] - α7R ILCE-7R到着

α7R ILCE-7R到着
α7R ILCE-7R+Gマウント

バルーン空撮・ラジコン空撮など、「実機を用いない空撮業」という括りでは、革命を起こすという表現が適切なカメラが発売されました。

←2013年11月15日 12:30撮影
事前に予約をしていたことから、先ほど届きました。
この日から、「α7R後」と言う新しいステージに入りました。

まずは、この10年で発売されたデジカメを、「バルーン空撮に用いる事が出来る」という観点から振り返ります。
・キヤノン EOS 5D(2005年):軽量フルサイズデジタル一眼
・キヤノン EOS 5D Mark II(2008年):EOS 5Dの正常進化
・ニコン D800(2012年):3630万画素に到達

バルーン空撮に最適なカメラという観点からは、上記のカメラが重要な区切りとなるカメラでした。
ここに、α7Rが新たに加わります。

キヤノン 5DmkⅡ分解

EOS 5DからD800までは、現実的な重さの範囲で、もっとも画質が良いという選択基準です。
ボディ重量は、900g前後で推移していました。
ここを下げる観点から、内部まで軽量化するというのがバルーン空撮屋の実体です。
先ほど届いた、α7R ILCE-7Rは、実測463g(ボディ+バッテリ)
このマイナス400gは、バルーン空撮に革命を起こします。

・画質はD800E以上(レンズも含めて総合的に)
・レンズは、ニコン(Fマウント)も含めて選択肢が広い

安全性・画質・運用コスト
α7Rにより、全ての性能が一気にステップアップすることを意味します。
ここから、装着レンズからスタビライザーなど、撮影に用いる機材の全てが見直しになります。
取りあえずは、レンズ資産の多いニコン(Fマウント)・キヤノン(EFマウント)のマウントアダプターを入手。
シャッター機構を簡単に改造し、既存スタビライザーのままで実務に投入します。
一番の大物は、余剰浮力を最大限に生かし切るブラシレスジンバルの採用。
ブラシレスジンバルにより夜景撮影などでは、バルーンとクレーンの境は完全に無くなります。
無くなると言うよりも・・・
従来型のスタビライザーを用いるクレーン空撮よりも、ブラシレスジンバル採用のバルーン空撮の方が夜景撮影では有利になります。
クレーンかバルーンかでは無く、ブラシレスジンバルを使っているか?
ここが、画質を判断する切り分けとなります。

なお、今までは・・・
ニコンD700や、ペンタックスK20Dなど、テスト後に非採用となるカメラが無数にありました。
しかし、今回は到着前に、次期メインカメラの地位が確定しています。
それは、1年半のD800系運用の実績と、NEX研究蓄積のからです。
この頃のSONYのカメラは、動画・静止画を問わずに一通り購入しています。
クセや運用上の注意も、把握しています。
画質面では、日々のスチール撮影のほとんどをD800系でこなしていることから・・・
日没後15分に、適切なISO・絞り・シャッター速度を言い当てられるまでになっています。 (RAW現像時の増感も意識しつつ・・・)
受光部が、限りなくD800Eと言える事から、この点も安心出来ます。

レンズの選択
当面はレンズのテスト

α7Rをバルーン空撮で活躍させるには、マウントまで含めたレンズの選択が重要です。
今までの、普通のデシタル一眼レフなら・・・メーカー純正のレンズからの選択が一般的。
α7Rからは、レンズマウントをもちいて、あらゆるメーカーからの選択が可能になります。
もちろん、受光部の相性という観点から最新設計のニコンは、重要な候補。
AF機構を持たないと言う点で、過去のレンズも軽量化の観点からは魅力有り。
この先数年のバルーン空撮のボディは、α7Rの一択。
空撮各社の個性は、採用レンズで差が付くという時代になります。

まとめ

これ(α7R出現後)から先は、採用しているカメラで空撮会社の姿勢を以下の様に評価出来ます。
・α7R採用=プロとして一定水準のポリシーを持った会社
・それ以外=少なくとも、画質や安全(軽量)などに興味が無い会社

今までは、APS-Cなどの採用も「軽量だから安全」という御旗がありました。
ここは、463gというボディ重量にて打破されます。
D800系の採用も、「同等以上の画質で遙かに軽量」という点から説得力がありません。
2013年11月の段階でEFマウントを用いて空撮スチールを撮っているなら・・・論外。
EFマウントの採用理由としては、2本の新設計のTS-E以外の用途以外は考えられません。
数少ない例外は、DSC-RX-1(本体453g)か、RX-100(本体213g)のみ。
これらは、レンズ込みでα7R ILCE-7Rよりも軽量という点で存在価値があります。
※広角端の制約は実務では大きな障害

ミラーレス一眼はバルーン空撮のスタンダードという記事を書いたのが2010年。
その時に予言したフルサイズミラーレスは、3年で実現されました。

それにしても・・・空撮に用いるべきカメラの下(RX-100)から上(α7R)までがSONY製。
この独占状態はいつまで続くのでしょうか?

公開日:2013/11/15
最終更新日:2017/11/04
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