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ドローン空撮[技術解説] - DJIの品質は大丈夫なのか?

DJI Wookong-Mの検証中

重要:
このページ以下の内容に関しては0 [Zero]の開発者の認識不足がトラブルの原因であることが確定出来ました。
オリジナルの記載内容は記録として残しますがご注意下さい。

◆0 [Zero]の開発者のミスに関して
国内公式マニュアルの最新版を熟読していないことに起因。
マニュアルにはGPSアンテナの取り付け方法に変更が入っていました。
・1年前:GPSアンテナは機体の進行方向にまっすぐ取り付け
・現在:まっすぐ飛ばない場合はGPSアンテナをオフセット

1年前のマニュアルに沿って運用していたために、公式にGPSアンテナオフセットが含まれた事に気がつけませんでした。
ラピド工房からのサポートにて解決しました。

動作不安定の原因はDJI

この3週間は、「機体が真っ直ぐに飛ばない」という現象に悩まされていました。
その犯人は新品購入した2セットのWookong-M。

このページを書いているのが2013年1月21日。
昨年末から大規模なメンテナンスを実施しています。
大晦日も元旦も稼働しているにもかかわらず、実務投入可能と思える機体は完成していません。
送信機の動きも怪しい。
新たな試みも多数あることから、犯人特定に時間がかかっていました。

悩まされていた現象は機体がまっすぐに飛ばないという現象。
冬期ですので季節風が強かったことから、最初の頃は風の影響と考えていました。
しかし・・・
無風条件下でも同様にまっすぐ飛ばない。
この機体はジンバルサーボがGPSアンテナに近い事から、その影響と考えジンバル構造の手直しを実施しても改善せず。
念のため、別の新品のWookong-Mに載せ替えても改善せず。
送信機や受信機も総当たり・・・

起きている現象を冷静に観察し、1年前に購入したWookong-MのGPSアンテナを機体に搭載。
これで、現象は解決。
3週間悩まされましたが解決の糸口が見つかりました。

なお・・・
・昨年11月に新品1セット購入
・昨年末に新品2セット購入
・実務経験1年
・インテリジェント オリエンテーション コントロール=未使用
・デジタルコンパス校正=都度実施
・GPSアンテナ搭載位置=メーカー非推奨
・GPSアンテナ直下にサーボ=メーカー非推奨

「自分が壊れていることを前提とする」
これは社内でプログラムなどを開発するスタッフに言い聞かせている私の言葉。
他人が担当(今回の場合はハードウェア)している部分に瑕疵があると仮定すると、バグも見つからないという格言です。
機体設計や搭載方法。Wookong-Mや送信機の設定にミスがあるというところから疑います。
結果は以下で述べますがこの考え故にトラブルの起因特定に時間がかかったとも言えます。

具体的な発生現象

検証前提
・A地点からB地点への直線移動
・高度操作には連動しない
・GPSモードにてフライト
・Wookong-Mと受信機・モーターコントローラーは新品

送信機のデュアルレートを用い、特定の舵以外は混ざらない配慮をした設定も試しています。

結果
・進行方向に対して右側に機体が流れる
・エルロン移動でも右に流れる
・エレベーター後退でも右に流れる
・直進でも後退でも右に流れる
・Attiモードは問題無し

曲がりの量は無意識に飛ばすとエルロン補正などで誤魔化せる範囲。
シビアな直線ワークを用いないなら気がつかない可能性もあります。
しかし、実務では確実に問題となるレベル。

簡単に言うと・・・
目的の場所に向かってエレベーターで直進。
こんなシンプルな動作で、真っ直ぐに飛びません。
仮に機体側に問題があるとすると、エルロン動作でも進行方法向かって右に流されるという現象に説明が付きません。
もちろん、右エルロン・左エルロンでも、向かって右に流されます。
つまり、機体のバランス・モーターとコントローラーの不良などに原因が無いことを意味します。

非常識な機体構造

非常識な機体構造

←今回トラブルを起こしていた、次世代実務機。(業務未導入)
GPSアンテナはマニュアル的にはあり得ない位置。
このGPSアンテナ位置は0 [Zero]としては十分な稼働実績があるところなので問題無しと考えています。

この機体の新たな試みはジンバルのロール制御サーボの搭載位置。
常識から考えるとGPSアンテナとの距離が近すぎです。
この位置に設計段階で決める際に、ガウスメーターで該当サーボを計測。
この搭載位置でもGPSアンテナに影響なしと確信を持って設計しています。
ただし、初めての試みですので何が起こるかわからないと言うことは覚悟していました。

・サーボの通電カット=改善無し
・サーボの撤去=改善無し

なお、IMUの搭載位置なども、普段試さない位置なども検証。
こちらも改善無し。
GPSアンテナの取り付けも、例のキノコ(標準取り付けパーツ)にてテスト。
「普通」の搭載方法にて試しましたが改善無し。
この時点で、機体側からの影響は無しと結論づけました。

送信機との相性

送受信機も疑う・・・

今回からフタバ14SGを新規採用。
送受信機との相性もありえるので・・・(14SGは信頼出来ない)

古い送受信機も含めて動作検証=改善無し

GPSアンテナの取り付け精度確認

GPSアンテナの取り付け精度確認

ここは違うと思っても、念のため確認。
←ワザと大きく狂わせたりもしてみました。

中心からどちらにハズしても曲がる。

もしも、大胆に狂っていると仮定すると・・・こんな微量の調整では足りない可能性もあります。

加筆に記していますが最新のWookong-MはGPSアンテナのオフセットがセッティング項目として必要です。

八方ふさがりで思考停止

完全に手詰まりとなってしまっていました。
送受信機=2セット
Wokoong-M=2セット
これらを交互に組み合わせても、一向に改善無し。
おもしろい事に・・・ズレの方向と量はどのフライト時も常に同等。
全くもって不思議です。
1月中頃から、この件に関しては一時放置していました。

GPSアンテナに疑いを持つ

GPSアンテナ

①:2012年12月購入
②:2012年12月購入
③:2011年12月購入

今回の現象を冷静に観察すると、GPS系にトラブルを抱えているとは推測出来ます。
※Attiモードでは発生しない。
しかし、GPSアンテナやIMUを交換したり搭載位置を変えても一向に改善無し。
その結果、迷宮に入り込んでしまいました。
そこで、現象から疑わしい場所を机上で考察しました。
行き着いた答えは「GPSアンテナが不良」
これしか、原因はあり得ないという答えになりました。
今までも、新品購入した最新ロットのWookong-Mを交換しながらの現象を取っていましたが改善無し。
アンテナは二つとも不良という過程をし、別の機体(1年前に購入したロット)からアンテナをハズしてきました。(図③)

結論としてはその通りでした。
Ver2化の際に、Wookong-Mの世代を同一にという配慮が裏目に出てしまいました。
2012年12月に購入したWookong-Mのアンテナに問題が全ての答えでした。

今までの経緯と、動作検証結果を購入店(ラピド工房)に相談してみます。

今のところ、古いアンテナを用いれば問題無し。
実務機を2台用意する事は可能なのですが・・・根本的な解決にはなりません。
動作に不安をもったWookong-Mの2セットをタンスの肥やしにするのは厳しい。
現在メチャクチャです。(この数週間を返してくれて言う気持ち)

仮にDJIが・・・
「そんな、いい加減な機体で検証しても保証出来ません」などと回答が来たら・・・
ここはS800でも購入して検証しますか・・・

ちなみに、Wookong-Mは6台購入。
十分DJIのお得意様ですね・・・

加筆:最近のDJIの品質は大丈夫なのか?

今回のトラブルの原因は開発者が最新マニュアルを熟読していなかったことに起因していました。

・1年前:GPSアンテナは機体の進行方向にまっすぐ取り付け
・現在:まっすぐ飛ばない場合はGPSアンテナをオフセット

言い訳の様になるのですが・・・
常識的にはこの様な方向に改修は入りません。
製品の品質が落ちたことに起因し、ユーザー側の設定項目を増やす。
もちろん、改悪です。

初期のWookong-Mと、現在購入できるWookong-Mは別物です。
どちらが信頼出来るかと問われれば・・・
これは初期型と言えるでしょう。
飛ぶ事に関しての安全のポリシーはキチンと感じる事が出来ます。
もう戻る事は出来ませんが初期物をS・BUSで運用するのが総合的に優れているということはわかりました。
スッキリとはしませんが進むしかありません。

Web上の情報が交錯しているようなので、さらに加筆します。
このページも含めて0 [Zero]がGPSアンテナで問題として取り上げているのはコンパスICの搭載方向を一定としていない事です。
誤解の無いようにお願いします。

公開日:2013/01/21
最終更新日:2013/04/04
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