マルチコプター空撮[技術解説] - 4モーターが危険な理由

クワッドコプター

はじめに

このページは、2012/03/05に公開が開始されています。
基本的には、その当時のままで公開されています。
それ以降に判明した事柄などは、加筆にて付け加えさせて頂いています。

クワッドコプター モーター回転方向

クワッドコプターとは?

4個のモーターでプロペラを回転させる、基本的なマルチコプター。
部品点数が少なく構造が単純であることから、ホビー機体の多くはクワッドコプター形態です。
もっとも有名なのはAR.ドローン(トイザらスなどでも販売)です。

オモチャとして販売してるいのですから、「安全か?」と問われれば・・・
「オモチャは安全です」と答えます。

AR.ドローン(初代)は実測427g(手持ちの機体)です。
バッテリー容量の関係からフライト範囲もある程度限定出来ます。
発泡スチロールの機体ですから、衝突時の衝撃も十分軽減されます。

重量は安全と直結しているという良い例です。

【加筆:最新のクワッドコプター事情】
2013年頃から、DJIファントムが市場に溢れてきています。
2014年夏の時点では、家電量販店にジンバル付きのファントムが販売されているという段階まで来ました。
ファントム+GoProという定番の組み合わせなら、フライト総重量は確実に1.5kg以下に収まります。
撮影を業務としようと考えている方も、この程度のフライト重量の機体から購入することをおすすめします。
なお、 4.0kgを越えるクラスは、墜落による重大事故(死亡事故)も想定出来ます。
この様なヘビー級にての撮影は、責任が取れるレベルまで経験を積んでからをお願いします。 なお、0 [Zero]では、当初から2.0kgが重大事故との境目という認識をしています。
2014年の現在まで、業務の99%は2.0kg以下の機体にて撮影されています。
※1回の例外として、2014年2月の実施された震災遺構は寒冷地テストを兼ねてα7R搭載のスチール機にて撮影されています。
加筆日:2014/7/10

GoPro搭載クワッドコプター

プロの空撮に用いるなら危険

←開発初期にテスト制作したクワッドコプター。
イメージとしてはAR.ドローンの信頼性を上げつつ、そこそこのカメラ(GoPro HERO2)を搭載した機体。
この仕様で、1.0kgを少し上回る程度。(既に解体済み)

スチール撮影なら、この程度の機体で業務を開始するプロもいることから、この重量が下限の目安になると思います。
オモチャと比較すると信頼性は高くなりますが重量が重くなる事から墜落時の衝撃が大きくなります。
重量級と比較すれば、遙かに安全と言えますが業務で第三者の上空を飛ばすにはアウトのレベルです。

ただし、絶対的な軽さは用途を間違えなければ、正しい選択にも成り得ます。
0 [Zero]が問題とするのは重量級のクワッドコプター。
オクトコプターに置き換え可能な、3.0kgクラス以上のクワッドコプターは危険です。

クワッドコプター 一系統ダウン

1系統ダウンで即時墜落

【加筆:クワッドコプターのトラブル時の挙動に関して】
以下の取り消し線部分は、公開当時の「理想モデル」を想定した記述です。
DJI製品では、理想モデルと挙動は大きく異なります。
2014年時点のDJI製品として挙動を解説します。
1):M1が能力低下
2):M1を下にして、そのまま墜落

理想モデルではM3を絞っていますが、その様な動きはしません。
DJIの制御は「高度優先」と思われます。
トラブル発生時にも、減算ではなく加算にて姿勢制御を行うと言う癖があります。
一系統トラブルが発生した場合は、ハンチングなどではなく即日墜落という挙動を示します。
ハンチング後の墜落は、電波障害・機材トラブルのどちらでもありません。
上昇気流起因のパーシャル域制御の瑕疵による墜落です。
加筆日:2014/7/10

墜落の原因のひとつがモーターとモーターコントローラーのトラブルに起因する一系統ダウン。
このトラブルが発生した際にはクワッドコプターは墜落の危険性が高くなります。

1):M1が能力低下
2):M3の回転を落とすと反動トルクを打ち消せない
3):M2とM4の回転を落とすと傾きが打ち消せない
4):M1の最大能力で水平が維持できないなら即時墜落

M3がM1の出力を超えた段階で、M3を上とする傾きが発生。
M1の出力が確保されていないと、この傾きを修正できずに即時に墜落。
M1の出力が極端に少なくなったなら、即時の墜落が確定です。

傾きを優先して、M2とM4の出力を絞ると反動トルク起因の回転が発生。

M1が完全に停止しなくても、「弱く」なると墜落の危険性は非常に高くなることがイメージ出来るかと思います。
モーターコンディションが即時に悪い方向に反映されるのがクワッドコプター最大の欠点です。

墜落の形態はフライトコントローラーの性能により多少かわります。
0 [Zero]では開発当初に一系統の完全ダウン(クワッド)と、全系統完全ダウン(ヘキサ)の上空からのテストを実施済み。
高度2m程度の高さから、開発当初の機体を墜落させています。

◆高度なフライトコントローラーの場合 [Wookong_Mにてテスト実施]
A:無風でホバリング
ほぼ、真下に墜落

B:上空フライト中
慣性により、進行方向に向けて墜落。[テスト未実施の為、推測]

「一系統ダウンにて、暴走する可能性の検証」が目的でした。
その結果は「特定の方向に暴走するという事は無し」でした。
これはコントローラーがある程度の傾きを検知するとモーターへの給電を強制的にストップするという機能が入っているからです。
まさに自然落下でした。
落下方向に加速するなどと言う事も無し。

安価なフライトコントローラーでのテストは実施していませんが上空で姿勢が乱れて、ある一定の範囲に墜落すると推測します。
想定外の方向に暴走するという想定は、クワッドコプターの一系統ダウンでは考える必要は無いと思います。(自己責任にて)

コラム:クワッドコプターの上限重量について

クワッドコプターは機構的に危険であることがわかるかと思います。
その一方で、モーターが少ない事による軽量化メリットがもっとも大きいという事実もあります。
つまり、AR.ドローンなどに代表される、軽量な機体ならクワッドコプターのメリットは十分あるかと思います。
また、一系統ダウンによるトラブルよりも事故ダメージを最低限にするという観点ではクワッドコプターの活用範囲はあります。

ここで、もっとも問題と考えるのはハイパワー・高重量のクワッドコプター。
これは明らかに危険です。
機体が安価につくれる。振動対策が容易。
この様な、方向のメリットしか考えつくことが出来ません。
1.5kgクラス以上のクワッドは業務等での使用を自粛していただくことを希望します。

加筆:2013年1月3日

このページを最初に記してから10ヶ月経過しました。
その後の経験から、重量級クワッドが極めて危険である事が確認出来ているので加筆します。
Wookong_M+FASST
国内の空撮業者での採用率が最も高いと思われる組み合わせで、具体的な障害時の挙動確認が取れました。
弊社の環境ではこのページで述べている一系統ダウンが実際に発生しています。
現象確認時に用いた機体はヘキサ(6モーター)であったことから、緩やかなピルエットをしつつ暴走という挙動をしています。
仮に、この時にクワッド(4モーター)を用いていたと仮定すると・・・
障害発生と同時に即日墜落というパターンに陥っています。
総重量4.0kgのクワッドなどという機体では・・・
最悪の場合は人命が失われるという想定も必要となります。
クワッドとすることによりイニシャルコストやメンテナンスが容易になるという誘惑はありますがヘキサ以上とすることを強く推奨します。
なお、軽量クワッドにより「暴走を絶対にさける」という方向性は有りかと思います。

加筆:2013年6月4日
正しいクワッドコプター

前回の加筆(2013年1月)から、業務上の必要から1.0kgクラスを開発し、実務に投入しています。
AR.Droneのハルをプロペラガードとして用いてフライト重量を1kgとすることにより、墜落しても大きなケガを負わせない機体として成功していると思います。
このページでは何度となくクワッドコプターの危険性を述べています。
同時に、「特性を理解した軽量機体は正しい選択」とも記しています。
特性を理解した正しいクワッドコプターの一例として0 [Zero]の1.0kgクラス 4モーター紹介します。

公開日:2012/03/05
最終更新日:2014/07/10
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