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ドローン空撮[技術解説] - 幽かな彼女ワーク解説

幽かな彼女ワーク解説

ドローン空撮実務解説 - 室内での垂直上昇からの全速前進

ハル付きクアッド

1.0kgクラス 開発秘話

←関西テレビ:「幽かな彼女」第1話収録ロケハンから

このドラマ撮影の為に1.0kgクラスは開発されました。

「ショッピングモールの中を縦横無尽に飛び回る」

これが最初に頂いたマルチコプター空撮の依頼内容です。
この時点で、十分なドラマ撮影実績のある2.0kgクラスなら物理的には撮影は可能です。
しかし・・・
万が一の事故の際には大きな問題となると容易に予想出来ます。
2.0kgクラス以上の軽量化と、接触時にも建物や演者を傷つけない事が開発時の命題でした。
開発期間は約1ヶ月。
このロケハン時から実務導入しています。

幽かな彼女室内空撮

「幽かな彼女」第1話のイオンレイクタウンでのワーク

第1話では4シーンに0 [Zero]のマルチコプター空撮が採用されています。
その中から、イオンレイクタウン(国内最大)にて1.0kgクラスにて採用されたワークに関して解説します。

:森野小夜役の女優さんの位置。(1階)
マルチコプターは真俯瞰にて近距離ホバリング。
演技後に、3階へ向かい急速上昇。

:1階から3階にマルチコプターが到着(3階)
カメラを真俯瞰からパンアップ。チルト角は3階の吹き抜けから1階を見下ろせる角度に事前設定。
フェンスギリギリの高さで全速前進。
本番時にはエキストラさんの頭上30cm程度のギリギリを通過。
※フェンスギリギリで頭上は通過できると計算

:3階を全速力で駆け抜ける(3階)
の位置から入りに向かって全速で前進。
吹き抜け部分から2階・1階の風景も映り込み(狙い)

1階から3階まで上昇し、頭上ギリギリを全速で長いスパンを飛ばす。
1.0kgの機体で、ガードも装着しノーファインダーで・・・

これが一連のワークとなっています。
私の知る限り、室内でここまでダイナミックな実写映像は見たことがありません。

しかし・・・
オンエア時の映像ではCG加工(黒い影)が入ったことにより、全てがCGで制作されているように感じてしまいます。
該当の箇所は、「幽かな彼女」第1話。
後半で吉岡さん(浮遊霊役:佐藤二朗さん)が黒い影を放出。その後、ショッピングモール内を黒い影が彷徨っているシーンです。
マルチコプターで撮っていると聞いても・・・CGに見えてしまうと思います。
このシーンも含め、第1話の採用分はオリジナルの映像の方が迫力があります。

幽かな彼女:最終話のマルチコプター空撮に関して

このページを書いているのが2013/05/15です。
昨日、クランクアップしています。
0 [Zero]では1話に引き続き最終話の空撮パートを担当。
延べ撮影日数は4日。(撮影とは別にロケハン・打合せなども複数回)
専用の機体開発まで実施し力を入れた作品です。
放映前なので、詳細は書けませんが・・・
後半の重要なポイントで多数の空撮が用いられます。

軽量機体・ワンマンオペレーション・ノーファインダー・人物直近・市街地
撮影時の瞬間最大風速11.1m/s(平均6.2m/s:直近気象庁観測ポイント)

2013年5月段階の0 [Zero]の技術力を計るのに最適な撮影案件でした。

公開日:2013/05/15
最終更新日:2013/07/24
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