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ドローン空撮[技術解説] - 「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例

「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例
ロケ現場

2013年1月10日:よる8:00~ (テレビ朝日)
木曜ミステリー「科捜研の女」 第1話 2時間スペシャル
この空撮並びに機材提供を0 [Zero]が担当しました。

提供した機体は2.0kgクラス 6モーター [高機動タイプ]
常に改良が入っていることから、現状とは形状などが一部異なります。
また、小道具として送信機も提供しています。

実際のフライトと、演技指導も0 [Zero]が担当しています。

立てこもりビル

立てこもりシーン

冒頭の犯人が立てこもっているビルのシーン。
10階が想定されている階層です。
この高さでもパイロットは地上からラジコンをコントロールしています。
ビルの外壁ギリギリのカットは1階の高さにて撮影。
外壁10cmの距離まで機体は近づいています。

なお、ビルの外壁に近い事からGPSによる自立操縦が困難な環境。
操作は基本的にマニュアル操縦です。(高い操縦技術を要求)
また、映像転送装置なども用いていません。

立てこもりビル玄関

仮に、実際の捜査でこれが使われたと仮定すると・・・
犯人側となるカメラ搭載の正面にはLEDや反射素材は取り付けられていません。
つまり、夜間なら目視でラジコンヘリを確認するのは困難です。
※撮影時に機体がガラスなどに反射して映り込まない配慮から。

発生する音も、ドラマ用として実際の音よりも大きめな演出がされています。
これもビルの内部では聞き取ることの出来ない音量になります。
今回の機体はドラマなどの撮影を想定された空撮会社の機体を用いています。
この様な捜査に実際に用いるとすると・・・
赤外線センサなどにより外壁との距離を自動でコントロールし自動運転を可能にします。
※この機体はGPSにより自動運転に対応=ビルの陰で自動運転不可能。
ただし、捜査には専用の訓練されたパイロットが必須です。

バイクチェイスシーン

バイクチェイスシーン

事前のロケハン時に、バイクチェイスシーンのワークの打合せは終わっています。
撮影当日はその予定ワークに添った空撮を実施。

比較的視界も開けていることから、難度が高いワークはありません。
通常のドラマ撮影と異なるのは、「ヘリからの主観映像」と、「地上カメラのヘリ客観映像」と別に撮る必要があること。
スタントからスタッフ全員がその都度動く事になります。
ほとんどのワークは主観・客観ともに1~2テイクで完了。
地上からの客観映像の撮影時は通常の撮影では行わないような演出が入った動きを行っています。

フライパス:[バイク追い越し]

なお、ヘリの離陸シーン(車両からヘリを出して離陸)は日没直前の風速10m/sに達しようかという強風の中での撮影。
安全確保の為に、演者とは2m程度の距離を空けて離陸を行っています。(ヘリからの映像は使われていません)
※このシーン以外は風速3m/s以下の良好な条件。

また、一部の撮影時には小雨が降っています。
レンズに水滴が付いてしまっていることが実際の映像でも確認出来ます。

通常の空撮業務では発生しない、地上からのラジコンヘリの撮影。
これに慣れるには多少の時間を必要としました。
通常業務ではスムーズにスピード感のある撮影が求められます。
この一連の撮影では、「犯人を追う」という機体の躍動感が必要でした。

地上のカメラ-バイク-ラジコンヘリ

この位置関係と、そのシーンの意味を把握して操縦。
通常の空撮業務よりも、オーバーなアクションをしています。
なお、劇中では画像転送装置を用いていますが実際にはパイロットの、「眼」で飛ばしています。
※普通の空撮のプロは画像転送装置も用います。

トンネル突入

トンネル突入シーン

バイクチェイスシーンの一部ですが別のシーンとして解説します。

一連の空撮の中ではもっとも難度の高いシーンです。
周囲は渓谷であることと、トンネル内部に機体が突入することから、GPSによる自立操縦は不可能。
トンネルの手前には樹木が右側から張り出し、機体を通すエリアを狭めています。
さらに、走り込んでくるバイクとタイミングも取らなければならない。
もちろん、可能な限り少ないテイクで当たりを拾わなければいけない。

簡単に飛ばすには橋からトンネルに真っ直ぐに飛ばすことなのですが・・・(押さえとして撮影はしています)
この簡単なワークでは渓谷にかかる橋が表現出来ない。
求められたのは、「橋をルーズで捉えてからトンネルに突入」
そこで、橋とトンネルの位置関係。
バイクの位置取りと、前後シーンとの繋がり。

総合的に以下のワークに落ち着きました。
・橋ルーズ
・トンネルに向かう
・バイクフレームイン
・橋の左欄干までオーバーラン(トンネル右の樹木回避)
・トンネル突入

撮影現場により、周囲の条件は様々に変化しています。
この場所で、このシーンを撮るにはベストという判断です。

トンネル突入

実際の撮影時には機体はトンネルの出口付近まで飛んでいます。(トンネル内部の映像も撮影)
GPSにより自立飛行は当然ですが使えません。
トンネル内部の飛行は半自動(傾きは自動で修正)運転をしています。
また、このシーン含めてCG合成などもありません。
すべて、実際に飛行した機体からの映像で番組は組み立てられています。

出演機体

出演機体

劇中に登場するヘリコプターと操縦装置を0 [Zero]にて提供。
機体は0 [Zero]が全て開発・制作を行っている事から、世界に一台の機体です。
市販品と雰囲気が異なることが科捜研の新兵器として好ましいとの事でした。
※時間を頂ければ、さらに独特な形状の機体なども開発可能です。

なお、この日のセッティングでフライト時間は公称5分。
実際には10分が限界ですが十分な余力を確保しています。
機動性や安全性に目をつむり、バッテリー容量を増やすと、この大きさでも20分のフライト可能です。

ドラマ撮影に関して

0 [Zero]ではドラマ撮影を主に想定した専用機体を独自に開発しています。
撮影機材は材料レベルからの専用開発。(専用配合のマグネシウムや、専用形状のカーボンアングルなど)
電子制御部品は徹底的に選別とテストを実施。
要となる動力源であるバッテリーも内部まで検査。
フライトテストは墜落限界まで実施。
実務で発生した事故も、守秘義務で許される範囲で積極的に公開。
墜落原因の特定と対策が出来るまでは該当業務の停止。
過去の障害に関しては具体的に説明が出来る用意をしています。
そして、究極の安全を提供出来る次世代機の特許も出願済み。

「科捜研の女スペシャル」も、「GTOスペシャル」も、開発責任者がパイロットとして実務を行っています。

以上の様に他社で撮影困難とされる案件でも、撮影出来る可能性が高い空撮会社です。
ただし、安全ポリシーを高いところに設定している故に苦手とする業務も存在します。
「CM撮影で、ゴルフ場のティーからグリーンまでを一気に(ロングホール)」などが具体的に苦手とするタイプの業務です。
この原因は主に機体の重量の縛りから。
万が一の墜落の際には機体の総重量と事故の規模は比例します。
墜落の可能性をゼロに出来ない以上は軽量機体(コンパクトデジカメ等)で実務を行う事になります。(他社よりも画質面で不利)
また、暴走事故を防ぐ観点から、パイロットの見える範囲をフライト範囲としています。(画像転送装置の非搭載)

・演者への圧倒的な寄り 「人物接写空撮」とは?
・海上撮影対応 GTOスペシャルのワーク解説
・都市部でも撮影可能(高さ制限有り) 立入禁止範囲:基本編
・風・雨・雪などても撮影対応可能 エクストリーム空撮
・柔軟な現場対応
・北海道から鹿児島まで豊富な撮影実績

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空いている場合は当日でも撮影は可能。
事務所は山梨にあり、早朝なら都心まで2時間以内に移動可能。
札幌~鹿児島まで、24時間以内に移動完了。(車両にて)

公開日:2013/01/11
最終更新日:2013/06/30
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