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ドローン空撮[技術解説] - 受注制限に関して

ブラシレスジンバル【1.0kgクラス】 業務投入開始
空撮空き状況

ハイシーズンは月の半分は受注制限を行っている状況です。
この現状は問題と感じ、根本的な解決策の準備を進めています。

2013年1月~8月までの受注制限
第1回受注制限:2月27~3月7日 (9日)
第2回受注制限:4月3~4月17日 (15日)
第3・4回受注制限:5月29~6月20日 (22日)
第5回受注制限:7月26日~ 【受注制限中】

受注制限の最大の理由は撮影チームが一つしか無いことに起因しています。
弊社としても、ご依頼をお断りする事が多いという、現状は問題と感じています。
マルチコプター空撮参入時から、この様な事態を想定し優秀な人材確保に動いていました。
しかしながら、現在のクオリティを保ちつつの複数チーム化には今しばらくのお時間を頂く必要があります。
関係各所には多大なご迷惑をおかけすることとなりますが安全確保の観点からご理解の程を宜しくお願いします。

なぜ、外注を使わないのか?

「断るほど仕事が来ているなら、外注を使えば良いのに・・・」
この様に、思うかも知れません。
確かに、一般の撮影業務では外注を用いるのは普通の事。
しかし、安全にかかわるマルチコプター空撮には当てはめることは出来ません。
・操縦ミス・電波障害など、墜落の原因は複雑
・マルチコプターは過渡期である事から、想定外のトラブルが発生

これらが「責任が取れる者が携わる」 というスタイルに0 [Zero]が落ち着いた理由です。
外注による撮影では万が一の事故の際に責任の所在があやふやとなります。
ここ(責任)を、明確にするための完全社員による空撮の実施です。

空撮チームの複数化

このページの主題は、「受注制限」です。
この仕事を断るという現状を解決するには空撮チームの複数化しか対応方法がありません。
現状の仕事量が続くと仮定すると、明らかに1チームでは不足。
2チームでも、ハイシーズンなら受注制限は発生します。
ハイシーズンに、全ての仕事を断らないとすると、現状の仕事量でも3~4チーム体制が望ましいところです。
この撮影チームの複数化は慎重に進めなければなりません。
要となるのはパイロット。
このパイロットは一定水準以上のフライトテクニックとハード面の技術が必要です。
この事が複数チーム化への最大の障壁となります。

他社にはパイロットとメンテナンスを別としている会社も存在していますが・・・
これは安全性の観点からは問題と考えています。
ハード面の知識が不足しているパイロットは上空トラブルの際の選択肢が限られます。
例えば、一時的な操作不能状態に陥った際の対応力に差が出てきます。
技術に詳しいからこそ、その後の展開が予測出来ます。
ハード面も詳しいパイロットなら、落とす場所くらいは選べる格率が高くなります。
もちろん、事前のチェックにより、その事故発生の確率する下げる事が可能です。
フライト前のリスクの説明なども、現場の状況に応じて適切にする事が出来ます。
以上から、パイロットとメカマンの分業はリスクを上げる方向に働きます。
同時に、撮影コストも無意味に上がります。
「旅客機ではパイロットとメカニックは分業です」と言うかも知れません。
それは少し違います。
詳しくは以下のコラムで解説します。

コラム:自分の飛ばす機体は自分で整備が基本

航空機:パイロット+メカニック
マルチコプター:パイロット=メカニック

初期の航空機は操縦者は開発(メンテナンス)も兼ねていました。
1903年のライトフライヤーも、パイロット=開発者 です。
航空機の黎明期はこの様な傾向が続きます。
つまり、最初期にはパイロットの能力よりも開発者(メカマン)の能力が非常に重要です。
21世紀のマルチコプターには・・・
さすがに、全てを当てはめることは出来ません。
ある程度のパッケージ化が完了している段階ですので、完全な開発者(FA制御習得)が必要な物でもありません。
しかし、「パイロット=メカニック」の部分は譲れません。
旅客機レベルのパイロットとメカニックの分業が0 [Zero]の目からも妥協出来る。
この段階に入るには進歩が早いマルチコプターの世界にあっても10年は必要であろうと推測します。

マルチコプターは結構な頻度で墜落事故が発生します。
その墜落の原因は、「ハード起因」と、「ソフト(操縦者)起因」の二つに切り分けられます。
自動車事故の多くはソフト起因。
成熟の域に達した自動車の場合は事故原因のほとんどが操縦者起因です。
この成熟域に入ったハードなら、操縦者とメンテナンスを切り分けても良いと思います。
しかし・・・
マルチコプターはハード起因の墜落が日常的に発生するという時代にあります。
この段階では墜落の原因を、ハードとソフトに切り分けにくいところです。
※優秀なパイロット兼メカマンならリアルタイムに把握出来る。
仮に、操縦士起因の人身事故が発生したとします。
機体は不幸にして、事故後にバラバラ。
残された機体から墜落理由の推測が出来ないとすると・・・
「パイロットは墜落原因は機体側に有る」と言い逃れをする可能性もあります。
もちろん、逆のパターンもあり得ます。
初歩的なメンテ不良で墜落という事もあるでしょう。
どちらにしても、操縦とメンテナンスを切り分けると、責任の所在をあやふやにする事になります。
日本的な考えからはこれも良いのでしょうが・・・
0 [Zero]としてはこの様な逃げの姿勢を容認する事は出来ません。
今後は撮影チームの複数化の為に様々なパイロット候補の方とお会いすると思います。
その際にはメンテナンス能力を詳細にお聞きすることになります。
最低でも、キットからのマルチコプター制作。
そして、最低限のパラメーター設定の追い込み。
ここまでのレベルはアシスタントにも欲します。
アシスタントは将来のパイロット候補というポジションです。
入社時点でハードウェアに弱いなら・・・その時点で非採用の人材です。
0 [Zero]の様な中小企業では入社後に教育などという余裕がありません。
ましてや、才能の固まりで無ければ出来ないのが一線級のマルチコプターパイロットの仕事です。
「教わる」という態度の人材は0 [Zero]は必要としません。

本題に戻ります。
「メンテナンスが出来ない」と言うことは機体の潜在的な危険性に目をつむっていることと同じです。
刻一刻と変化する現場の状況に応じたリスク提示が出来ない。
それにもかかわらず、「DSLR搭載機で空撮サービスをスタート」などという新規参入の空撮会社が多く出てきました。
DSLR搭載クラスは偶然が重なれば死亡事故も発生するクラスです。
これを素人に近しい知識の方が飛ばすというのは判る者からすると恐ろしい事なのです。
具体的な数値を示さないと、このクラスの方には判らないと思いますので、具体例を示します。
2012年の事ですが伐採の見学の小学生が亡くなったという事故が発生しています。
その事故の枝は長さ3メートル・重量5kg。
つまり、5kgの自然落下で死亡事故は発生します。

マルチコプターは音が静かであることから第3者にリスクが伝わりにくい物です。
衝撃を吸収しやすい枝の自然落下ですら死亡事故は発生します。
剛性が高い、マルチコプターが自然落下するなら、さらに危険性は高まります。
この事故の例からも重さ5kg以下の機体はプロペラ停止の自然落下でも死亡事故が発生するという認識が必要です。
0 [Zero]としては剛性が高めに設定される空撮用途の一般的な機体と前提すると、3.0kgでも死亡事故の可能性があると推測しています。
故に、絶対的な重量の削減と、墜落時の衝撃を分散させる方向の独自フレームを常に用いています。
このページ(墜落テスト[2.0kgクラス 6モーター 2012年12月編])でも、墜落の衝撃を如何に分散するかを突き詰めています。
これは参入時点で、死亡事故発生の分岐点を理解していたからに他なりません。
なお、「軽量」「衝撃分散」という機体は安全面からは有効です。
しかし、「画質」や「操縦安定性」という評価は悪い物になります。
0 [Zero]は常に安全を優先しているのは時間軸毎に整理されている技術解説の履歴をご覧頂いても確認出来ます。
さらに具体的に記します。
2013年7月の段階で、国内でブロの用いる事が多いDJI S800はフライト重量5kg以上であることが一般的です。
Z15+NEXという定番の組み合わせでは6kg前後が一般的な重さと推測します。
推測であるのは0 [Zero]がZ15+NEXという組み合わせを所有していない為。
そして、DSLR搭載の他社は積極的にフライト重量を公開していない為。
もちろん、墜落時の事故想定などは自社サイト上で公開などしていません。
0 [Zero]の目からはリスクを放置して「美味しく稼いでいる」としか映りません。

マルチコプターは第3者を死傷させる可能性がある。
それも、決して低くない確率で。
この様な危険な作業に携わるという自覚を持って、空撮に携わって頂きたいと思います。
自覚が出来れば、「自分の飛ばす機体は自分で整備が基本」は当然の事と思える事でしょう。
もちろん、衝撃吸収というレベルまで追い込めれば完璧なのですが・・・
ここまでは他社に0 [Zero]も望んでいません。
しかし・・・仕事内容とそれに用いる機体重量は適切な判断をお願いします。

公開日:2013/07/29
最終更新日:2013/08/06
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